映画レビュー「いつかの君にもわかること」
2023年が始まって2か月足らずというのに鑑賞した映画は偏っているように思える。
実際はジャンルも違えは国も違うが、共通したテーマが存在する。
それは「死」。
特に意識したわけでもない。
それに関する映画を選んでいるわけでもない。
たまたまに過ぎない。
ファミリア、とべない風船、モリコーネ等々。
しかし、僕の根っこで潜在的に向き合う要素があるのかな・・・。
そんなことはないか。
最近だと「すべてうまくいきますように」。
これは高齢の父親と娘を描いた作品。
立場的には理解しやすい。
本作を比較すると真逆。
そしてかなり辛い。
余命僅かなシングルファーザーと小さな息子の家族探しの物語。
どうやら実話を基に作られた作品。
僕らが知らないだけで、このようなケースは意外と多いのかもしれない。
世の中には自分の意志でコントロールできないことは多い。
自己責任とは遠い話。
しかし、当事者は自己責任と捉え自分を責める。
息子の将来の幸せを最優先しながら、自身の在り方と葛藤する。
気持ちが揺らぎながら、感情を押さえながら、淡々と時間が過ぎていく。
死が目前であっても日常は普段とさほど変わらない。
変わらない日常でも微妙な変化に親子は気づく。
幼い息子は言葉にできなくても、変化を感じ取り行動にも表れる。
子供らしいわがまま・・・。
派手さはない。
お涙頂戴でもない。
互いの感情が大きく乱れることはない。
故にせつない。
故に悲しさがグッとこちらに押し寄せる。
親子を描く作品を観る度に自分の役割を考えさせられる。
健やかな家庭は健やかな子供を育てる。
荒れた家庭は荒れた子供が育つ。
全てではないが映画の世界も現実も同じ。
だからこそ、自分はどうあるべきか。
それを真摯に受け止める。
しかし、どうにもできない世界があるのも事実。
父親と息子の表情が全て表している気がしてならない。
何が一番大切なのか。
いつかの君にもわかること。
そう願ってまっとうするしかない。
今、瞬間はそうでなかったとしても・・・。
本作は2020年の製作。
もっと早く公開されてもよかったよね。
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