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苦労 #42

苦労の功罪

「若い時の苦労は買ってでもせよ。」
と言う言葉がありますが、若い時には、
多少の苦労は乗り越えてでも、
失敗を恐れずに、何でもチャレンジ
しなさいということでしょう。

確かに、苦労が嫌で、逃げてばかり
では成長するチャンスも逃して
しまいます。
自分の意志で頑張っている時は、
苦労を苦労と思わずにやっている
ことが多いかもしれません。

それは、一番いい形だと思います。
ただ気になることは、その苦労が
とても苦しくて辛すぎると、
目標を達成した後に、俺は
苦労して目標を達成したんだから、
誰よりも偉いんだという意識が
強くなってしまうことです。

確かに、医師や法律家などの専門家は、
大変な勉強をして、難しい国家試験を
クリアしなければなれません。
しかし、そのことがまわりの人
を見下げていい理由にはなりません。

苦労の代償

それだけの高いハードルを苦労して
乗り越えてきたからこそ、
人の気持ちが理解でき、
高い人格が育っているのではと
思います。

もし、そうでなければ、記憶力と理解力
の必要な受験力と勉強を続けてきた根気
があったということだけになります。

医師であれば、まわりの看護師、薬剤師、
検査技師、事務職員などの様々な
関係者のサポートがあって初めて、
医師としての役割が果たせるのであって、
はじめに医師ありきのような感覚は、
裸の王様です。もしそういう医師を
育てたなら、大学の医学教育が明らか
に間違っています。

この世に偉そうにしていい職業
などありません。同じく、僧侶が
立派な衣を着て、高い位をもらって、
偉そうにしたら、そこは地獄の
一丁目です。
バカ坊主だと良寛さんや一休さんが
おっしゃるでしょう。

苦労を肥やしに

苦労して、人を見下げるようになったら、
おしまいです。
頑張って、勉強して、資格を得て、
尊敬される地位を得ている
にもかかわらず、そうなると
人間にとっては、残念至極です。

学歴のない親が息子を頑張って
一流大学にやり、都会で一流企業に入り、
いいところのお嬢さんと結婚し、
親は喜んいたが、夫婦ともども、
親を見向きもしないという
悲しくも情けない話が実際にあります。

どんな偉くなろうと、
お金持ちになろうと、
親をないがしろにする人間を
仏教では畜生と言います。

地位やお金が悪いわけでは
決してありません。
頭の中が知識でいっぱいになって、
人間らしい思考が欠落して
しまったのです。
そんな人に説教したら、怒るんでしょうね。
そうならないように、医学部の学生に
説教授業をしてみましょうか。
当たり前のことがわからなくなるほど、
恐ろしいことはありません。

多大な税金を使って医学教育をしながら、
原資を出している市民を馬鹿にされたら、
たまりませんね。

僧侶も寄進、布施をいただいていながら、
偉そうにしていては、坊主丸儲け、
くそ坊主と揶揄されても
しかたありません。
そんな坊主がいたら、
遠慮せずに大きい声で「くそ坊主!」
と叫んでください。自戒を込めて。
(和尚の独り言)

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