Evi選手海外移籍へ。日本LOL界の中田ヒデとなれるか&LJL地殻変動について

どうも、元ゲーム攻略本ライターにしてeスポーツウォッチャー兼ウマ娘トレーナーの山岡です。おいサイゲ有馬特攻のスペちゃん出すなら「そのスペに勝った最強グラスワンダー」出さなおかしいやろ。99有馬はグラス>>>スペ>>>>>>オペや、キッズが勘違いするやろが。と。書きかけの記事がそろそろ陳腐化しそうなので一気に書き上げようという話。W杯始まってそちらも忙しいので。いつも通り長いですので最悪目次的な大見出しだけ見てそれっぽく把握してください。敬称略。要は「Eviに次いでどんどん海外出ていけたらええな」「国内でEviやってた役割だれすんねん」「最悪のシナリオはEviが抜けて補強できずにDFMが崩れて国際競争力低下からのLJL解散コース」あたりで。


とりあえず割とビビったんだけど、今回は本当だったにせよ、噂サイトをソースに確定確定言ってる人を結構見たりして。確定確定て志郎アベルやないねんからて、大丈夫かよって感じがあったりなかったり。噂の震源地はここ、EviがEUの新規参入チームのTOPに合意、みたいな話。噂と知って踊るのと、他人に確定確定言って回るのはまた違うわけでね。※11/23現在LCK、LPLで確定情報が出始めているので、噂と見比べると面白いかもしれない。

噂サイトからひっくり返ることは毎年多々あったりして。人気選手などは複数の移籍先が「濃厚」として出るのもザラだったり、ここらへんは欧州サッカーに似てる感じがします。ブワーっと噂が出て確定確定言われる中で時間が過ぎ、なんなら公式ツイッターとかも悪ノリして煽ってみたりして、でもサインするかは本人のみぞ知る。なんなら移籍期限当日に飛行機の中でサインして、みたいな話もあったりするほどで。クリロナメッシという超S級レベルになると、契約が切れそうになれば思いつく限りのビッグクラブの名前が「移籍先濃厚」として各々語られます。そらそんだけ挙げればどれかは当たるやろ、くらいの勢いで。それに一喜一憂右往左往するのがストーブリーグの楽しみ方というか。

一応当事者の声、というか欧州サッカーの例で言えば、バリバリど真ん中にいた本田さん、彼も自身のYoutubeで「移籍話の噂、体感8割は間違ってる」と答えています。そういうこと。LOLも8割といかずとも、Fakerが報酬青天井、白紙の小切手渡された!中国が超高額オファー!NAが大金オファー!みたいな話、LOLの海外情報そこそこ見てる人なら一度ならず二度三度、聞いた覚えがあるでしょう。

でもLJLにはいままでそんな噂ほぼなかったじゃん、っていうのは単にLJLで「選手を集めたいと強く思ってオフにゴリゴリ動いたチーム」がいくつあった?って話で。毎年一生下位争いしてもう勝負付けもついちゃったけど、何を評価されてか誰とお友達なのか知らんがいくら酷い個人スタッツでも、同じポジションでよりよいスタッツの選手がFAで市場に出ても、それでも頑なに同じ面子で翌年もやって翌年も開幕一回りしないうちに定位置の下位に直行して最後までずっと沈んでるだけのチームとか、もう一つだけじゃなく、A、BC、と複数Vを諦めてるようにしか見えないチームあるでしょ。まあそこらへんは多分目先の勝ちより大事なものがあるんやろね、知らんけど。

実はこんなのも冗談でもなんでもなくって、実際のハナシ、勝利や実力以外のものが優先されてLOLのプロリーグに出場した例ってのも海外だとあって、中国のLOLプロチームはチームのオーナーがランクマスターながらプロ登録して実際1試合出るとかやってたらしいですからね、それも黎明期のS1とかじゃなくてS8くらいに。中国っぽいエピソードで。詳しい話はレボにぃのブログへ。まあそのオーナーは勝ったおかげで世界でも数少ない1-0の通算勝率100%選手らしいけど。野球なんかは「勝つ事を目的とする」と野球規則の上の方に書いてあるんだけどLOLは確かそんなのがなかったわけで、だから勝ちにいかなくても仕方ないし規約違反でもないんだよね。

