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全部、月夜が教えてくれる

もしも、夜しか訪れない世界だったら。そんな世界に暮らす人々が、夜空に光る月をこの暗闇の世界から抜け出す唯一の光だと考えていたら。人は皆、月を目指すのだろうか。 ある夜更けに、雲に覆われた夜空の隙間から眺めるたったひとつの星と一瞬目が合った時ふとそんな事を疑問に思った。 その星は、雲の隙間から見え隠れしていて、私は、あの星はこの暗闇の中で唯一の光だと感じた。 私は、小さな頃から夜が大好きだった。静かだし、人も少ない。昼間の人々の活気が少し残っているあの空気。そして、太陽が昇

    • 恋人を信じること

      そもそも私の根底には、「必ずいつかはひとりになる、みんな私の元から離れていく」という考えがあって、人を信じるのがこわい。 でも今の彼氏と出会って、本気で好きになって、そういった私の恐怖心がとても根強いことに気付いた。 この間、知り合いとの飲み会で、「茉莉ちゃんはもっと彼氏のことを信じてあげなさい」と言われた。その時は、「信じてるよ〜」と笑って流せたけど、「でも茉莉ちゃんが言う、『私は彼氏がいなくても生きていける』みたいな事は、強がって予防線を張っているようにしか聞こえない」

      • 愛犬の一周忌

        本当に大好きだったいちごが亡くなってから、一年がたった。本当にあっという間だったけど、あっという間過ぎて、まだまだ全然立ち直れていない。いまだに散歩中の犬を見かけると、必ず思い出すし、写真や動画を見ては、シクシク泣いている。 いちごのお墓参りに向かう車の中で、「いちご、死んじゃうかなり前から目があんまり見えてなかったから、私の顔覚えてるかなぁ」とお母さんに聞いてみたら、「さぁ〜ねぇ」と言われた。 本当に、覚えてくれていたらいいなぁと思いながら、道中のお花屋さんでひまわりを3

        • 束縛は価値観

          たまに、ものすごく束縛が激しい人の話を聞いたりする。私は束縛などは全くしないタイプの人間なので、そういう人たちのきもちは全然わからないけど、なぜか私は今まで付き合った人にかなりの確率で束縛されてきた。なぜ私は束縛をしないのに、むこうは私に束縛をしてくるのかと、知人Bに聞いてみたことがある。そしたら知人Bは、「茉莉ちゃんが束縛しなさ過ぎて、ほんとに自分のことが好きなのか逆に心配になっちゃうんじゃない?」と言った。なるほど、そういうことか。たしかに、世の中には束縛されることによっ

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          世界中が敵になっても

          たしかに私は彼氏のことを大切に思っている。 世界中の人間が敵になっても、私はいつまでも彼氏の味方でいるということをどうしても伝えたいのに、そんなロマン溢れた言葉、照れくさくてどうしても言えない。だって、いつ私が彼氏のことを嫌いになるかわからないし、「ずっと味方」という愛も、いつどんな形で壊れるかわからない。どんなに私が彼氏のことを大切に思っていて、これからもずっと一緒にいたいと思っていたとしても、そんなの、もうすぐ別れちゃうかもしれないし、彼氏が私のことを嫌いになる日もそう遠

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          花束のバッドエンドと、ドライフラワーのハッピーエンド

          恋愛において私の根底には、必ずいつかはひとりになるという考えがある。この人とずっと一緒に居たいと思っていても、どうせ私の元から離れていくんだと勝手に思っている自分がいる。 花束みたいな恋をしたという映画を観たことがないけど、ものすごく流麗で、儚くて、本当に芸術的なタイトルだと最近気付いた。それは、私が今まさに花束みたいな恋をしているからかもしれない。 彼氏と過ごす何気ない日常が、まるでドラマのワンシーンみたいに特別で尊いものに感じる。朝日が差し込む部屋も、今までは1人で目覚め

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          生まれて初めて告白した日

          彼氏ができた。あんまりかっこよくないし、私より細いし、身長もちょっと低いけど、話す時の声のトーンとか、纏ってる空気感とか、歩き方とか、ちょっと姿勢悪いけど、肩から頭にかけてのシルエットがとても好き。何よりも、彼氏と一緒にいる時間がとても楽しい。ずっと笑ってる気がする。ひねくれた私じゃなくて、可愛い私でいられる。正直、最初は絶対ナイと思ってた。でもちゃんと話してみたら、めちゃくちゃアリだった。 私が彼の事を意識し始めたのは、たぶん3月くらい。いつも一緒に呑みに行ってたけど、そ

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          私が死んだら

          私が死んだら、一体何人の人が涙を流してくれるかな、と疑問に思ったことがある。多分、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、おばあちゃん、おじいちゃん、いとこ、叔父さん、叔母さん、友達、近所の人、もしかしたらバイト先の人、泣いてくれるかな。 去年の夏に愛犬が亡くなって、生まれて初めて死というものに直面した。今まで、親戚の中でも誰も死んだことがなかったから、身近な生き物が死ぬってこういうことなんだな、と思った。すごくつらかった。たくさん泣いた。そろそろ一年経つのに、全然立ち直

