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たまには、プロジェクトのことでも話そうか。価値創造デザインプロジェクト2021の途中経過。

たまには、こういうことでも書いてみようかと思い立って。よろしければ、お気軽にお読みください。

※ 写真、全員の顔が入り切りませんでした(笑)

山縣ゼミ / 価値創造デザインプロジェクトって、どういう企てなんやろか。

昨日、ゼミのプロジェクトでご一緒させてもらってる方とオンラインで話をしているなかで、そのプロジェクト先でインターンさせてもらってる4回生のメンバーが、うちのゼミについてこう語ってくれてたらしいです。

「ぱっと見、キラキラしてるけど、入ってやってみたら、ほんまにガチ」(趣旨)

よく捉えてくれていると思います。おそらく、これまでプロジェクトを経てきたゼミメンバーは、たいがいそう感じてるような気がします。

私の願望的な部分も含みますが、おそらくその「ガチ」をしんどいと感じつつも、楽しんでくれてる、目一杯やってくれてると思ってます。「ガチ」でやってるからって、ゼミがギスギスしているってことはないです。「ガチ」でやってる以上、時としてぶつかることはありますが、それをちゃんと包み込める心理的安全性は、それなりにあるかな、と。そのためにも、ゼミのメンバーには「Respectは絶対に忘れんといて」とつねづね伝えてます。ゼミの他のメンバー、プロジェクト先のみなさん、プロジェクト先のその先にいる方々、そして自分自身にもです。もちろん、その際にはコンフリクト(対立や葛藤)が生じます。でも、Respectを軸に置くことで、それを創造的にどう乗り越えるか(=aufheben)への途も拓かれます。

だからこそ、「学びも遊びもガチ」が一つのモットーにあるわけなんです。「遊び」というのは、緩急を自ら操ったり、また時として流れに操られることをも楽しむところに特徴があります。「学び」にガチというのは、ある意味で目的志向性 / 目的適合性に偏りがちです。しかし、それだけだと痩せ細ってしまうんですよね。「学び」のための「遊び」でもなく、また「遊び」のための「学び」でもない。それぞれが同時に違うリズムで重奏することで、どちらもが響きあうってのを、ひとつの「ありたい状態」として、私は想い描いています。

価値創造デザインプロジェクトの狙いは、こういう姿勢でやっています。なので、プロジェクト先のみなさんも、山縣ゼミの特徴(クセともいうw)をご理解くださって、ご一緒くださってます。ほんとに嬉しいことですし、ありがたいことです。

ということで、ここから途中経過ではありますが、2021年度の価値創造デザインプロジェクトについて、簡単ではありますが、ご紹介いたします。だいたいの五十音順です(笑)

※ゼミの写真は、10月14日の光景です。撮影してくれたのは、13thメンバーの鍵矢竜次です。ありがとう。

(1)IDLさんとのプロジェクト:京丹後の“関係人口”を増やす

3年目に入ったインフォバーン(Infobahn Design Lab ; IDL)さんとのプロジェクト。経営学のゼミでなぜ地域課題を?と思われるかもしれません。インフォバーンさんがサービスデザインなどの領域で、日本では先進的な活動をされていることについては、ご存じの方も多くいらっしゃるかと思います。

山縣の研究課題あるいは研究上のキー概念の一つに、〈価値循環〉があります。ドイツの経営学者・ニックリッシュによって提唱された概念ですが、これを現代的に考えると、エコシステム的な捉え方につながってきます。

地域という時空間がいきいきするというのは、そこにかかわる人や企業、組織、行政などが、それぞれにやりたいこと、できることを発揮しつつ、それぞれの生 / 生活が豊かな状態になっていく(物質的な話だけではありませんし、何か窮極的ゴールがあるわけでもありません。つねに動きつづけると考えるほうが、より適切でしょう)ことだと、ひとまずイメージを置くことができるかと思います。そうなったときに、当然そこに参加する「人」の存在が大事になってきます。いわゆる“地方”が抱えてきた大きな課題の一つに、その「人」が都市部にどんどん流出してしまって、戻ってきてもらえないという点があるわけです。