【公認野球規則1.05】各チームは、相手より多くの得点を記録して、勝つことを目的とする。

ともあれ、移籍に関するここら辺の感覚は同じスポーツでも日本と世界は結構違ってて。日本のスポーツ界の移籍報や金銭周り、契約周りは一応推定ながら、あまり「飛ばし」はしません。違ったときに本気になった人が「新聞に嘘書いたのか!」と怒ってきたりするとか日本人がまじめだから、とかいろいろありそうですが。皆さんも見たことがあるでしょう、野球選手の年俸や契約内容、何ならインセンティブのヒット数盗塁数とかまでが無茶苦茶細かく説明されてるのに、わざわざ最後にとってつけたように(推定)と書いてあるのを。年俸1530万(推定)って細かいなおい、みたいなね。あの茶番感と奥ゆかしさが日本流なのです。ほぼ確定だけど推定だよー、という、これ。関西人の語尾につける「知らんけど」と同じというかね、知らんけど。

スポーツの移籍で国内から国内だとサプライズ感はほぼないような。噂なしノーモーションからの電撃トレードはたまにありますが。今年の野球FA戦線も松田選手がFAし、最初はあまり報道がなかったですが、解禁直前には各スポーツ新聞横並びで「巨人松田」と出て翌日案の定松田入団確定、となったわけで。「いや噂とかで結構色々書いてるの見たことある!!」って人もいるでしょう。そういう人はソースを確認してみてください。噂と称して無茶苦茶なのを流すのは、新聞っぽい名前で一面にUFOが出ただのカッパが出ただの書いている「タブロイド紙」や「ごく一部のやつ」のほうだったりします。「デスクの声」と書いてあるので「机と対話してる」と揶揄されるそれらで、それはもう、信じる方がどうかしているという話でもあって。

有名なカッパ一面記事。この右下にも「中日が巨人松井獲り」なんて(そら無理やろ)と誰もが思う、で、事実巨人からメジャーに直行した松井の飛ばし記事が載っています。こういうこと。近年はタブロイドの方が縛りがなくて予想は活発だったり意外に当たったりとかしてもいるけど。

ということであくまで噂としてだったLJL、DFM所属のEvi選手の海外挑戦が本人Twitterで語られることとなった。相手は来期EU新規参入のTeam Hereticsとみられている。相手チームもこの噂については把握済みで、Twitterでは意味深なサムズアップ画像が唐突に上げられている。ここらへんが非常に欧州らしい。「匂わせ」というヤツだが、「いや別に選手の画像上げただけなんだが?」と言えるラインを突いてきている。これ見て「確定やん!」というのもちょっと違う。事実無根でも踊ったろか?的なことはあり得るってわけで。まあ今回は流石に他チームの話も出てないし、言ってしまえばEviはんもチャレンジ枠的な扱いで、移籍市場のど真ん中ってわけでもないので相当堅そうだけど。

まあ移籍については続報を待つ。ということで、この移籍が何をもたらすか、というのをいくつか予想して列挙しておきたい。そこらのチームオーナーなら急いで準備をすべきだったりするわけで。ということでここから本編です。

メリット①日本人LOLプレイヤーの活躍先の拡大

まず1番のメリットは「LJLで活躍し世界で活躍すれば海外から声が掛かる」ということが現実味を帯びた、ということになる。野心のあるプレイヤーにはモチベーションとなるだろう。野球で言えば野茂、サッカーで言えばカズや中田といったように最初に飛び込むのは実力トップクラスのプレイヤーだが、その「第一陣」が活躍すれば、世界から「日本」が狙い目として見られる、というのはスポーツの歴史的にも明らかであり。以前このnoteで日本LJLの閉塞感のもとのひとつに「DFMがあがりマス」という近くて遠いつっかえた天井というのを挙げたが、この移籍が実現すれば実質的に天井が抜けるくらいのインパクトがあることになる。

むかし某LJL選手の配信をチラッと見たときに前後関係はよくわからなかったが「DFMと他は違うから…」と暗に自分の人気の差はチームの差みたいな発言をしている風のを見てしまったが、これも減るかもしれない、結局は本人の気の持ちようだが。実際にEviの国内評価が爆上がりしたのはチームとしては中位で、決して恵まれた環境とは言いづらい、現にすぐ公式サイトは飛び、そしてチームごとあっさり消えてしまった7th時代、彼がソロでKRチャレンジャーに到達したS6のことになる。KRチャレというソロランクを引っ提げて市場に出れば当然引く手あまた、当時の2強だったRPGに移籍し、RPGでDFMにプレーオフで勝って世界大会に出て、RPGに苦しんだDFMが対策としてEviを獲得した2018からDFMの世界での躍進が始まった、という流れだ。要はEviはプレーオフ出場0回の中位チームから自分のKRソロキューの力で今の地位に上り詰めたことになる。まあ外から見ると、という話で、もしかしたら本人しか知りえない何かがあったのかもしれないが。

