店長と私 #01 はじまり


忌まわしきコロナに邪魔されながら1年間インドネシアでの生活に耐え、7月帰国した。
帰国してまず困ったことは仕事探しである。なんといっても金がない。
「ド」田舎である家の近くに唯一あったドラッグストアは、2、3年前に辞め済みだ。
まだギリギリ歩いて行ける距離にある某コンビニに掛け合ってみたが、「働きたいの?うーん。。。とりあえず連絡先だけ教えて」と言われたが半年経っても連絡がない。
そこで私は自転車で15分ほど走ったところにある某コンビニ②へ向かった。父の車でな。
遠い親戚らしい。しかも人が足りてないらしい。とはいえ私が1人で店に入って「ちょっとオーナー、私あんたの親戚!」と言う勇気もない。なにぶん面識がないものでね。(小さい頃会っているのだろうが、おそらく互いに覚えていない)父は、地域の草刈りだとか祭りだとかでよく会っているそうだから、連れて行くのが懸命だと思った次第だ。別に父が強面だから、相手をビビらせて待遇をよくしてもらおうとか、企んだわけではない。

面接なんて無いも同じだった。履歴書を持って行ったが、死んだ爺さんに横顔が似ているオーナーはそれにちょろっと目を通し
「明日か明後日からシフト入れるかい?」
ふむ、死んだ爺さんとは違って、なかなか話のわかる爺さんだ。

実は私、インドネシアに飛ぶ前二、三ヶ月駅前にあるコンビニ(系列も全く同じの某コンビニだったが、オープニングスタッフだった。ファミリー的な仲良しを都合よく振りかざされ、急な深夜業務などを強要されるのが辛くてやめた。)バイトしていたことがある。それも決め手となったらしい。
『レジの打ち方なんてもう忘れたよ』
なんて今更言えない。ちなみにこの時まで消費税が10%に上がったことやレジ袋が有料化されたこと、コンビニの有り様が以前とは全然違うことなんて全く考えていなかった。

とにもかくにもありがとう血縁関係、ありがとう父、ありがとう爺さんに似たオーナー。そしてありがとう、私の経験値。

そんなわけで私のコンビニ店員ライフはスタートはとんとん拍子で幕を開けた。

(続く)

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