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【読書感想】『夜姫』新堂冬樹

【説明】
キャバクラのキャストとして、日本人離れした外見と政治経済から下ネタまであらゆる話題を盛り上げるトーク力で男を虜にし、年数億の売上を生む花蘭。新宿・歌舞伎町の絶対女王だが、アパレルで働く乃愛にとっては、最愛の妹を失う原因を作った憎き女だ。復讐のため、乃愛は昼の仕事を捨て、虚と実、嫉妬と憎悪が絡み合う夜の世界に飛び込むが……。

【感想】
幻冬舎文庫が好きです。
幼い頃は、その良さがちっともわからなくて、むしろツルツルの集英社文庫や文春文庫のほうが持った時の手ごたえがあって好きでした。
しかし、社会人になって感じる、幻冬舎文庫の良さ・・

軽い。

めっちゃ軽い。

あと、たまーに指が切れそうなくらいハードな鋭角のページがあったり、
水に濡れるとパリパリになるとこも好きです。

いきなり脱線して恐縮です。

さて、この新堂冬樹『夜姫』ですが、
『嬢王』を全シーズン舐めるように見ていたゲス人間の私にとって、めちゃめちゃ面白く読める小説でした。

でも、新堂冬樹の小説を好んで読んでることは、できればあんまり人に知られたくない・・そのくらい、清々しいほどエンタメに全振りした作品です。

失恋で自殺した妹の仇を晴らすため、キャバ嬢になった主人公・乃愛。

この妹、人気ホストの星矢に入れあげて、失望して自殺したって設定なんですが、、
色恋営業をかけるほどお金持ってるわけでもないだろうに、No. 1ホストともあろう星矢が「遊んで捨てる」ほど時間かける意味あったのかな?と疑問が。。
その気にさせるのがホストのお仕事だし、それが理解できないならホスト遊びなんてしちゃだめだよ、、、と、おばさんは思うのですが、まぁ身近にいた妹のことともなれば、主人公が憤りを感じるのもわからなくはない。
ただ、その怒りの矛先を、「星矢の彼女」である花蘭に向けるのは、ちょっとどうなんだ乃愛ちゃん??
まあ、ドラマなんかでもそうですが、「復讐のために夜の世界に入った」ってストーリーのための理由については、たぶんなんでもいいんですよね。

最初は夜の世界の常識が分からないピュアピュアしいおぼこ娘だった乃愛ですが、主人公補正で急スピードでNo. 1に。
そして、キャバクラ界の天下一武道会ともいえる「夜姫杯」に挑むのです。
『翔太の寿司』の全国大会みたいで面白かった。(わかる人いるんだろうか)

乃愛が倒したいのはトップに君臨する女王・花蘭ですが、
他の個性あふれるキャバ嬢たちもなかなか手強くて、その描写が読んでいて楽しいです。

アイドル系の黒髪ロングの清純派、
オラオラ接客のギャル、
カタコト日本語の美人ハーフ・・

そんな強敵揃いの中でも善戦する乃愛ですが、絶対女王・花蘭の壁はなかなか越えられない。
そこで乃愛がとった行動とは・・?

うーん。
ラストに関しては、頭で考えちゃダメな気がします。

正論を持ち込んで粗を探すことはいくらでもできるけど、
好きで読んでる小説であれば、

考えるな。感じろ。

というマインドで、
ただただ、楽しみたいなと思っています。

とりあえず、お仕事頑張ってただけなのに逆恨みされてとんでもない目に遭った星矢、かわいそすぎる・・

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