Evi氏も当時を多くは語らないが、中位下位で腐っている人がいるかもしれない現状なので、7thからの成り上がりのハナシをLJLに置いていってほしいなと。なんなら当時のことを知らない若手もいそうなので。中位下位チーム、ひいてはアマチュアでもEviを目標に同じムーブを目指せば届きうる、と思うプレイヤーが増えればレベルも上がるだろうし。まあ言うは易し、じゃあお前も東大卒ユーチューバー見習って「難関試験半年で受かってみた」動画とか取ればユーチューバーとして食っていけるやろ、同じ人間だからできるだろ、やれよ、くらいには難易度的には難しい話でもあるんだけど。

ところでいま現在ワールドカップ、サッカーの祭典の真っ最中ですが、遡ること数大会前の1998年、日本が初のワールドカップに出て全敗で帰ってきた直後、その日本のエース、「格安」でセリエAの昇格チームであるペルージャに渡った中田英寿は、チームは結局中位下位だったものの、デビュー戦で優勝候補にしてドリームチームだったユベントス相手に3-4の惜敗、それも中田が2得点、シーズンで二桁得点と個人での実力を遺憾なく発揮し、その「日本人のコスパの良さ」も含めてアピールに成功した。その結果、中田以外の日本代表級にも海外からオファーが届きはじめ、また彼らが活躍し、といったサイクルを続けていった結果、いまやオリンピック世代、U22や代表経験のない若手ですら「海外組」が珍しくないほど若手サッカー選手の海外進出が進んでいる。それもこれも元を辿っていけば中田ヒデの大成功から、ということになる。いまや「海外組」ってだけでは代表に選ばれないレベルまで来ている。まあ中田の前にカズがバレージに削られなければとか、さらに遡れば奥寺だろ、とかそういう話したい人はDMください。一緒にW杯見ようぜ。

そういう意味でもEviの移籍先候補として、中田同様新規参入チームというのは良い塩梅だろう。もちろんもっと金銭的待遇のいい話がビッグクラブからくるかもしれないが、せっかく行くのだから選べるのならば中田のように「監督に求められていてとにかく長くスタメンで出られそう」なチームを選んでほしい。特にLOLというゲームはプレイヤーに怪我や疲労による休場が他スポーツに比べてほぼないわけで、一度序列が決まると1シーズンでなかなかひっくり返すチャンスがない。となれば海外に出ても出場機会を得られない、という話になってくる。

LOLで言えばベトナムGAMのスーパーエース、ジャングラーLeviも過去にWorldsの大ブレイク、活躍をきっかけにNAに挑戦したが、移籍先のチーム100Tは同じポジションにNAのベテランジャングラーMeteosを獲得しており、Leviの出場はほぼアカデミー戦のみとなった。彼はわざわざ海外挑戦してNAの1部リーグ戦で戦うチャンスすら貰えなかった、という事実がある。もちろんLeviがこうなってしまってはそれ以降ベトナムから獲得しようというチームは増えてこない。やはり先駆者が活躍してこそ、という部分がある。そういう意味ではEUというのもいい選択だろう。レベル的にNAかEUかといったところだが、NAは近年弱い割に余裕がないというのがある。移籍したチームが序盤でつまづけば異邦人がスケープゴートにされておしまい、というのもありうる。その点まだEUのほうが長い目で使ってくれそうな気配はある。Jリーグなんかも、サッカーとしては日本(FIFAランキング24位)に現在遅れをとっているタイ(FIFAランキング111位)だが、「タイのメッシ」と呼ばれたチャナティップがJリーグで成功したのもあり、2匹目のチャナティップを狙って「スパチョーク 」が獲得され、実際に活躍を見せている。これもチャナティップがJで成功を収めたからこそ、といった感がある。このように「先駆者」の成功は今後をかなり左右する。そういう意味でもEviに注目したいし、Eviが結果を残せば他チームも「ネクストEvi」調査が始まるはず。来年のLJLは海外から「そういう目」でも見られていると思って野心あるプレイヤーがいればアピールをどんどんしていってほしいところで。

