現場訪問ガイド
背景
前の記事の補足として、個人で現場訪問のガイドを作成しました。
このガイドはこれまで複数回現場に足を運んだ自身の経験を抽象化したもので、汎用性の高い要点を型として体系的にまとめています。
このガイドに沿って現場訪問を行えば、ある程度の水準で価値ある時間にできるはずです。
全体の流れ
1. 現場訪問準備
2. 現場訪問
3. 振り返り
4. イシュー整理
5. イシュー解決
1./ 訪問準備
現場訪問準備でやっておくべきこと。
・現場訪問の狙いを定義
・現場訪問の解像度を上げる
・現場訪問のスケジュール調整
現場訪問の狙いを定義する
なぜ現場訪問するのか?という問いに答えられる状態にする。
訪問するメンバー全員で共通の目的認識が持てていないと情報共有、行動の調整に時間がかかる。
狙いの具体例
・「リリースに向けた最初の訪問で、現場の課題感を掴む」
・「検証してきたプロダクトが、実業務で使える状態であるかを確認する」
・「リリース後、現場スタッフにインタビューを行って実態を掴む」
現場訪問の解像度を上げる
事前にデスクトップリサーチすることで、現場訪問で得られる情報を最大化する。何も知らないよりも、ある程度知っている状態で訪問する方が、気づきが得られやすくなる。
デスクトップリサーチ
・現場の周辺情報
・パートナーの基本情報
・N1インタビュイーの情報
・データ分析
現場訪問のスケジュール調整
現場訪問は何度も気軽に行えるわけではない。
関係者が多く、時間も限られているため無駄のないスケジュールで進める必要がある。
時間の調整
・インタビューの時間
・観察の時間
・デモの時間
・振り返りの時間
・移動の時間
2./ 現場訪問
現場訪問でやること。
・観察
・デモ
・インタビュー
・議論
・メモ
観察
何よりもまず観察。目の前で起きている事象にある背景や原因を探り、言葉にする。言葉に落とし込み、客観性が担保されて初めて正しく認識できたことになる。気になった描写などは写真も取る。
デモ
自分たちの仮説と実態を検証し、想定内と想定外の事象を炙り出す。
自分たちが体験することはもちろん、現場の方にも触ってもらう。
現場の方には文脈とゴールだけを共有し、プロダクトを触ってもらう。
プロダクトの扱い方は詳細まであえて説明しない。どこでつまづくのか、どうやって学習するのか、どう操作してゴールに向かうかを見るため。
ただし、質問を受けたり、解決できそうにないつまづきを目にしたらサポートに入る。
インタビュー
録音しておくと振り返りやすい。
お客様やスタッフの理解度が高いメンバーを連れて行けるなら呼んだ方が良い。カスタマーサクセスのプロがいた方が吸い上げられる情報の質と量が上がる。(と、感じる)
オープンな質問から、クローズドな質問に進む。話の途中で遮ることはしない。傾聴する。表情やトーンなどにも意識を向ける。
議論
観察、デモ、インタビューまで行っていくと、課題や改善点の多くが見えてきている。中でも重要度が高く、熱が向けられる要点はその場で議論をしても良い。
議論には最終結論を設けなくても良い。答えが出なくても示唆や検討項目としての重要性の認識が取れたりすればそれだけで価値があるので、議論したい点は躊躇なく行う。
メモ
メモ。メモ。メモ。気づいたらとにかくメモ。どんなことでもメモ。
Slackを使っていればスレッドを作り、そこに気づいたことを書き残しておく。
3./ 振り返り
準備から現場訪問終了までを総括した内容を400字程度にまとめる。
大きなイシューを定義する。
イシューは「~できる様にする」といった形式で課題に対してWillを含んだ表現にする。
「~できていない」の様な否定的な表現は悲観要素が含まれ、心理的に解決に向かいづらくする。
振り返りはなるべく現場訪問を行ったその日に行っておく方が良い。
生々しい感覚が残っている状態で言葉に落とした方が後々振り返るよりも価値が失われにくい。疲労感で辛いところもあるが、頑張りどころ。
4./ イシュー整理
イシュー整理は冷静さ、フレッシュさを持ち込みたいので時間を少し空けてから行う。
現場訪問を行った次の日の朝が理想。一番頭が回るし、前日の生々しさが残っている状態だから。
定義したイシューに対して、Doを検討していく。
イシューにはWhyとWhatが明確ですぐに行動に移せるもの、移せないもの。
行動に移す価値の大きさが明らかなものと、そうでないものの振り分けを行う。
イシューに対して考察と議論が必要なものは関係者を巻き込んで、背景/前提条件/事実を踏まえた上で本当に解決すべきかを見極め、どう解決するのかを検討する。
5./ イシュー解決
イシューの整理で明確なイシューとHowの方向性が決まったら解決に動く。
この時点で動きづらいという状態はほとんどない。
逆に動きづらさが残っている場合は、整理時点での検討が浅かったり、課題の認識がズレていたりする。そうであれば、イシューに関係するメンバーを巻き込んでどう解決するのか、本当に解決すべきかを再検討する。
noteの記事は自サイトに移行しています。