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親子で自然から学ぶ-失敗だらけの山開拓

我が家は平日都市に住み、休日自分たちの土地がある山へ通う4人家族。

普段は便利に、土とも虫とも無縁な妙にクリーンな世界で暮らしている。都市から出ない生活をしていると、まるでこの世界の中心が人間であるかのように感じる。お金さえ払えば食料もエネルギーも簡単に手に入れることができる。人間は万能で全てを作り出すことができるような心持ちがするが、本来は無力だ。
山でひと時を過ごし、神経を研ぎ澄ませると、たくさんの生き物の気配が迫ってくる。時に自然の力の恐ろしさを体感することになる。自分は地球の、自然の一部だったことを思い知らされる。

自分のちっぽけさ、無力さを実感したあと、失敗を繰り返しながら、自分の手でできることを増やしていく。本来の自分の能力に出会うと基本的には悲しくなるが、身ひとつでどこまでできるかを確認しておくことで安心感も生まれる。

こどもたちと一緒にたくさんの失敗と学びを経験する。火をつけるのは難しいし、放っておくと消えてしまう。調理して食べることも天候によってはままならない。
キャベツを育てては野生のウサギに丸ごと食べられ、手作りのウッドデッキは風と雨で崩壊寸前だ。
特に学びが多いのが養蜂への取り組みだ。

今年は野生のニホンミツバチを呼び込もうと試みている。5つの巣箱を置いて待っていたが、見向きもされなかった。
もともとは鬱蒼と竹が生い茂る薄暗い放置竹林だった我が山。竹や余分な木を切ると空が見えるようになり、大地には光が差し、小さな草花が増えた。しかしミツバチが蜜を探す場所としては花不足だったようだ。
花や果樹を植え、ミツバチが来たくなるような環境に整える。
ミツバチさんが住めないと、たぶんブルーベリーも梨もみかんも食べられないよね。あら、ミカンの実がなっていたのに、青い小さな実も葉っぱも全部食べられてる。誰に?これは何かの菌のせいかな?興味は生態系全体へと広がる。

この活動のゴールは、こどもたちを山奥深くに暮らす仙人に仕立て上げることでも生物学者に育て上げることでもない。
自分はちっぽけな、この地球でさまざまな生命に生かされている存在であるという肌感覚を忘れぬ大人に育ってほしいのだ。
将来どこで生きるか、こどもたちには自由に選択してほしい。
都会に生きるとしても、地球に生かされているという感覚を忘れていなければ、この先の未来はもっと人にも地球にも優しいものになるはずだ。

#未来のためにできること


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