眠すぎるので病院に行くぞという話

生まれてこの方、私の一番の敵は、なによりも眠気だ。

眠い。とにかく眠い。
ただ、いつでもどこでも眠くなるわけではない。
この恐ろしい眠気は、じっとしていなければいけないとき、人の話を一方的に聞いていなければいけないときに主に現れる。それは内容が興味のある事柄であろうと、話し手が恋人であろうと、全く関係ない。集中して聞こう、とか、一生懸命取り組むぞ!とかそういうことを意識した途端、頭の裏側から強制的にシャッターを閉じられる感覚で、耐えがたい眠気が襲ってくる。この眠気は気絶に近い。全くあらがえないので気付いたら寝てしまっている。なんならこの文章も半分寝ながら書いている。じっとしていなければいけないし、最後まで書くぞ!と思っているからだ。

睡眠時間が足りないのではないか?というのはとっくに疑った。しかし、この眠気はいくら夜しっかり寝ても襲ってくる。今日だって少なくとも6時間以上は寝ている。寝るのが下手なのか?わからない・・・寝ているから・・・とにかくいつでも眠くなれる才能がある。目さえつむってしまえば寝付きも天才的に良い。

一番この眠気で困ったのは大学時代だ。高校までの授業は最悪授業中に寝ていたところで、テストに関することは教科書にある程度書いてあったし、先生に怒られはしても、成績はなんとか目を覚ましている間の範囲でどうとでもなった。だが、大学の授業はそうはいかない。また、私は愚かなことに「この悪癖を直すためにも」と厳しい教授のゼミに入るべくその教授の授業を4年間しこたま受講していたので、毎日地獄だった。自分の腕や脚にシャーペンを突き刺しても眠い。メンソレータムを目の下に塗っても眠い。ふとももをつねっていたはずがいつの間にか意識がない。教授には「また寝てる!」「やる気あるの?」とネチネチ怒られた。ほかにも併発している悪癖として、時間管理が絶望的に下手というものもあって、遅刻もめちゃめちゃする。忘れっぽいので提出物もギリギリになるか出し忘れる。ゼミの末席を汚して教授の顔に泥を塗る最悪の劣等生だった。当時はクズを自称してヘラヘラ笑っていたが、正直授業も学問も大好きで、先生のことも尊敬していて迷惑をかけたくなんかなかったので、笑い事ではなかったし、まともにそのことを考えると罪悪感で押しつぶされそうだった。今も思い出すと胃がピリッとする。でもどうにもならなかったのでヘラヘラするしかなかった。教授のありがたくも恐ろしい厳しさ故に、卒業まではなんとかこぎ着けた。

アルバイトをし始めたのも大学生からだったが、バイト中も眠気に困らされた。スーパーのレジのバイトのときは、接客しながら眠気と戦っていたし(もちろんレジ担当だから立ってもいるのに、お客さんとしゃべりながら意識が飛ぶこともあった)、コールセンターの時も接客中に何度もウトウトしてしまったので、わかっているふりで相づちをうちながら文脈から相手が何を主張しているのかなんとなく把握する能力が身についてしまった。

・・・自分で思い出しながら書き出してみて、あまりの重症っぷりにドン引きしている。

私が大学をなんとか卒業できたのは、完全に教授と、そしてレポートを書くときなどに無限に飲みまくっていたカフェインのおかげだが、その反動なのか今はカフェイン入りの飲み物を摂取すると手が震え、動悸がし、気分が落ち込むという体になってしまった。原因は不明だが、自分で調べた範囲では、過剰摂取による中毒症状なのでは、と見当を付けている。カフェインを飲まなければ大して困ることもないので、この件で特に病院に行ったりはしていない。ただ、チョコレート(カフェインがちょっと入っている)とか食べても気分が落ち込むことがままあるので、ほんとは行った方がいいのかもしれない。

今のところ、自分ではこの眠気はもしかしてADHD由来のものなのでは?と思っている。
忘れものやうっかりの頻発、時間管理の絶望的下手さ、集中力のなさ、集中したいときの眠気・・・今までの人生で困ってきた私の悪癖の全てがADHDの症状と一致してしまったからだ。
薬で治せるなら全部治したい・・・と思い、一応この間やっと病院に予約をした。

自分はADHD傾向があるのでは、という疑念は大学卒業する少し前くらいからあったのだが、卒業後すぐに就いた仕事が常に動き回っているようなもので、デスクワークの比率が少なく、「うっかり」をやらかしてもそこまで大事にならない職種でもあって、困りがそこまでなかったので、病院に行くほどかな・・・と後回しにしていたのだ。(その少ないデスクワークでも常に眠気に悩まされていたが。)
今年度から就いた仕事が9割デスクワークなので、眠気との戦いに疲れ果ててしまった。いい加減にしてくれ。ということで、重い腰をあげてなんとか病院に電話した。えらい。

ところで、今怖いのはこれが「薬じゃどうにもならねえ」「そりゃ甘えよ、がんばれ」と言われてしまったらどうしよう、ということである。自分では割と頑張って眠気やうっかりと戦ってきたつもりなのけど、自分のことなので、客観的にほんとにがんばっているか?というと、わからない。自信が無い。
私は母親との関係性も最悪なのだが、その母親曰く「お前は都合の悪いことについて嘘をついたり知らないふりをしてごまかすところがある」そうで、その自覚はないこともないし(「怒られる」ことに対して異常におびえがあるので「怒られない」ことが命題になり、つい逃げの姿勢になりがちなので)、怠け者なのは実際そうなので、病院でそう言われてしまうと「そっかー!!!!!エ!??人生ハードすぎんか!!?!?!死の・・・」となってしまうだろうなと思う。

なんにせよ、私が人生に向いていないことは事実なので、病院がその助けになってくれればいいなあ、と思う。
予約した日付は来週だ。

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