【OW2】モイラはOWの大切な全てのことが詰まってるんだよ
でも、ほとんどの人がそれに気づかないんだ。大切なのはそこから何かを学ぶってことさ。
私は基本的に「野良マッチで勝つために」とか「レートを上げるには」みたいなことは書かないんですが、あまり高くないレート帯で停滞している人ならば、「モイラなら勝てるようになるかもね」と書きたくなるぐらいのヒーローです。
◯インファイト・デコイ性能
モイラの大きな長所の一つとして、他のサポートヒーローよりも近距離で戦え、インファイト・デコイとしての性能が優れている点が挙げられます。
これらはOWにおいて非常に重要なことです。特に、あまりレートの高くない野良のマッチにおいては。
「サポートはヒールだけしてちゃ駄目だ」なんてよく言われます。もちろんヒールだけしてればいい場面もありますが、それだけではジリ貧になることも多くあります。
特にレートの高くないマッチならば、タンクの被弾が多くヒールすることに手一杯になってしまうこともあるでしょう。
しかし、それだけでは後手後手で何も解決しません。相手は撃ってるだけで勝てます。
そこで、他のプレイヤーがデコイとなり、相手のフォーカスを分散させることで、そもそも味方への必要なヒール量が減ります。
味方は被弾が減るため、隠れたり逃げたりせず、盾や防御系のアビリティを浪費することもなく、攻撃にリソースを割くことができます。
サポートヒーローの200ライフというのも重要なリソースの一つです。
モイラはタンクに比べれば体が小さく弾も当たりにくく、弾が当たったということは間接的に味方を守っているようなもんです。
実戦での例。ザリアに焼かれるモイラ。
わざと食らってます。モイラはフェードで逃げられるので、死ぬ前に逃げればいいんです。
この間に、他のヒーローは安全に戦えます。上の画像だとメイがザリアを攻撃していますね。
例:ありがちな光景。
テクテク歩いてくるだけのザリアに焼かれるプレイヤーたち。ザリアは強いので撃ってもヒールしても埒が明きません。
オーバーウォッチも他のFPSと同じく、撃ち合うよりもフリーで撃つ方が強いです。
タンクだけでなく、サポートのモイラもアングルを作ってデコイとしての役割を果たすことで、間接的に味方が守られ、味方が自由に攻撃するサポートをすることができます。
実戦での例。アナイアレーション中のラマットラを誘う。
アナイアレーションの継続ダメージだけなら、モイラがサブ射撃で吸ってれば余裕で耐えられます。パンチ食らったら逃げればいい。
これにより、味方が守られます。
別の例。
メイが固まってるときにモイラがデコイになれば、メイが逃げる余裕が生まれます。モイラもフェードで逃げられますね。
◯攻撃性能
繰り返しになりますが、相手からの被弾を減らせばそもそも必要なヒール量が減り、味方も自由に戦うことが出来ます。
上の項目ではデコイ性能を紹介しましたが、モイラは攻撃性能も特色があり、チームの攻撃への貢献度を高めることが出来ます。
やはりモイラの最大の特徴として、黒玉+ほぼオートエイムのサブ攻撃はそこそこの脅威です。
もちろん他サポートのヘッドショットには瞬間火力で劣りますが、被弾した敵を仕留めるには非常に良い性能をしています。
モイラはインファイトができるヒーローなので、他の味方がダメージを与えたときにすぐに追撃できるヒーローです。
ラインハルトのファイアストライク、シグマの岩、ジャンカークイーンの斧など、タンクがそこそこ大きいダメージを与えた場合でもそれを見逃さずに攻め込めます。
他のサポートヒーローや中遠距離系のダメージヒーローでは、なかなかそういう攻撃は難しいです。上手い人ならできるけど。
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また、フェードの機動力も攻撃性能に貢献します。
いつでも逃げられるので、味方のインファイターと共に近距離で攻撃したり、予め隠れておいて裏や横から奇襲することもできます。裏取りコアレッセンスは強力。
参考:ワールドカップ予選、インドvsタイ。
勝ったほうが(実質)本戦進出という大一番のオーバータイム。
動画は↓。時間指定してあります。
あるいは、ウィンストンが敵に飛べば100ダメージくらいは与えられるので、モイラもフェードで便乗し黒玉+サブ攻撃により200族を倒すか、倒せなくともかなりの防御系アビリティを浪費させることになるでしょう。
