店長と私 #02 出会い

目次の付け方や、読者にどう見えているのかがよくわかってない。もっと見やすくなる方法があるかもしれないが、ひとまずはこんな感じで我慢してほしい。なにか改善策があったら教えてください。

さて、私のコンビニライフ、ドキドキの初出勤だ。私が事務所に入ると、「負」のオーラが漂いまくっているおばちゃんが現れた。どうやらこの人が、うちの父親が言っていた「あの暗い人、20年くらい働いてるよ。あの人になんでも聞いたら良いんじゃない」の、「あの暗い人」らしい。一目でわかった。

オーナーは
「困ったことがあったらこの人に聞いたらいいよ。」
とだけ言った。彼女は低くて小さい声で
「Aです。」とだけ言った。Aさんと書くと、ドキュメンタリーのようになるから、ここでは親しみを込めて “あーさん” と呼ぶことにする。インドネシア語で、Aは「アー」と読むからな。

「はじめまして!これからよろしくお願いします!うちの父親が、あーさんのこと昔からお店でよく見かけてるみたいで、なんでもしってるんじゃないかなって言ってました!いろいろ迷惑かけちゃうかもなんですけど、頑張ります!」

ところで私はおばちゃんやおじちゃんに気に入られる方法を知っている嫌な子供だった。22歳になった今も、しばしば意識しているが、おじちゃんやおばちゃんはハキハキしたワントーン高めの声で喋り、挨拶をしっかりして、いつもニコニコしている青二才が好きなのだ。それに加えて、おじちゃんに対しては何も分からない若者を演じて、相手を立てる。おじちゃんの知識をあたかも今知ったかのように大袈裟に驚き、尊敬した態度を示すと尚良い。おばちゃんに対してはある程度掃除や雑用など、上手くなくてもやる気はある態度を示すこと。また、髪型や服装、持っている手作りっぽい小物や高級そうなもの、お気に入りっぽいものを観察して褒めたり、苦労を労ったりすると良い。

私のようにずるい人間は、ファーストコンタクトでこの人は単純な人間か、そうで無いか。つまりお世辞や建前が通用するか、しないか。無駄話が好きそう?そうじゃない?色々なことをジャッジする。わざとじゃない。自分だってやりたくてやってるわけじゃない。

Aさんはただ少し微笑んで(マスクしてるから本当に微笑んでたかは分からないけど)

「まぁ、私がここで一番長く働いてるのは間違い無いですね。よろしく。」とだけまたしても小さく低い声で答えた。

私の少し上げた声のトーンは虚しく行き場を無くした。

忌々しい。この「暗いあの人」には小賢しい真似は通用しなそうだ。

(続く)

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