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今夜知りたい、DFMがWorldsグループステージで戦う”ヤバすぎる”3チームと選手たち

毎度のWorldsだったらプレイイン終了から1週くらい間があった気もするのだが、ともあれ体感的には相当駆け足に、余韻に浸る間もなくDFMがWorldsの本戦に出場することになる。

マイナー地域でプレイインからWorlds本戦に行ったチーム自体が少ないが、そこで”爪痕”を残したと言える程度に活躍したチームはさらに少ない。残念ながら0勝6敗が大方の予想であり、そして最近のマイナーリージョンの結果であり実績になる。

自分がざっと調べた限りだが、マイナーリージョンがWorldsで活躍した最高到達点は2016のロシア”Albus NoX Luna”になる。NA、EU、KRと当たったグループで4勝をマークしベスト8に進出した、これが最高到達点になる。

次点は当時SEA扱いだった2017ベトナムのGIGABYTE Marines。NA、EU、KRと当たったリーグでKRのLZが6-0で抜ける中、他のチームと星を完全に分け合い2-4でタイブレークの末に敗戦した9位扱いが2番目。

そして3番目が2015年ブラジルのpaiN Gamingになる。KR、NA、LMSとの戦いで2勝4敗で敗戦している。

その他近年で言えば昨年のUOLが0勝6敗、2017のトルコFenerbahçeも0勝6敗になっている。これくらい厳しい争い。つまりたった1勝挙げるだけでマイナーリージョン史上4位以上が確定するくらい歴史的に厳しいのがこのグループステージなのだ。

そして今回DFMが当たるのは中国第一シードのEDG、韓国第三シードのT1、そしてアメリカ(NA)第一シードの100Tと、なかなかヤバいグループにぶち込まれたことになる。世界大会常連の多くのチームでも、このDFMの位置に入って「余裕で抜けられる」と発言できるチームは、せいぜい昨年王者のDWGくらいではないか、というくらいヤバい面子なのだ。

一般的にLOLでは「中国韓国」が地域レベルとしてはメジャー地域の中でも頭一つ抜けている。先ほど紹介したマイナーリージョンで勝ちを拾った例、どれも本当にヤバい地域は「韓国のみ」というくじ引き運もあったというのがある。そして今回、見ての通り今年の中国最強チームと元世界王者の韓国チームが同じグループにいる。フラットに見て「死のグループ」だ。

そのヤバさをあまりご存じない方向けに軽く紹介しますので、これで0-6で負ける可能性は十分にあり得る、賭け事でオッズが出たらDFM0勝がオッズで言えば2倍を切る、ディープインパクトの単勝くらいだという「事実」と「覚悟」を持っていただきたい、そのうえで「奇跡」と「健闘」に期待しようというのが実際のところです。

Evi氏も「ここからが冒険の始まり」と言っていましたが、まさにそう。ここからは日本がガチで戦ったことのないレベルの強者同士の戦いであり、ハンターハンターで言えば暗黒大陸に足踏み入れちまった、みたいな冒険もんなのです。言ってしまえばもう出てくる奴ら一人一人がキメラアント以上に危険、「植物兵器ブリオン」であり「ガス生命体アイ」レベルなのだ。以下敬称略。

韓国第3シード T1

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LOL界で最も多くの「勲章」を持っているのがこのT1というチームになる。前身の「SKT T1」時代には黄金期を作り上げた。Worlds3優勝、Worlds2015優勝、Worlds2016優勝、Wrolds2017準優勝、Worlds2019ベスト4、と5回の出場で連覇を含む3回優勝、1回の準優勝に1回のベスト4とアベレージも異次元に達している。なお日本LJLにも在籍していたことのあるBlank、彼が出場していたのがこの2016-17にあたる。

あまりに実績がえぐすぎて書くことがないレベル。要は一番今まで勝ってるチーム。プロ野球で言えば巨人、メジャーで言えばヤンキース。サッカーで言えばレアルマドリー、バルサ、マンU。それくらい歴史的に勝ちまくってきた超有名チームだということだけでも覚えておいてください。

注目選手 Faker(MID)

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言わずと知れた、LOL界、ひいてはeスポーツ界を代表するレジェンドオブレジェンド。まさに「知らなきゃモグリ」というレベル。ご存じキングオブLOLであり、アゲてきた山の数も他の選手とは比にならないのだ。

Season3でデビューするやいなやそのまま世界王者となり、その後もSKT黄金時代の中心選手として活躍している。長年世界一の選手と認められてきたものの、近年、LOLのプロのレベルが上がり続けた結果、チームの不振も相まってプレイヤーとしての評価は相対的に少しだけ下がってしまった。それでも未だ世界有数のMIDレーナーであることは誰もが認めるところ。「優勝を逃すだけで評価が下がる男」という状態。