ウィンストンのバリアがあればフェードを使っていても多少は大丈夫です。
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実戦での例。アイヘン第ニでオーバータイム。
硬いオリーサにバティストがヒールをしており、埒が明かない。ハンゾーのワンピックを待つしか無いのか。
モイラなら、打開のきっかけを作れます。
オーバータイムこそ、リスクを負って攻撃。フェードでインファイトを仕掛けに行きます。
シンメトラを倒しきり、リーパーもバックラインに圧をかけることで正面を瓦解させます。
このような、前線やバックラインへの圧力というのは非常に重要です。
私がよく揶揄している「中途半端な正面でのポークのような何か」では、状況を打開することは難しいです。
サポートヒーローも、味方の後ろでヒールすることに夢中になるだけでは、あまり戦局に影響を与えることはできません。
(まあこの場面は赤チームが人数有利なんでそのままでも勝てそうですけど。)
◯野良適性の高さ
野良のライバルマッチ、それも高レートのハイレベルな試合でないならば、理想よりは現実を求めたほうが勝利には繋がりやすいこともあるでしょう。
技量の理想でいえば、ウィドウメイカーやハンゾー、ゼニヤッタなんかで頭を抜き続けていれば勝てるでしょうが、もちろんそれは不可能です。
連携の理想でいえば、今は多少の逆風はあるにしろ、ウィンストン・トレーサー・ソンブラのダイブが成功すれば勝てるでしょうが、それも野良ではなかなか難しいでしょう。
理想を求めてそのようなヒーローや立ち回りをしても上手くいかない場合は多く、ならば現実的に活躍できるような戦い方をしたほうがよく、そういう意味ではモイラほど現実的なヒーローはいないでしょう。
もちろん多少の得手不得手はあるにせよ、ある程度はマップや味方・相手を選ばずに使うことができますし、エイムのような技量の問題もありません。
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また、モイラは味方依存度が低いタイプのヒーローです。ファラにヒールを回すのが苦手なぐらいで、相方のサポートが誰でもあまり問題はないですし、自身の機動力や生存能力もあるので「味方が守ってくれないから死んだ」というようなことにもならず、積極的に戦うことができます。
以前にアナの記事でも紹介したんですが、野良のトッププレイヤーML7が、サポートヒーローでのレートの上げやすさを動画にしていました。
(※サムネのランクアイコンとヒーローは対応してないので注意。)
その中で、新規アカウントで初めてグランドマスターまでに到達するまでの試合数を紹介していたんですが、アナとモイラはどちらも94試合でした。
トップレベルの実力を持つプレイヤーが、グランドマスターに到達するまでのプラチナ~マスターのマッチでスマーフしていたとしても、アナとモイラでの必要な試合数は同じだったのです。
動画内では様々なスタッツを紹介していましたが、やはりモイラは単純なキル・ダメージ・ヒールの数字はかなり大きくなります。
レベルの高くない試合では、他のサポートヒーローの「間接的なサポート」よりも、そのような直接的な数字のほうが試合に与える影響は大きいかもしれません。
間接的なサポートとは、例えばマーシーがダメージブーストをしても、付けているプレイヤーが下手では効果は薄いです。
ルシオのスピードブーストは、そのようなラッシュ戦術を理解しているプレイヤーたちがいないと効果を発揮されません。
アナが阻害瓶を当てても、それに乗じて一気に攻めきるような連携は、野良ではなかなか難しいでしょう。
レートのあまり高くないプレイヤーの方たちは、ぜひリプレイを見直してみてください。
自分でもいいし、味方や相手でもいいんですが、アナの阻害瓶がどれほど有効にキルに貢献できているでしょうか。
例えば、ウィンストンやトレーサーがダイブするところへ阻害瓶を投げられているでしょうか。
そもそもそういう戦術や構成になっているでしょうか。
あくまでも私の体感・目安ですが、有効的な阻害瓶とそれに乗じた攻めが成立するのは、野良のレートでいえばマスターぐらいからだと思っています。
(阻害瓶だけの話で、他の要素も含めて総合的にアナが活躍している場面はもちろんたくさんあります。)