メリット②LJLチームのモチベーション 育成型クラブへの道 メガクラブとプロビンチャ

ここ数年、2020を除いてLJLはDFMの天下が続いている。世界大会で躍動するDFM、それに対して食らいついていこうとする数チームと、最初から沈んだままの数チーム。実際問題世界へ1枠しかない中で、DFMもSGもRJも押しのけて、というのは難しいし諦める気持ちも分からなくもない。だが、そんな下位の彼らも「育成型クラブ」として生き残る、モチベーションを上げる、という可能性が出てくる。あるいは、野心的なチームが既存チームを買収してやる気のない層を一掃してくれるかもしれない。選手を育成し英語教育し海外に輸出する、みたいな。いま2匹目のどじょう、「つぎのEvi」としてめぼしい人材が不在だからこそ、ソロキューうまくて英語話せる日本人、ってのは一つ売りになる可能性もある訳で。

これも欧州サッカーではよくある話になってくる。メガクラブは読んで字のごとく大きなクラブ、プロビンチャというのはその対義語に近い、規模の小さい「育成型」のクラブになる。サッカーではそういった育成型チームは少なくない。Jリーグファンならそこそこの若手がベルギーだのオーストリアだの一流リーグの近隣国に移籍するのも見たことがあるだろう。いまやってるワールドカップ、日本代表の選手の大半が「海外組言うけど聞いたことないチームにいるなあ」と思ったかもしれない。だいたいそういうチームがプロビンチャになる。安価でチャレンジしたい若者を獲得しチャレンジさせる、成功すればビッグクラブへの道が開ける。クラブは世界各国から安価で若者を買い、ビッグクラブに高値で売り抜ける、その差額でさらにスカウトを強化したり、環境を整備していく、といった形だ。奇しくも日本は海を挟んでKRとアクセスできる環境にあり、地理的な部分はベルギーリーグなんかとある意味近いかもしれない。LJLに有望KEプレイヤーがそこそこ来るのも、AriaやTakiのように、LJL経由LCK、という目があること、そしてKRソロキューアクセスができるので実力の証明がしやすい部分もあるだろう。

ヴァロラントの話で、アジアリーグに参加する日本からの2枠のうちひとつにヴァロラントの実績不十分なDetonationが選ばれたことでひと悶着あったことはご存じだろうか。実績のあるZETAと、実績のない(弱い)Detonationとなった。正直ヴァロラントで日本を代表するチームとして直近でもっと活躍したチーム、世界大会に出たチームもあったのが、ここで明暗を分けた、選定の基準となったのが「クラブの大きさ」だと自分は踏んでいる。もちろん大きさだけでなく、RIOTへのDFMの貢献もあるし、大して数字取れてないだろうにLOLがSpotifyと組んでるからってDetonationでpodcast番組持ったりしてるのも関係あるだろう。ちゃんと大手の取引先ならその関連企業にも協力の姿勢を見せる、こういうのは一般社会の営業マンでは当たり前だが、こういう一手間というのはボンボンや成り上がり系のeスポーツチーム社長にはなかなか発想もできないだろう。一般社会で揉まれた梅崎オーナーの強みと言えるかもしれない。

FENNELが「LOLチームを持たないと世界から一流チームと認められない」と言ってRJを買収したのも、このヴァロラントの動きの副産物と言ってもいいだろう。また、LJL下位チームの補強へのやる気のなさが本家RIOTに「日本の小さいチーム」への悪印象を持たせた部分もあるのではないだろうか、まあすべては推測なのだけど。この「小さいクラブ大きいクラブ」という扱いは今後増えると思われる。自分たちがどちらで行きたいか、それはもうバコバコ増えたeスポーツチームさんたちはそろそろ選択を迫られる頃合いかと。あくまで関東、東京中心でビッグクラブを目指すか、地方に根付き草の根でやっていくか。それか比較的枠の多い(20チーム程度参加できる)多少下火になりつつあるがバトロワ系のプロシーンや、オープン参加が基本の格ゲープロシーンで下剋上を狙うか、判断のしどころだろう。

例えば一つの例として、近年結果を立て続けに出している、スカウトの目が確かで低予算でいい選手を集めてくるが、予算がないので毎年選手が流出してしまうチームがあるとする、このチームが成績を残しているうちはいい。しかし例えばスカウティングに失敗して1シーズンいい選手が集まらなかった、となったときに、彼らは予算がないので「選手を獲得してのチームの立て直し」が難しい。ここが問題になってくる。

