農薬メーカーでの仕事について②

農薬メーカーでの仕事について①の続きです。

メーカーからみる農薬というものについて書きたいと思います。

農薬とは農薬取締法で定義されています。詳しくは書かないですが、一般的にイメージされる殺虫剤や殺菌剤、除草剤がまさにそうです。
また植物調整剤(除草剤は本来この中に分類されます)という根を生やしたり、果樹の実を減らすためにわざと落としたり、水稲の草丈が伸びないようにするものだったりというものもあります。
そのそれぞれが厚生労働省と農林水産省での審査を経て農薬となっています。

安全性とかそういうことは飛ばして、ビジネス面で話をしますが、農薬商売は超プロダクトアウトの世界です。
農薬になり得る化合物は研究者1人が社会人人生の中でひと成分見つけることが出来るかどうかと言われています。
つまりコンスタントに新しい化合物の薬剤は出ない環境にあるということになります。
なので苦肉の策のような感じで既存の化合物を組み合わせたものを新しい薬剤として販売することも多くなってきています。

地域によって農薬で解決出来る課題がある場合もあれば無い場合もあります。そしてそれが自社薬剤で解決出来る課題かどうかということもあります。
なので自社薬剤と現場課題とのマッチングが極めて難しいという業界です。
このマッチングの問題は毎年のように自分の頭を悩ませ、最終的には諦めることにしました。最後2年間くらいはこの考えに落ち着いたので、少しは正気を保てたと思ってます。

これらをふまえての自分の仕事は以下のことを意識して行っていました。
①マッチする現場に会えるまで出歩く
②訪問してマッチしなかった現場では自分が思う最適解を説明する。
③結果売上が上がらなかったら諦めて撤退する(自社で解決できることはない、とする)

早い話が数打ちゃ当たる戦法です。
ちょうど社内で訪問件数のノルマが増えたので、正攻法で攻めることにしました。
農協、農家への地道な訪問です。
大変な作業でしたし、実際にマッチングすることは少なかったです。
しかし現場課題に向き合って、正直に「自社剤じゃ最適解にならないから、他社の〇〇〇を使ってみて」と言うようにしてから気が楽になりました。

ありがたいことに実際にお会いして説明させてもらって買って頂くこともありまして、そのときは非常に嬉しかったです。

こんな感じで2年弱このスタイルで営業してました。
なんとか売上が伸びつつあったのですが、ここで頭打ちが見えてきました。
現場からも農薬ソムリエ的な役割を求められることが多くなり、逆に言うと本当にマッチングする割合が減ってきており、労働対売上の効率悪くなってきました。

次回は「農家になったわけ①」に続きます。

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