そのように、アビリティを有効活用するのはなかなか難しく、さらにエイムやポジション・立ち回りなんかもサポートヒーローは難しいですが、モイラはそれらの点についても問題ありません。
厳密なエイム力は必要ないですし、フェードによってすぐに逃げられるため、積極的なポジションを取ることができ、被弾を恐れて隠れ続ける必要もありません。
モイラはフェードの機動力・離脱能力により、「自分が味方に合わせる」という行為がしやすいヒーローです。
「味方が連携してくれないから負けた」ではなく、「自分が味方に合わせにいく」ことが、野良マッチでは重要です。
タンクが突入・ダイブするタイミングが分からなくても、モイラなら簡単について行けます。
それらの意味でも、モイラは味方依存度は低く、自分でアクションを起こせるヒーローです。
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モイラというヒーローのもつ理想的なポテンシャルの最大値というのは、他のサポートに比べると低いかもしれません。
しかし、持っているポテンシャルを引き出しやすいヒーローだと言えるでしょう。
他のサポートヒーローでは、野良のマッチでは様々な要因により、ポテンシャルを引き出すことは難しくなります。
自分の技量の問題もありますし、自分が頑張っていても味方への依存度もあります。
能力の問題だけでなく、実戦での影響力の与えやすさという点でも、他のヒーローだと射線が通らない、敵に絡まれる、機動力がない等の要素により、パフォーマンスを発揮できない場面・時間が多くあるかもしれませんが、モイラは比較的安定して仕事ができます。
◯モイラを「使えるようになる」こと
さて、ここまででモイラの特徴や長所なんかを説明し、野良マッチでは他のサポートよりも活躍できる場面も多くあるよという話だったわけですが、もちろんそれはモイラをある程度は使いこなせる必要があります。
モイラはエイムの部分は間違いなく他のヒーローよりも使いやすいですが、他の立ち回りに関して言えば決して簡単ではないかもしれません。
この記事でここまで書いてきたように、モイラは他のサポートヒーローとは立ち回りが根本的に異なる部分が多くあります。
デコイ性能やインファイト性能を発揮するには、そういう立ち回りをしなければなりません。
「味方の後ろのほうで撃つだけ」というようなプレイングでは、もちろん他のサポートでもそれは駄目なんですが、モイラだともっと悲惨なことになります。
この記事で書いたことが全てではありませんが、モイラの長所を発揮して活躍するためには、例えばインファイト・デコイ性能、攻撃性能なんかを活かすような戦い方をする必要があります。
そのために必要なことは、サポートだからといって味方への回復に夢中になることではなく、戦局を広く見極める能力が必要になります。
どの相手に絡みに行けばデコイとなり味方は活躍しやすいのか、フェードを使って相手を倒し切るためにどのタイミングで飛び込めばいいのか、あるいはどのタイミングで逃げればいいのか。
もちろん攻撃だけでなく味方へのヒールはし続けなければならず、そのためには味方の後ろで前方にヒールを撒くだけではダメです。
しっかりと前線で味方と戦いながら、味方をヒールし、相手にダメージを与え、デコイとなって被弾もし、フェードの機動力を活かすような戦い方をしていかなければなりません。
そしてそれらは、決して「モイラだから」重要なことではありません。
多くの場合において、味方と連携し、敵に接近し、積極的に戦い、リソース交換をし、キルトレードをしながら勝利を目指すゲームです。
オーバウォッチというゲームは中遠距離から撃つだけのゲームではありません。
もちろん全てのヒーローでインファイトしたりデコイになるべきだなんて言うつもりはありませんが、それらの役割を全て放棄した「中途半端な正面でのポークのような何か」の戦いでは、なかなか勝利することはできないでしょう。
それらの意味で、『モイラはOWの大切な全てのことが詰まってるんだよ』と、そう思います。タイトル回収。
モイラは性質上、タンクに近いような戦局・エリアの判断が必要なことも多くあります。
後ろで撃つだけでなく、そのような能力を鍛えるとオーバウォッチが上達していくことでしょう。
みんなもタンクやろうね!
◯モイラは完璧で究極のサポートなのか?