そのあたりについて、これまでもいろいろリサーチをさせてもらってきたのですが、ようやく今期になって具体的な活動にできそうなところまでやってきました。詳細はまだお知らせできればと思いますが、先日のゼミでメンバーから聴いた構想は、なかなか興味深いです。京丹後の方々、IDLの方々と議論しながら、ブラッシュアップしていってくれるものと思います。

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(2)大阪タオル工業組合さんとのプロジェクト:「届けるしくみのデザイン」

こちらも3年目に入りました。泉州タオルは後晒しという製法で、すごく吸水性もいいし、肌触りもいいんですが、いかんせん、今治に比べてブランディングなどで大きく後れを取ってしまっているのが現状です。1年目は、タオルというモノの位置づけを捉え直すという〈意味のイノベーション〉のアプローチから出発し、2年目の昨年度はプロジェクトの展開のなかから「届けるしくみ(=流通などの接点や流れ)のデザインに課題があるんじゃないか」という問題意識が浮かび上がりました。

3年目の今期は、この問題意識から出発して、「届けるしくみ(=流通などの接点や流れ)のデザイン」をテーマに取り組んでいます。具体的には、ECプラットフォームのBASEを活用した届けるしくみのデザイン、さらにポップアップストアの開催など。複数の流れを組み合わせながら、いかにして同世代(世代だけではないですが、近い感性として共有してほしい人たち)に届けるのかに挑んでいます。

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以下のInstagramで、いろいろ発信してますので、ぜひフォローいただけると嬉しいです!(リンクが変な感じですが、ちゃんと飛べます)

ちなみに、直近ですが10月17日から19日に、大阪市中央区安堂寺町2-3-38にある galleryとcafeこここ さんで、ポップアップストアを開催させていただくことになりました。

そうそう、10月17日には近くの大槻能楽堂で大槻文藏さんの『維盛』の上演もありますので、能好きの方はお帰りの折、あるいは能が始まるまでの折にぜひお運びくださいませ。


(3)ALL YOURSさんとのプロジェクト:響きあう“共犯関係”を広げる

今年から始まったALL YOURSさんとのプロジェクト。アパレルとして、すごく興味深い展開をされてるALL YOURSさん。新しい、これからのビジネスのありようをぐいぐい模索されている企業さんです。個人的に、始まった「環す」はすごく興味を持ってます。

そのALL YOURSさんとのプロジェクトは、自分たち(大学生)と同じ世代にどうやってALL YOURSの魅力を伝えて、“共犯”関係をいかにして広げていくかというテーマ。ALL YOURSさんをご存じの方ならわかってくださると思うのですが、バズるとかそういうやり方の対極を進んでいくところにALL YOURSさんの魅力があります。そこを踏まえたうえで、どうやってその魅力を伝えるのか、そこに取り組んでます。

ここでのキーワードはナラティブとストーリーテリング。ナラティブとは、その人の生活そのものであり、それを「語り」として言語化していくところに特徴があります。しかも、一人語りの場合もありますが、対話のなかで引き出されてくるという側面も。直線的な語りというより、星座的に浮かび上がってくるような、そんなイメージです。そのなかに、ある「筋」によって浮かび上がってくるのが、ストーリー。このあたりを表現していくことで、押しつけがましくない、けれども共感していける、そういった流れを構築しようとしています。

なかなか難しいですが、一緒に見ている私は楽しいです。これこそ、クリエイティブと呼ばれている活動だと思うので。

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(4)木村石鹸さんとのプロジェクト:生活を深く掘り下げて、未商品に表舞台に。

木村石鹸さんとのプロジェクトは、今年で4年目。昨年度から始まった「きむら部のきむらじお」は、今年度も続いて発信しています。今回のも個人的にはけっこう面白かったので、ぜひ聴いてやってくださいませ。

今年度は、このきむらじおでの発信のなかでも触れられていますが、今まで製品としてはある程度かたちになっていたけれども、商品にはなっていなかったものを、お客さんに届くようにするというのがテーマ。パッケージなどの表層部分も大事ですが、「そもそもその製品(未商品)って、どういう生活の状況だったら使いたくなるの?」という点に遡って、その方法を考えてます。

もちろん、サービスデザインの考え方や方法を駆使してます。
これも、横で見ていて、なかなかよくやってるなぁと思います。もちろん、私からもヒントは出しますが、そこから自分たちでリサーチしたりして(ぜひ、#2-5を聴いていただきたい!)、その可能性を掘り起こそうとしています。どんなかたちになるかは、私もわかりません(笑)でも、期待できそうです。