それがなぜクローズドなリーグでダメかというと、弱いまま1シーズン2シーズン戦うことになるかもしれないという点だ。そうなればリーグ戦で「全敗チーム」「弱小チーム」という不良債権になり、そんなチームにファンは付きにくい。それだけならともかく、そこと当たるチームも「まあ俺の応援するチームも相手全敗のあそこなら応援しなくてもだいたい勝つだろう」と、相手チームの盛り上がりにも冷や水をぶっかけて「見なくていい理由」を相手チームのファンにも伝播させてしまう、これが困るわけだ。自分のファンが0なのは弱いし補強しない自分たちの自業自得だろうが、相手チームのファンの視聴モチベーションまで下げたらもはやその存在は0以下、マイナスとなる。だから「全敗チーム」や「勝つ気ないチーム」は特にクローズドなリーグ戦において二重三重にも盛り下げ要素となる厄介な存在なのだ。

なお、ここでの「勝つ気がない」は選手の個人の気持ちの問題ではない。もっとリアルな部分、チーム運営陣の「勝つ気」を指している。例えば戦前生まれで厳しい教育を受けた頑固で負けず嫌い、何でも負けん気が強く勝つまでやる、がモットーの老眼でパソコン操作できないおじいちゃん選手5人平均100歳、「若者に負けるか、という気持ち」は常人以上、電車で若者に大声で説教することを厭わない程度には気力ある5人を集めても、車の運転もやべえレベルまで老いてしまってはLOLスキルは付いてこないだろうし、いまの20歳平均にマウス操作が届くまでも果てしない時間が必要でもあるだろう。時間がいくらあっても無理かもしれない。そういうこと。いくら気持ちがあっても小学生はブラジルフル代表にガチサッカーでは勝てんわけで。「やればできる」にも限度がある訳で。まあ、降格制度があれば自浄作用として沈んで消えていくだけだが、往々にしてこういう怠慢チームは降格がないところで生まれ残る。「そんなチームないやろ~」と言えないのはLJLをご覧の皆さまならお分かりでしょう。

LJLで実際に何度もあった例として、15分のインターバル待って、5分の実況解説の話聞いて、10分のバンピックを経て始まった試合が前半5分で5-0、25分で20-5の大楽勝で終了、25分と言っても前半5分10分で数千G差がついて勝負ほぼ決してる、みたいな。これに「応援」の余地あるんか?って。これでは圧勝したチームのサポーターも待った甲斐がないし歯ごたえも見ごたえもない、元から少ない弱い側のファンも見どころゼロ、白ける人が出てもおかしくないでしょう。実際自分は白ける試合がいくつもありました。

「サッカー日本代表vsスペイン代表」には6000円払っても客が入るが「サッカー日本代表vs新宿第一小学校サッカー部5年生」の試合に6000円払って見に行こうという人が保護者以外出ないのと同じで。小学生でなくても「サッカー日本代表vs水着グラビアアイドル11人」でもいいです。緊迫感のあるプレーないでしょ小学生や水着アイドルとの試合。絶対日本代表が勝つしまともなプレーもしないんだから。サポーターもこれで日本代表勝ってもうれしくないでしょ。この試合に魂燃やしてオーニイッポーンって歌える?俺は無理やと思う。言ったら真剣勝負として考えたときに対戦の無駄なわけで。これがエキシビジョンや社会福祉のイベント、サッカー普及運動とかならいい。でもこれを「真剣勝負」で売るのは無理がある。将棋でも藤井五冠vs羽生善治ならみんな注目するし見る価値あるでしょ、でもこれ例えば藤井五冠対俺、20手で藤井五冠が勝ちました、なんてなったら藤井五冠の無駄遣いでしょ、俺なんか将棋部幽霊部員だったてのに。藤井じゃなくてそこらの素人でも勝つのに。もったいない。これが「勝つ可能性ほぼないチーム」がリーグに居座って対戦枠をキープすることの困るところであって。

こういう風に、いったん転んでしまうと盛り下がり発生装置、軌道修正不可の「不良債権化」というリスクを常に孕んでいるのがチーム規模の小さいチーム、ということになってくる。Jリーグでも、いい監督、いい選手、いいユース世代等の条件が重なり、J2から破竹の勢いでJ1に殴りこんでくる活きのいいチームが時々ある、が一方そういったチームの多くが「エレベータークラブ」と呼ばれ、監督が、選手が引き抜かれた途端パワーダウンし、立て直せずにズルズルと連敗し、昇格からたった2年3年でJ2へ沈んでいくというのはいくらでも例がある。色々が噛み合って一瞬、1年2年強くあるというのは大事だが、「それを継続する」というのはまた違う能力が必要になるわけで。これJリーグならまだ降格がある分マシで、降格がない場合、J2級のチームがJ1顔で居座ることになる。それも排除不能。これでは困ることが分かるだろう。