もちろんそんなことはありません。モイラの弱さ・至らなさも考えていきましょう。
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まず、「インファイト・デコイ性能」についてですが、試合のレベルが上がると通用しなくなります。
相手のエイムやフォーカスが良くなると一瞬で死んでしまいます。スタン系アビリティ+ヘッドショットをくらうと終わりです。
「フェードで逃げればいい」と書いてますが、フェードを切ったモイラというのは絶好の攻め込むチャンスです。
レートの低い野良のマッチならば、モイラがどこかに行ったらすっかり忘れて無視するかもしれませんが、試合のレベルが上がるのならばそのスキを突かれることでしょう。
あるいは、デコイ性能も相手の連携・状況判断が優れていれば機能しなくなります。
モイラはパワーがあるヒーローではないので、無視されて一気に潰しに来られると無力です。
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また攻撃性能についても、決して弱くはないでしょうが、エイムが良ければ簡単に凌駕されます。
エイムがいいプレイヤーが使うバティストやゼニヤッタ、イラリーなんかはとんでもない火力を叩き出し、わざわざモイラのようにインファイトしてアビリティを消費せずとも、簡単に安全に相手にプレッシャーを与えることができます。
あるいは、キリコというヒーローは上位互換とは言わないものの、モイラの役割よりも優れている場面も少なくありません。
壁登りと神出鬼没によりモイラよりも積極的なアングル・ポジションから、ヘッドショットによる高火力を叩き込むことができますし、鈴のご加護は非常に強力なアビリティです。
キリコはモイラよりも圧倒的に難しいヒーローですが、使いこなせればそのぶん強力でしょう。
野良の適正においても、自分も味方もレベルが高いのならば、他のヒーローのポテンシャルを存分に発揮したほうが活躍できるような場面も多くあるでしょう。
上の方に、「味方が下手だとダメブやスピブ、阻害瓶なんかは有効活用できない」ということを書きましたが、味方が上手かったら有効活用できるわけで、もちろんそれらは強力です。
あるいはモイラは、ブリギッテやルシオのようなブープ、キリコやバティストのような無敵アビリティを持たないため、味方を相手から守ることも得意ではありません。
相手が上手く、積極的にダイブ系の攻撃をしてくるような場合であれば、そのようなヒーローでないと味方がキツくなることでしょう。
※もちろんモイラはダメというわけではなく、トッププロや代表レベルの競技シーンでも採用されることも珍しくはありません。多くはありませんが。
追記:
モイラの立ち回りはオーバーウォッチにおいて重要なことの一つではあるんですが、モイラだけやってても上手くはなりません。
エイムはもちろんポジショニングや状況判断なんかは、他のサポートヒーローの場合はもっとシビアなものを要求されます。
モイラのような立ち回りができるようになることはオーバーウォッチの成長に繋がるでしょうが、モイラのような立ち回りしかできないとオーバーウォッチは下手になります。
◯考えること。
ここまでの説明だと、「モイラは低レートだと強くて高レートだと弱い」というような感じがあります。
もちろんそれは間違ってないと思うんですが、ここで重要なのは、「なぜ低レートだと活躍でき、高レートだとできないのかということを考え、理解し、実践すること」です。
レートの高くないプレイヤーがサポートをやると、味方の被弾の多さもあって、どうしてもヒールに夢中になってしまいがちです。
しかし、それだけでは上手くいかない試合も多くあるでしょうし、そのままだと上手くならず、レートも上がらないでしょう。
そういう場面で、「なぜ上手くいっていないのか、どうすれば上手くいくのか」ということを考え、実戦する必要があります。
もちろん全てのプレイヤー・全てのマッチがそうだと言うつもりはありませんが、レートのあまり高くないプレイヤーの多くは、私が「中途半端な正面でのポークのような何か」と揶揄するような、消極的なプレイングが目立つ印象があります。
それだけでは、攻め込むチャンスが生み出せず、そのチャンスを活かせず、タンクがただただ被弾するだけでヒールに追われ、さらにチャンスが作れなくなります。
それらを解決する可能性を、モイラは秘めていると言っていいでしょう。
ただし上にも書いたように、モイラは決して強く万能というわけでもありません。試合のレベルが上がれば通用しなくなることも多くあるでしょう。
であれば、通用しなくなるような戦い方は強いという意味でもあります。
この例では、モイラに絡まれたぐらいで対応に追われ、自由にプレイングできなくなるようなバックラインでは弱いわけです。モイラの思うつぼです。
しかし、上手いプレイヤー・強いチームであれば、モイラに絡まれようと、自分たちから積極的にラッシュを仕掛けて相手の殲滅へとフォーカスを向けています。
もちろんこれはあくまでも例ですが、このゲームは積極的にアクションを起こし、攻撃的なプレイングをするほうが強い場面が多くあります。
この記事で書いたように、モイラはそのような積極的なプレイングができるヒーローであると同時に、それだけでは通用しなくなるヒーローでもあります。
それらの意味でも、やはり『モイラはOWの大切な全てのことが詰まってるんだよ』と、そう思います。
他の記事でも散々書いてるんですが、オーバーウォッチというゲームは基本的にアクティブに・アグレッシブに攻撃を仕掛けるほうが強い場合が多くあります。
「突っ込んで死ぬやつはトロール」という感想を抱きがちですが、突っ込んで死んでいくぐらいの積極性があっていいと思っています。
特にサポートプレイヤーは、「味方が遠くに行くからヒールできない」というのは、典型的な勝てない思考です。
自分も一緒に突っ込んで戦えるようになるといいかもしれません。
追記:
やっぱモイラはパワー不足に悩まされることが多いですね。
もちろんモイラのような立ち回り・役割が必要なこともあります。適材適所ということで。
2023/09/24 山下
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