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映画レビュー「裸足になって」

前回観たのはウクライナ映画だったが、今回はアルジェリア映画。
フランスとの合作だが、初めて観る国の作品。

いかに僕らは何も知らないか。
どんな国でも映画が作られ、多くのメッセージを抱きながら世に発信する。
制作された日本映画の何分の一しか観れない中で、
こうした国の映画を観れるのは貴重なのかもしれない。

もっともっと公開される機会があると国が置かれた状況も理解が進む。
その国で力を発揮する作り手や俳優の才能にも気づくことができる。
この映画を通して強く感じた。

本作はバレエダンサーを目指す少女が挫折を乗り越え新たな道を模索するストーリー。
僕のチープな表現だと軽い青春映画に思えるかもしれないがそうではない。
そこには内戦が続いたアルジェリアという国の現実と
理不尽な環境下で精一杯生きていく逞しさを感じるのだ。

表現は悪いが舞台が日本なら、すぐ諦め別の道に向かうか、
もっと過保護に育てられていくだろう。
いかに自分たちがぬるい生活をしているか映画は教えてくれる。

それだけでも映画を観る価値はある。
だが、ここは躍動する主人公フーリアの姿を追いかけるべき。

フーリアを演じるのはリナ・クードリ。
活躍している舞台は国内なのか海外なのかも知らない。
初めて観る女優さん。
きっと自国でも人気は高いだろう。
映画の中では10代だが、実際は30歳。

年齢の話はどうでもいい。
彼女が素晴らしい。
声が出なくなった辛い演技も立派だが、そのダンスは美しく情熱的。
彼女と共に一緒に取り組むろう者の女性たちもステキだ。
それぞれ悩みを抱えているが、徐々に輝いていく。
その懸命な姿には素直に感動。

ひとつのキッカケがいろんな人を巻き込み前に進ませる。
起きた事件は必ずしも不幸を運ぶわけではない。
別の形で幸せな姿を呼び込む。
それは自分自身が変わることによって・・・。
結局は自分次第か。
今の若者に教えてあげたい。

シンプルであるがとても爽やかで素敵な映画を観ることができた。
もっと多くの国の映画を観なきゃいけないね。

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