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遅効性と発酵(8)

さいきん、いたるところで発酵というキーワードを聞く。発酵に想いを馳せていたときに、ふと浮かんだのが、「遅効性」という言葉だった。

効き目が遅れてあらわれること、すぐには効き目が出ず、時間が経ってから効いてくることを意味する語。 weblio辞書より

ぼくが遅効性という言葉を知ったのは、教育や学びの評価に本格的に関わっていた3年ほど前だった。

教育、特に知識獲得以外の思考力やいわゆる非認知スキルはその効果(成長など)がすぐにあらわれることがない、あらわれていたとしてもその効果は今、存在する客観的な指標では測りにくい。

そして、効果が介入後に遅く現れるということを、遅効性と呼んでいることを耳にしたのだ。遅いということだけでなく、いつ具体的にあらわれるのかも、わかりにくい。

それ以来、この便利な言葉は幾度となく、僕の口から発せられることになる。だいたいは言い訳のような文脈で出てくるのであるが、直感的に理解されることが多く、嫌な顔をされた記憶がないし、いや即効性のあるものがうれしい、と言われたこともない。いわゆるマジックワードの一つであるので、あるときから逃げているような気がして、あまり使わないようになった。

そして、なぜ発酵を思い浮かべたら、遅効性という言葉を思い出したのかと言えば、発酵も実験室の化学反応などと比較すると、ゆっくりとしたプロセスなようなイメージを帯びている(少なくともぼくの印象では)からだろう。実際はほんとうによく知らないので、間違っているのかもしれない。

微生物の代謝によって物質が分解されたり変化したりするプロセスは、教育が時間と経験によってゆっくりと咀嚼されたり知らぬうちに活かされているのと近いような。

おちはなく、今日はここまで。

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