膨大なチャンピオンプールとLOL知識、華麗なハンドスキルに加え、「3回プレイすればそのチャンピオンを使いこなせる」とまで言われたゲームへの理解度、習熟度の高さなど、どれをとっても超一流。その上これほどの地位や人気、実績を獲得してもなお奢らず、謙虚で内省的で読書家、感情の高ぶりからくるToxicや問題行動とも縁遠く、ゲームに真摯に向かい合うその姿勢も世界中のプレイヤーから愛され、リスペクトされ続けている。

ちなみに読書家の件について、過去に「ノルウェイの森/村上春樹」に感銘を受けたとも発言している。わかるぞ、Fakerもきっとミドリさん派であろう。

注目選手 Keria(SUP)

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T1はベテランだけではない、という意味も込めてもう一人の注目はこのKeria。4位に終わったこの夏のリーグ戦でもT1からはただ一人AllProTeamの1stに選ばれている。

特筆すべきは「硬いプレイ」が信条のT1において徹底した自己犠牲。視界を重視するLCKにおいても特にビジョンワードを置く数については、もうずば抜けており、リーグ戦で0.72/分、プレーオフで0.69/分、最終プレーオフで0.71/分と非常に高い数値を叩き出し、いずれもその段階での1位となっている。この数字がどれくらい高いか、と言えば、LJL夏リーグで一番がNemohの0.56でGeangに至っては0.47。Geangの1.5倍、つまりGeangが2個ビジョンワードを指している間にKeriaは3本差してくることになる。まさに視界でハメるLCKの総本山、SKTのガチ視界管理を彼が担っていると言っても間違いないだろう。世界でも最上級と思われるこのガッチガチ視界管理をStealが、Geangが崩せるのか、というのも一つ見どころになってくる。

注目選手 Canna(TOP)

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T1はメンバー10人制を敷いており、調子が悪くなればFakerであろうとサブと変更させられる形になっている。そんななかでほぼTOPを譲らず守り続けているのがこのCannnaになる。(JGとADCは結構入れ替わる印象)

かつてLCK20夏には42試合で28回のソロキルを叩き出しLCK1のソロキルキングに君臨していたが、マークが厳しくなったのか21夏には44試合で9回と激減。しかしLCK最終プレーオフでは5試合で6回のソロキルを記録と、未だその嗅覚が衰えていないことを存分にアピールした。なおその5試合すべてケネンピックになっている。

もちろん名門T1のTOPらしくピック幅も幅広く、何でもありの広いプール、攻撃から防御まであらゆる場面で効いてくるプレイヤー。LCK通算でもLCK1部の猛者相手に15分段階のCSは5割、ファーストブラッドへの関りは27.1%と高い数字を叩き出している。DFMとしては苦しい時にEviの個人技で打開しようとする「お願いEvi」となる場面が時々あるが、そのEviをもってしても非常に難しいマッチアップ相手と言えるだろう。

アメリカ第一シード 100 Thieves

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100TはNAでも比較的新しいチームになる。2018にLCS(アメリカリーグ)デビューすると春に1位を獲得、いきなり旋風を巻き起こすが後半失速、Worldsもそこそこの成績で終える。すると2019、元SKTのBangを獲得、という大発表を打ち上げる。Worldsを複数回制覇した現役のレジェンド獲得に沸いたが、戦力としては悲しいほどにマッチしなかった。春10位(最下位)夏8位と全く振るわずBangも移籍した。その後は中位をうろうろするくらいの実力で推移していたが、風向きが変わったのがこの21夏。NAの常勝チームCloud9の元名物コーチReaperedを招聘し、MIDに元シャルケのAbbedaggeを獲得するとチームが一変。夏シーズンを1位で駆け抜けるとその勢いのままプレーオフでも優勝し、アメリカの第一シードを獲得した。

注目選手 FBI(ADC)

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元々オセアニアOPLでプレイしていたADCで、過去Bombersの一員としてMSIにも出場している。その後NAのGGに移籍するものの、そこまでブレイクするに至らず21年には100Tに移籍。すると水が合ったのか大ブレイク。21春にはAllProTeamの2ndに選出され、夏には1stのADCに選出された。

特筆すべきはレーンの強さ、15分段階で対面につけた金銭差+436は10試合以上同じポジションで夏のNAリーグに出たADCの中で1位、FB関与率も29.2%と高くなっている。その他の指標もどれも高水準でまとめ上げられたグッドプレイヤーとなっている。

注目選手 Huhi(SUP)

