オンライン授業開始に至るまでの記録
2020年3月,この頃の私はコロナが落ち着いて対面で授業ができるだろうと考えていた。私の所属する大学では,当初2週間遅れで授業を始めるとアナウンスされていた。そこで私はオリエンテーション動画を撮影し(4月8日),もし対面授業がなくなった場合,授業は非開講にすると説明して,大学のLMSにある自分の授業ページにアップロードした。
なぜオンラインだと非開講にするつもりだったかと言えば,オンラインで授業が成立するとは思えなかったこともあるが,何よりグループワーク主体の演習授業であることが大きい。私の担当科目は,少人数のフレッシュマンセミナー(今や多くの大学で開講されているスタディスキルを学ぶための授業)である。
オンライン授業への決意と授業内容,シラバスの変更
コロナの勢いは収まらず,オリエンテーション動画を撮影した1週間後(4月13日)には,授業の開始が5月11日まで再延期され,さらにその1週間後には前期はすべてオンライン授業になることが決まった(4月21日)。対面で授業をやりたかった私は落胆した。
しかし,大学の方針が出たことで覚悟ができ,オンラインでも授業をやろうと決意した。
そこで,まずは授業内容の見直しである。上述した通りグループワーク主体でかつ授業時間外のグループ活動も多い授業のため,これをオンラインで行うことは不可能である。したがって,個人活動でもできることを考え,授業の到達目標を6つから4つに減らし,その分の内容を変更した。元々の到達目標を大きく分けると,グループワークを通じて協調性を身につけること,プレゼンスキルを身につけること,そしてディスカッションできるようになることの3領域である。変更後はプレゼンとディスカッションに絞ったわけである。
授業環境を整えるのは大変だった
授業内容の変更を終え,開講できるめどは立った。そこで次に授業環境の整備である。zoom,WebEx,Google Meet,どれも使ったことはなかったので,同僚にどれが良いか尋ねたところ,機能面でzoomがオススメとのことだった。セキュリティが甘いと言われていたので心配もあったが,頻繁にアップデートされているので,結果的にzoomを選んで良かったと思っている。
私は大学生の授業時の動機づけ(モチベーション)について研究しているので,その観点から学生に与える視覚情報と聴覚情報にはこだわりたいと考え,良いカメラとマイクを使おうと思ったのだが,ここで一つ問題が生じた。
そう,いくら良いデジカメをパソコンにつなげても,zoomではそれをカメラと認識してくれないのだ。
このとき既に4月下旬,映像と音声にこだわった授業をやるためには,いろいろと機材が必要だということを知った。そして何が必要なのか調べ,すぐに購入しようとした。しかし,新たな問題に直面してしまった。
皆,考えていることは同じ。必要としている機材はどれも売り切れで,コロナの影響もあり,入荷未定のものばかりだった(ちなみに,このとき参考にしたのはこのサイト)。
とりあえず機材は後回しにして,オリエンテーションは撮り直して古いものと差し替えた(4月30日)。必要な機材などを調べていると,YouTuberが参考になるとわかった。それまでYouTuberの動画はあまり見ていなかったが,ビデオカメラではなく一眼レフカメラでの撮影方法,ソフトを使った編集方法など,YouTuberの動画はとても勉強になった。この辺から未知の世界へ足を踏み入れ,どっぷりと浸かっていくのだった。
次からは,実際の授業の様子を記録していく。