【OW2】イラリーはOWの大切な全てのことが詰まってるんだよ
でも、ほとんどの人がそれに気づかないんだ。大切なのはそこから何かを学ぶってことさ。
イラリーが実装されました。強いか弱いかは置いといて(強いと思うけど)、実にいいヒーローだと思います。
というのも、自分がイラリーを使いこなすためには、あるいは相手のイラリーに対応するためには、Overwatchというゲーム自体の理解度を上げ、それを実践していくような能力が必要だと思うのです。
※この記事ではアビリティ2のアレを「パイロン」と呼びます。正式名称が「ヒーリーング・パイロン」なので。
◯攻撃性能
・エイムぢから
「Overwatchはエイムがいらないヒーローも多い」なんてことも言われます。
イラリーの回復性能はまさにその通りで、サブ射撃のヒールもそこまで厳密なエイムは必要ありませんし、パイロンも自動回復です。
しかし、メイン射撃には精密なエイムが要求されます。イラリーは割と火力を出せるヒーローなので、しっかりとメイン射撃を当ててダメージを出していかなければなりません。
イラリーはアビリティで相手にプレッシャーを与えることができません。阻害もダメブも不和もありません。
回復だけしていてはジリ貧になります。メイン射撃のエイムは、イラリーにとって非常に重要な要素です。
「とりあえず味方を撃ってヒールしとけばいい」というヒーローではありません。しっかりとエイムし、相手を射撃してダメージを与えていく必要があります。
・アルティメット
御存知の通り、超攻撃的なアルティメットです。明確に・直接的にキルを取りに行くためのものです。
自らキルを取ってウェーブに勝利しに行きましょう。
メイン射撃とアルティメットの攻撃性能を合わせて、イラリーは「サポートはヒールするだけじゃダメだ」を体現しているかのようなヒーローです。
味方の後ろやマップの後方でヒールボットになっていたり、「味方が前に行くからヒールできない」や「味方のタンクが守ってくれない」というような考えのサポートのプレイヤーは、イラリーを使いこなせるような考え方にシフトしていくべきです。
このゲームは全員で相手をぶっ殺すゲームです。
もちろん全員で総突撃するのが正解というわけではありませんが、特にサポートのプレイヤーは消極的になってしまっている方が多いような印象があります。
後ろでヒールボットになるだけのプレイはやめて、イラリーで攻撃的な立ち回りを練習してみるのもいいと思います。
その後で、アナやバティストに帰ってくればいいでしょう。
◯アングルを作る・作られる
FPSの基本だと思いますが、複数の射線を通す方が強いです。攻撃面でも防御面でも。
初心者の方やあまりレートの高くない試合だと、アングルを作れずに「中途半端な正面でのポークのような何か」のような戦いになってしまっていることも少なくないでしょう。
複数アングルを作れば強く、逆に作られると弱くなってしまいます。
イラリーのパイロンの影響範囲だけで戦おうとすると、上の図の青チームのように集団で固まることになり、相手に囲まれてしまうかもしれません。
逆に、相手にイラリーがいてそのような戦い方をしているならば、こちらは積極的に横や裏を付いたり、複数方向からアングルを作れるような立ち回りを狙っていくべきです。
「みんなが正面で撃って戦うだけ」という戦い方では、イラリーの自動ヒール+ダメージ性能に立ち向かうことができません。
「中途半端な正面でのポークのような何か」のような戦いになってしまっている初心者やレートの高くないプレイヤーにとっては、イラリーは鬼門でしょう。
初心者脱出のためにも、「正面で撃つ」だけでなく、エリアを広げてアングルを作って戦うような立ち回りを学んでいくべきで、イラリーはそういう戦いの試金石になるような性能をしているように思えます。
ただでさえポジション有利な防衛側が、パイロンの回復力やイラリーのダメージ性能でさらに強くなります。
こういうのを突破するために、「正面で撃つ」だけでなく、様々な戦い方を身に着けていかなければなりません。
エリアを取りに行き、広がったエリアを有効活用し、アングルを作って攻撃していくような戦い方が必要で、それに適したヒーローを使えるようにならなければなりません。
エリアやアングル、裏取り、フォーカスの分散などの要素がない「正面で撃つ」というだけの戦いでは、防衛側にイラリーがいると突破は厳しくなります。
※キリコについても、そういうヒーローだったんです。「後ろから撃ってるだけ」のサポートではなく、横や高台を取って積極的にオフアングルから射撃する立ち回りを学べるヒーローです。
しかし、やはりレートの高くないプレイヤーだと、キリコでも味方の後ろでヒールボットになってしまっています。それではあまりよくありませんね。
詳しくはこちらの記事で。
あるいは、イラリーのタレットを破壊するために撃つべき対象が増えたり、アルティメットで上空から射撃されるというようなことも、フォーカスの分散につながる要素ですね。
◯マップの把握・研究
イラリーの回復性能は半分以上がパイロンに依存することになると思います。
秒間50~60ぐらい?(実装時点)で、マーシーがくっついてるようなもんです。
このパイロンを、どのタイミングでどこに置くか。これが非常に重要になってきます。
要点の一つが、マップの研究と把握。
味方がどこで戦うのか、その位置をヒールするためにはどこにパイロンを置けばいいのか。相手から壊されにくい位置はどこか。
あるいは少し戦局が進んだときにはどこに置き直すのか、そのためには自分はどのように立ち回っておけばいいか。
研究用のワークショップを作りました。コードは51BJH。
メイン射撃すると着弾位置から15mの範囲が表示されるだけですが。そこに狙ってパイロンを投げる練習にもなるかもしれない。
しゃがみキーで移動速度切り替え、アルティメットキーで自傷して実際に回復するか確認できます。
「マップ把握・研究」という、Overwatchの重要なことの一つを思い出させてくれます。
(※ワークショップも重要なことの一つ。みんなも作ってみよう!)