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古くからNAで活躍する韓国人選手の一人でもはや超ベテランの域に達しつつあるメンバーの一人。日本ではYutaponやPazなどのポジションチェンジが有名だが、彼も2019途中まではMID、それ以降はSUPとしてプレイしており、MIDでは17夏にAllProTeamの3rd、SUPではこの夏にAllProTeamの2ndに選出されている、非常に珍しく、器用なタイプのプレイヤーといえる。

チームゲームへの心得も高く、タンクサポートが多いながらも多くのピックを使い分け、視界管理にも積極的。分速ビジョンスコア3.05はNAの名サポートCoreJJをも上回り、NA21夏で1位になっている。ある意味でNAらしからぬ、足元をがっちり固めてくるタイプのサポートであり、そのスタイルがどこまでこの強豪相手に通用するか、そしてDFMのBOTが彼らを崩せるかが見どころと言ってもいいだろう。

中国第1シード EDward Gaming

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中国が誇る古豪にして強豪のLOLチーム、それがEDGとなる。かつて全盛期SKTを相手にMSI2015で勝利した実績も持っている。近年2019-2020で不振が続いていたものの、21に入る際に血を入れ替え、TOPにベテランのFlandre、そしてADCにWorlds2019のベスト8、Viperを加入させると特にそのViperが大爆発。春は僅差で2位ながらViperが試合MVP獲得数1位、AllProTeam1st、シーズンMVPを獲得。夏もその勢いで2位になると、プレーオフ初戦で負けてからルーザーズを駆け抜けて1位になり中国第一シードの座を獲得した。

ちなみにDFMとは過去1度対戦している。なぜか中国第三シードで登場したEDGはKBMとの死闘を制したDFMの前にくじ引きで登場。KBM戦の快挙が霞むほどのボコボコ大虐殺を繰り広げ3-0で勝利していった。その時の3試合はDFMが27分2キル20デス/21分2キル16デス/31分10キル23デス、とまさに大人と子供、実力差を見せつけてきた。果たしてこの3年でどれだけ差が縮まったのか、というのもポイントになってくる。

注目選手 Viper(ADC)

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かつて綺羅星のようにLCK下部に突然現れ、世界最上位まで最速で駆け上ってそして消えていった伝説のチームGriffin。その伝説をまさしく自力で作り上げたメンバーのひとりが彼Viperになる。

Griffinは色々あって翼をもがれ急降下していったが、彼もそれに合わせて成績を崩していった。心機一転、かつての相棒SUPのLehendsとコンビ復帰を果たすべく移籍したHLEでもチームは振るわず9位となった彼が新天地に選んだのは中国LPLであった。中国が誇る名サポートのMeikoとのコンビも爆発し、あとはチーム説明で書いたようにまさしくチームをキャリー。個人では最上級の評価を受けて、2年ぶりのWorlds凱旋となる。

実力はもちろん昔より折り紙付き、そのうえ調子も絶好調、おそらく活躍した姿を見せたいというモチベーションも高いであろう、という恐ろしい状態、世界屈指のADCが牙ピッカピカ状態といってもいいだろう。波に乗ったらYutapon、Geangどうこうでなく、世界中どのチームでも2vs2では止められないであろう爆発力を持ち合わせているだけに、DFMの苦戦は確実と思われる。


注目選手 Scout(MID)

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2018でDFMをぼっこぼこにしたその当事者にしてエース。3試合連続の惨敗に3試合連続Scoutキャリー、当時対面したセロスさんがそれはもう批判されたが、僕は思っていた。外国人アリにしても、このScoutを勝たなくていい、せめて抑えられるレベルの人材さえLJLに存在すると思ってるのか?そんな奴がLJLに来るか?と。野球ファンの「この回20点取れ!」くらい馬鹿げていて冷静さを欠いた批判で、もはやヒステリーに近い、と当時は思ったもので、それくらい彼Scoutの個人技はずば抜けている。

あの広く選手の多い中国で2017夏、そして21夏プレーオフのMVPを獲得しており、これだけでこの選手のヤバさ、伝わるでしょう。21春にはあのknightやDoinbを抑えてMIDのAllProTeamの1stを獲得しており、活躍期間を考えればもはやベテランの域ながら、未だに世界の超一線級で活躍する激ヤバMIDが彼になる。

ピック幅も無尽蔵、2018以来のWorldsと気合も十分、Showmaker、Perkzといった世界の超一流と渡り合ってきたAriaですら、ある意味Fakerよりも苦しい戦いになるのでは、と思わせられる。

おわりに

と書いてるうちに本戦始まったので締める。ほんとはmeikoとかまだまだいるのだが仕方ない。要はヤベー奴揃いだということを念頭に置いて今夜からの試合を見ていくのが良いでしょうといったところで。


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