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(5)錦城護謨さんとのプロジェクト:錦城護謨をワクワクの泉にする。

こちらも、今年から始まった錦城護謨さんとのプロジェクト。錦城護謨さんといえば、シリコーンロックグラスで名前をご存じの方も多いかもしれません。

私も第1弾のを愛用しているのですが、透明で割れない(きれいだし、扱いやすい)ので重宝してます。

その錦城護謨さんとのプロジェクトは、「錦城護謨をワクワクの泉にする」がテーマ。このテーマも最初から決まっていたというよりは、「従業員からのインナーブランディング」というテーマから浮かび上がってきたものです。

すでに錦城護謨さんは、Loftworkさんと一緒に企業風土 / 企業文化をどう風通しのいいものにするかという試みを展開されてます。

うちのゼミとのプロジェクトは、こちらとも似ているのですが、学生とやるんやからということで、若い従業員の方々といっしょに、サービスデザインの考え方を活かしながら、「錦城護謨やからこそ描いて、実現できる、これからの社会ってどんなん?」という問いについて考えています。

ある意味で、大学生がインナーブランディングというか、デザイン経営のプロセスに参画させてもらえる機会というのは、まずないと思います。その点でも、近畿大学経営学部(当時は商経学部)の卒業生でもある太田泰造社長が思いっきり踏み込んでくださったのは、めちゃくちゃ嬉しく、またありがたい限りです。

まさに「泉を掘り起こしていく」わけなので、中長期的ではありますが、おもしろいことになっていきそうです。

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(6)友安製作所さんとのプロジェクト:集う楽しみをDIYで。

こちらも3年目。1年目は商品開発、2年目はYouTube発信とつづいて、今回はTikTokも活用。

ご存じのとおり、友安製作所さんは、もともとカーテンレールなどの金属加工からスタートして、今はインテリア全般、そしてDIY、さらにはそれを楽しむ場としてのホームパーティーの推進(←これ、サービスドミナント・ロジック的にすごく興味深い企てだと思ってます)も展開されてます。

今期は、ホームパーティーというのを念頭に置いて、「集う楽しみ」に興味がある人、DIYに関心がある(けど、めんどくさそうで踏み込めてない)人に、どうやって実際に楽しんでもらえるように、その流れや道筋を構築するのかがテーマになってます。

TikTokをやってるのも、単にバズらせたいとかそういうのではなく、こういう楽しみに関心がある人たちに参加してもらえるような〈価値の流れ〉をデザインするというねらいがあるからです。

なので、コンテンツ制作はもちろんですが、同時にCVCA(顧客価値連鎖分析 / 価値循環マップ)を使って、どういう価値の流れをデザインするのかとかも考えながら進めてます。

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ガチでやるから、結果的にキラキラする。別に狙ってるわけではない。

冒頭にも触れたんですが、山縣ゼミってキラキラしてるように映るみたいです。そう思ってもらえるのは、もちろん嬉しいことです。でも、それを狙ってるわけではないのです。

そもそも、私自身、あんまりキラキラしてるのは得意ではありません。どっちかというと、地味でも「じつは、これウチがやってるんです」みたいなのが好きです。だから、キラキラしてるって言われても「あー、ありがとうございますー(知らんけど)」みたいな心持ちになることが少なくありません。

ただ、一つ言えるとすれば、メンバーは当然ですが、プロジェクト先のみなさんもガチで(別に、決闘みたいな緊張感じゃないですよ。ガチで楽しみながらやってるってことですw)やってくださるので、自然とキラキラしてるように映るってことなのかなと思ってます。

ゼミメンバーがいきいきしてるという意味でキラキラしてるのは、ゼミ担当としてはこんなに嬉しいことはありません。ただ、それは結果としてそうなってるというだけのことです。どちらかというと、入ったときはふつうであっても、やっていくなかで徐々に磨かれて光ってくれていってるというのが、うちのスタイルかなと。

これは今年に限らず、これまでもそうでした。これからも、そうありたいと思ってます。

価値創造デザインプロジェクト
全体テーマ:価値の流れをデザインする
モットー:学びも遊びもガチで

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