半面ビッグクラブのいいところは「体裁」もあるし「予算」もある。例えば前期のチームがグッダグダでダメダメだったら、予算を振り絞って後期はチーム全とっかえ、強いチーム買収、それくらいはしてくれるであろう、という期待感という部分になる。要は「チームの看板」にプライドと、そのプライドを守るだけのカネをきちんと使えるチームか否か、という話。これが小さいチームと大きいチームの違いになる。現にDetonationは、参加に当たりヴァロのチームをほぼ総とっかえくらいの勢いで変えている。DFM同様長い目で見て選手を固定してきたPUBGからのDetonationWhiteを解体してまで、というのだから梅崎オーナーの覚悟がうかがえる。

例えば野球の巨人軍「金満」と叩かれることも多いが、ちゃんとBクラスに沈んだらそのまま、といかずにいい選手をなりふり構わず獲得しようとするわけで。巨人は最も歴史の長いチームだが、セリーグ6球団になってから70年、連続Bクラス(4位以下、つまり半分より下)になったのは長い歴史で2005-2006のたった1度だけ。その連続Bクラスのあとは、流石に良くないと2006年オフには32歳の小笠原を4年16億という超大型契約で獲得するほどの本気度。その甲斐もあって2007年には4位から優勝とジャンプアップしています。降格のないクローズドなリーグの参加チームに求められる立ち回りとはこういうことになる。負けっぱなしでない、負けたら「言葉や気持ち」だけでなく、見える形で何としてでも、金を払い泥を啜って叩かれてでもチームの汚名を返上し結果を出そうとする姿勢。これです。こういうチームが集まればお互いの切磋琢磨でリーグのレベルが自然と上がっていく、というわけです。金満チームに対して西武ファンとしてはムカつく部分はあるのですが、システムとして正しいのはどちらか、と言われたら困るわけで。

あなたが降格のないクローズドなリーグを運営する場合、上記の2チームどちらを選びますか?という話になってくる。そしてこんな話はこれからのeスポーツでたくさん出てくるのでは?と個人的には見ているところで。LOLはご存じクローズドなリーグ、ヴァロラントもその方向、格ゲーもストリートファイターリーグは「選ばれし8チーム」となっている。

欧州サッカーなんかでは「スーパーリーグ構想」というものが過去に何度か出ては消えてを繰り返している。世界のビッグリーグのさらに上澄み、ビッグクラブ同士を集めた最強のリーグを作ろう、という構想だ。実際のサッカーでも上に書いたように「強豪対弱小」の試合で強豪チームの客が思ったより入らない、あるいは放映権があまり売れない、なんて問題がついて回っている。わざわざ見なくても勝敗は明らかだ、となれば他の用事を優先する人も当然多くなる、といった感じで。ただ、それでは大金出して選手をかき集めたのにもったいない。なら捨てゲーのないリーグを作ろう、という話であって。2022年現在計画はいったん破綻したものの、金銭的都合を第一に考えればビッグクラブにとって理にかなっている部分はあるため、今後も何度も似た案が浮上してくるだろう。

LJLだっていつまであるかわからない、世界的には「DFM」しかいないも同然の状況なわけだからだ。もしかしたらヴァロラントのように「アジアリーグ」としてDFMが日本の1枠として、他は国内アマリーグで、という話になるかもしれない。なんなら日本国内はバーンと爆破、でも驚かない。今のままなら救いはないが、もし「日本人の海外移籍」があり得るようになれば「育成型クラブ」として名を売ることも出来るかもしれない。LJL経由でLCKに戻るKR勢もいるわけで、うちのチームそこむっちゃ力入れてますとか、英語学習とKRソロキュー環境だけは一番っス、という形で外に行きたいプレイヤーを囲うチームとかそういう色が出せるかもしれない。

正直2022にもなってまだビッグでない老舗eスポーツチームはそろそろ身の振り方考えたほうがいい時代ではないかと。もうさすがに先行者利益、ブルーオーシャンの時期は過ぎ、統廃合の時代にずっぽり入るのでは、と思っていたりして。もしかしたらRJも売り抜けるいいタイミングだったかもしれないわけでLJLのやる気のないチームは売るのも検討してよい頃合いかと。万一、もうしばらくしてLJLが爆発四散したら買い手すらつかないかもしれないわけでね。笑いごとでなく一度オセアニアリーグは消えかけたわけだし、数年前あんだけ気合い入れてたワイルドリフトも2023で世界的には縮小傾向が決まってしまったわけで。