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          箸の持ち方

          この間、知り合いと箸の持ち方論争をした。 まあ、内容は他人の箸の持ち方を気にするか、気にしないかというような、シンプルなディベートだったが、かなり盛り上がった。 ちなみに私は他人の箸の持ち方は全く気にしない。そして知り合いは、箸の持ち方が変だと恋愛対象にすら入らないらしい。私はその気持ちが全くわからなかった。知り合いは、箸の持ち方で育ちがわかると言っていた。確かにそれはそうかもしれない。私も父親に育ちが悪いと思われる、と箸の持ち方を厳しく言われてきた。なので、育ちがわかると言

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          桜は派手

          最近は暖かくなって、天気も良くて、桜も咲いていて気分がいい。鼻風邪をこじらせて中耳炎になったことを除けば完璧な春の訪れなのに、私は今日も朝から晩まであるいは床に就いている時でさえ、ケンケンと咳込んでは耳を痛めている。鼻風邪の波ではなく花風に吹かれて、この気持ちの良い空をフラフラと彷徨いたいところである。 この間の休みの日、友達がいない私は、もちろん一緒に出かける友達などおらず暇を持て余していた。暇すぎてさすがに腐りそうだったので、桜を見に行こうと思い、髪をツイン団子に結んで

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          鎌倉遠足

          こないだ、知り合いと鎌倉遠足へ行った。 せっかくの鎌倉なのに雨が降っていた。こんな時、シェイクスピアなら「雨も滴るいい鎌倉」とでも言うのだろうか。全然上手くなくて笑ってしまう。そんなことを考えながら、私は4歳児の相手をしながらバスに揺られていた。 4歳児はバスの中で、自前のビーズを私に自慢したり、おもちゃの化粧道具で化粧をした気になったりと、かなり忙しそうであった。私はそんな様子を隣で見守りながらこれから向かう円覚寺のことを考えていた。正直、寺など心底どうでもいい。しかし今

          鎌倉遠足

          中学生は最強

          中学生は、ある意味最強である。何を言っても許されるし、何もしても許される。何でも許されると言うことは少し言い過ぎかもしれないが、大人たちは皆、中学生を広い心で許してやるし、逆に中学生より年下の子供達は、中学生を恐れているし、なんだかんだ最強なのである。 いつものごとくコンビニでたばこを吸っていたら、たむろしていた中学生たちが「タバコくさ。」と、言い捨てて私の前を通り過ぎていった。最恐である。確かに私も中学生の時はそんなことも言えた。しかし年を重ねた今、いくらたばこが臭くても

          中学生は最強

          学校むり

          小学生の頃から、学校に向いていなかった。仮病を使っては保健室に入り浸り、肌着などで体温計を擦り、37度ちょっとの偽体温を叩き出せたらラッキー。親に迎えに来てもらって、ちっとも体調なんて悪くないのに早退なんかしたりしていた。 中学生になっても高校生になっても、早退癖は治らず、無断下校をしては先生たちを困らせている見事な問題児だった。今はデザインの夜間学校に通っているが、そこでも本領を発揮し、早退魂を燃やして早退しまくっている。珍しく最後の授業まで生き残った暁には、クラスメイトに

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          彼氏と別れてから

          彼氏と別れてから2週間が経った。 私は、だらしないという理由でフラれてから、自分を変えるべく、ずっと行っていなかった仕事に行き、ダイエットを始め、彼が好きだった茶髪を黒髪に戻した。彼が好きで、いつも一本だけ吸いたいと言う彼のためだけに吸っていたたばこの銘柄も変えた。 正直、何がいけなかったのか、まだわからない。だけど、話し合いなしの別れをしたのだから、彼の方には特に特別な理由も無かったんだと思う。たぶん、ただ単に私への気持ちがなく、付き合っているのが急に面倒になったり、嫌に

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          マザー牧場③

          ついに獣臭い煙と別れることができた私は、軽い足取りで山道を登っていく。天気はカラッと秋晴れ、太陽はサンサンと紫外線を降り注ぎ、空気は澄んでいる。とても気分がいい。さっきまでの煙地獄など、もう私の記憶からは抹殺されていた。 私たち一向は山頂まで登り詰め、シープショーという羊の毛刈りのショーをやっている会場の前まで来た。先ほどのジブリに侵略された思考を持った私が見れるわけがないが、一緒にいたおばさんは、「シープショーを見てみたい」と言った。しかし私は羊の毛刈りなど心底どうでも良

          マザー牧場③

          マザー牧場②

          こぶたレースの賭けに負けた私と、大勝ちした同居人は、昼食会場のバーベキュー場にやってきた。ここではジンギスカンが食べれるらしい。 しかし私はジンギスカンにはいい思い出がなかった。母と姉と北海道へ行った時、私は海鮮が食べたいと言ったのに、母と姉はジンギスカンが食べたいと強行突破し、私はふてくされながらジンギスカンを食べ、挙句の果てには全然口に合わなかった。なので、今回も期待はしていなかったが、やはり今回も全然口に合わなかった。ジンギスカンは、なんか臭いのだ。同じテーブルのおじさ

          マザー牧場②