狂気がなけりゃ、あんな作品は作れない:夢と狂気の王国
スタジオジブリの「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」の製作の2年間を追ったドキュメンタリー『夢と狂気の王国』。
監督は、是枝裕和さんなどの制作に参加されて、前作『エンディングノート』で話題になった砂田麻美さん。
僕は、ジブリの鈴木敏夫さんが大好きだ。天才と言われる二大巨頭と仕事を続け、世に良作を出し続けているのは、ひとえに鈴木さんが人間国宝級に凄いからだと思っている。
スポットはあくまで、宮崎駿監督に当たっているのだが、2時間もジブリの記録を見せられると、「人間として」という部分が見えてきて、大変に感銘を受ける。
ただ、ドキュメンタリーとして、2年間の鬼気迫る現場の空気感は敢えてか出しておらず、ジブリというひとつの家族の物語のように、描かれている。
ドワンゴ会長の川上さん(当時ジブリ見習いプロデューサー)と宮崎吾郎さんの緊迫したやりとりが、逆に無理矢理いれたようにすら思えるくらいあ、淡々と進むのである。その時の鈴木さんの助け舟など、個人的には「あぁ」というくらい好き。
おそらくジブリをドキュメンタリーする際に、『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』で表現するのに、無理があるのかもしれない。過去映像がふんだんに使われているが、その場面の方が感動してしまうのである。
あぁ、ここは資本主義の中で良いか悪いかに表現されるものではないんだ。ということが伝わってくる。常に狂気より熱気があるのだ。
みんなが良いというものを作るのではなく、1人を熱狂させるものを作る。そこに僕は感動してしまう。モノづくりの魅力を感じてします。
この映画の中で、宮崎駿監督が、映画の必要性は分からないというような趣旨や20世紀の人間だという表現があるが、悩みながら制作されている過程はその言葉だけで十分である。
それにしても、鈴木さんはカッコいい。
あと、選挙カーから漏れる、菅直人の演説をバックミュージックに制作が進むシーンは、おもろすぎる。
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