メリット③LJL選手寿命の延び

①でも書いたが、LJL選手のモチベーションというのは非常に保ちづらいのではないかと。DFMがアガリだが、そこの枠は長年埋まったまま、ということでまだまだ実力のある選手が別に若手に負けたわけでもなくリタイア、というシーンがLJLにはあまりに多すぎる。もちろん若手の台頭、新陳代謝はあったほうがシーンのために当然良いのだが、それは年功序列で辞めていくのではなく、ちゃんと下が突き上げて、板の上で決着をつけて、ベテランをボコして、というのが望ましい。実際問題、余力を残したまま引退する、引退に追い込まれる選手があまりに多いのはひとつLJLのヤバい問題と言える。

例えばあなたがいまのLJL下位チーム、たとえば2022夏V3と、LJL選抜OBチーム、例えばapaMEN、Paz、Ceros、Yutori、Kazuがガチ賞金結構な額かけてガチった時にどっちに賭けますかって話で。まあJGが苦肉の策感あるものの、といった感じであって。OBチームは引退言うても全員プレーオフ経験者。いやーLJLのレベルが毎年上がってるって言うなら当然前者に賭けますよね?僕は後者でお願いします。こんなんMIDセロスが押し込んでヘラルド前後を常に明るくしてるだけでapaエイトロがTOP貫通して終わりっす、BANされたらapaナーで終わりっす、これ。メタ変わっても1連タルなのにレーン勝つapaGPだってあるからね。(旧USGファン兼apa信者の感想です)

はやすぎる引退というのは個人的感想でもあるが、実際、単なる事実ベースの話としても、今期LJLアカデミーリーグを優勝したのは、もともと苦肉の策のはずで、S10に引退したYutorimoyashiが急遽入った戦国アカデミーだったわけで。その引退済み選手のアカデミープレーオフのスタッツがこちらになる。

・平均キル6.71→プレーオフ全20選手中1位
・デスの少なさ1.71→全体2位
・KDA8.25→2位と1以上の差をつけてのぶっちぎり1位
・平均CS10.83→2位の8.8と2の差をつけてのダントツ1位
・分獲得ゴールドは536で2位と100以上の差をつけ1位
・ダメージ/分842は2位と100以上の差をつけ1位。

もしプレーオフMVPを選ぶうえでこのスタッツなのにYutorimoyashiを選ばない関係者がいるのであれば、それはもう選出者がLOLの数字を理解できていない、そんなレベルの数値傑出度であって。例えばLOL知らない叶姉妹なら、LOLのスタッツより選手のファビュラスさやゴージャスさ、グッドルッキング具合でMVP決めるだろうし、私叶姉妹のレベルです、って自己紹介してるレベルというか。叶姉妹くらいキャラ立ってればいいんだけど、キャラも立ってないのにそういう人っていますからね、史上最速の三冠王村上のベストナイン記者投票、1人だけ村上じゃないのに入れてるヤバめの人実際にいますし。

「LJLのレベルが年々上がっている」というソースもない話を実況や解説の方が言うたびに自分が疑問符をつけている理由の一端がこのデータになってくる。「でもアカデミーでしょ」という話だが、アカデミーで他に出ているADCはMarimo、そしてMillanとLJL1部経験者もいたうえでこれだけの差をつけている、ということになっている。むしろ三顧の礼でMoyashiの家にようかんの一つでも持って詣でる必要のあるチームが複数あるのではないだろうか。この数字を見れば、毎年LJLのレベルが上がってる、なんて言ったら「なんかそういうデータあるんですか?」って「ロルゆき」さんも言うでしょうきっと。

あのー、あなたが持ち出している外れ値に近いDFMの国際戦成績と、LJL下位クラブ含めたLJL全体レベルの話、これって相関ほぼないと思うんですよー。当たり前の話で恐縮なんですけど、同じ8人のクラスで元から毎年90点とってる優等生Dくんが今年95点取ったところで、20年に90点取ってたVくんが急にヤンキーになって教科書捨てて学校来なくなって今年3点だったら、この段階で-82点、となると他の6人が全員相当なプラス、+15点って目に見えるレベルの伸びでなきゃクラス平均点って下がりますよね?そんなに他のチーム目に見えて上がってましたか?っていうのと、他のチームがそんなに上がってない場合、全体のレベルって上がってるって言うべきか、下がってるって言うべきか、理解して話してます?って。