◯戦局の把握
もう一つの要点が、戦局の把握。主に攻撃・侵攻する立場で重要です。
防衛する立場では、いい位置にパイロンを置いておけば勝手に回復してくれ、自分は自由に射撃できるのでそれだけでもある程度の仕事はこなせます。
しかし攻撃・侵攻する立場であれば、今からどこでどのように戦闘が起こり、そのためにパイロンをどの位置に・どのタイミングで設置するべきかという重要な判断力が必要です。
しかし、状況によってはこれでいい場面もあります。
相方のサポが誰でどのようにヒールの分担をするのか、相手がどのような構成で、こちらにどのようにダメージを与えてくるのか。
そのあたりを把握しなければなりません。
早く置きすぎるとすぐに壊されてしまう危険が高まります。画像の例だと、ラインハルトがもっと奥に押し込んだ後ならば、あの位置に置いてもいいでしょう。
ウェーブが始まったばかりの時点ではタンクのライフや盾などの防御アビリティ、相方サポートのヒールも十分にあるため、慌ててパイロンを設置しなくてもいい状況もあります。
「はじめはエリアを取れていないので射撃もできないため、サブ射撃のヒールを重視し、タンクが前線を押し上げて射撃できるエリアが広がったなら、ヒールをパイロンに任せて自分はメイン射撃でダメージを出しに行く」というような戦い方も多くなると思われます。
このゲームはアビリティの使用タイミングが非常に重要です。どのヒーローでも、最も必要で最も効果的に刺さる場面で使いたいですね。
イラリーのパイロンも、「どのタイミングなら最も自動ヒールが必要になるのか」という判断ができるようになりたいものです。
クソ難しいですが。
まとめると、イラリーはヒールという一点だけに絞っても、アナやバティストのように「後ろから味方を撃つ」、モイラのように「近くの味方に粉を振りまく」というような単純なものではありません。
「サポートはヒールするだけじゃダメだ」とか言われますが、そのヒールするという行為だけでも一苦労です。戦局の把握に努めましょう。
ベタ足系の構成ならわかりやすい方ですが、ダイブ・フランカー系の構成だと更に難しくなります。もちろん相手も攻めてくるわけで。
Overwatchというゲーム全体への理解度が求められることになるでしょう。
◯味方の理解度も重要
イラリーはパイロンの設置型ヒールが重要なため、味方もそれを意識しておかなければなりません。
タンクやダメージは味方のサポートのヒールが届く範囲で戦いたいですが、イラリーはそれが特殊です。
上にも書いたようにパイロンの範囲だけで戦うと弱いですし、前にエリアを広げに行くとパイロンからはヒールが届かなくなります。
マップや構成、もう一人のサポート等の状況によって、どのように動けるかが変わってきます。イラリーのヒール性能は今までのサポートヒーローたちとは異なるため、新たに経験し学んでいく必要があるでしょう。
イラリーを使うプレイヤーだけでなく、タンクやダメージのプレイヤーもイラリーについての理解度を高めることが重要です。
わからないからボールやトレーサーを出したくなるけども、それだけでうまくいくものかどうか。
◯まとめ
Overwatchというゲームは、あらゆる行為に関して「これだけやっとけばいい」というようなもんではありません。
敵を射撃するだけとか、味方を回復するだけとか。
それはどのヒーローでもそうなんですが、イラリーはそれが顕著に現れているヒーローだと思います。
イラリーはロールはサポートでもしっかりと射撃して敵にダメージを与えていかなければなりませんが、モイラみたいに黒玉投げて雑に攻撃するほど簡単じゃありません。エイムぢからも非常に重要です。
ヒールに関しても、ここで書いたように「ただヒールするだけ」という行為だけでも簡単なことではありません。
パイロンの設置は様々な要因があり、ゲーム理解度・戦局判断能力が求められる奥深いものとなっています。
それ故に、「Overwatchが上手いプレイヤー」が使えばイラリーは強力なヒーローになるでしょうし、イラリーを上手く使えるようになるためには、「Overwatchが上手くなる」必要があると思います。
そういう意味で、イラリーはOWの大切な全てのことが詰まってるんだよと、そう思います。タイトル回収。
いや、全てじゃないけど。ここに書いてないこともまだまだあります。
アウトバーストとかULTの使い方とか、他のサポートとの比較とか、どういう構成が強いかとか。
◯後記:「できるようになる」こと。
話が逸れるんですが、OWに限った話ではなく、「初心者向け」というものには二種類あると思っています。
一つが、「初心者の能力でもできること」。
OWでいうならば、「コントロールセンターで全員ソルジャーの5vs5デスマッチをする」というのは、OWに詳しくない初心者でも遊ぶことができます。
もう一つが、「初心者を脱出するために必要なこと」。
OWでいうならば、「OWというゲームの基礎を示し、OWというゲームを楽しめるようになる」ようなことです。
私がたくさん書いてる記事も、こっちの意味での初心者向けのつもりです。
前の例のソルジャー5vs5デスマッチというのは、初心者でも楽しめるかもしれませんが、それはOWを楽しんでいることにはなりません。
それでは、かなしい。
イラリーというヒーローは、前者の意味では初心者向けではありませんが、後者の意味では初心者向けだと思います。
そういう意味で、「いいヒーロー」。
2023/08/17 山下
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