ただの事実列挙、下にリンクもありますのでご確認を。


実際のmoyashiの引退シーズンのスタッツがこちら。KR選手を対面で相手にしながら、Entyとの純日本人Duoでレーン五分以上、この成績は十分立派としか言えないだろう。彼らを並べるだけで他レーンに助っ人枠投入→有利を築けるのだから。築けないならそれはもう相当チームがアレ。

ロルゆきさんはともかく、ここらへんの早すぎる引退については以前apaMEN引退に寄せて書いたのでそれと重複してしまうが、一応再度書くと、彼らはコーチ業に満足しているかもしれないし、経費削減しか考えてないチームはどうでもいいかもしれないが、こちら視聴者側からすると「日本最高峰の選手たちがコーチに回って、たまに出てきたブランクありコーチに負けてる人がレギュラーを張るリーグ」を見せられている、ということになってしまう。いい試合を見る機会損失、というわけだ。実際ここ数年でapaMENが引退し、Pazが引退し、Cogcogにオファーなしとなっているが、彼らに実績面でもスタッツ面でも「明確に勝った」とは言えない選手たちがリーグに出ているのが現状だったりする。LJLは枠が限られている。でももし彼らの引退前に「海外への道」が開けていたら、まだプレイしている人はいたかもしれない、Eviが抜けたことにより「DFMに入る」という目標がぐっと近づき、その分選手の寿命が延びるかもしれない。そういう期待も出てくる、というわけだ。これは別に「変に延命」というわけではなく、むしろ「変な引退」が減る可能性があるのが良いな、という話であって。

またアカデミーにしたって日本人はクソ真面目だからかなにか知らないが「アカデミーっていうんだから若手でなくちゃ…」みたいな気なのかもしれないし、なんでもKRの真似しようと兵役でリミットあるから早期育成が必要なKRの事情がスタンダードだと思って若者ばっかり使ってるのかもしれないが、日本同様兵役というリミットのないNAのアカデミーはただの2軍でそれこそベテランがごろごろいる。実際に見てみよう。

この夏NAのアカデミー優勝したTLアカデミーのジャングラーは24歳でサポートは23歳、全員20を越えている。MSI2017でYutorimoyashiと戦ったオーストラリアDWのBotDuoの2人、k1ng,とDestinyは24歳と25歳になっても仲良くDuoでC9のアカデミーで試合に出ている。MSI2016で2位になったCLGのTOP、Darshanも28歳にしてC9アカデミーのTOPだ。もちろん彼らの実力はある程度割れてはいるが、彼らに勝てないようでは1部も難しいわけで、そして彼らに勝てる面子が今やっとNAの新世代として台頭してくるわけで。

「でもNAだけだろ?」とお思いの方もいると思います、だったら僕も紹介しません。EUもです。この夏1位のRogueのアカデミーのサポは現在28歳で年齢不詳の1人を除き全員20以上フナティックのアカデミーもTOPがかろうじて19歳、あとは20以上でサポは26歳です。兵役がなくソロキュー人口が日本の数倍のNAやEUがこの状況であって、世界的に見れば兵役というリミットのある特殊な韓国の事情を何故かリミットのない日本が模倣しているといった有様で。ただでさえソロキュー過疎という、模倣に一番向いてない環境なのにガワだけ最先端風というね。

日本はスカスカの日本サーバーで無理やりソロキューランク人数何倍以上の地域を真似したスカウティングイベントなんて茶番を行って、そのうえ年食って給料上がった実力者にケチなチームがノーオファー、なんてしょうもないこと続けた結果、リーグごとスカスカが加速しただけなのだから、いい加減LOLが流行ってるから雨後の筍のように若手が生えてきて、26前後で兵役で抜けるからその速度で生えてきても循環できているKRをモデルケースにして真似し続けても難しいのではないか、と思ったり。だいたい年食ったら強くても不祥事起こしたわけでもないのに急にオファーなくて引退させられるプロリーグなんて「ゲームにガチ」な奴ほど、なかなか選ばれないわけで。あのapaさんの引退見たら「他ゲーの方がいいな」ってなるやろ。リーグで対面に70パー勝ってもノーオファーで、apaさんがレーンでボコした相手が来年ものうのうとレギュラーなんだから。おかしなリーグだよ。一緒や!打っても!と言ってもいいくらいに。

格ゲーのストリートファイターシリーズも散々「年寄りが強い」とか「いつまでもウメハラが強い」と悪い風に言われることもあるけど、そのガチガチのガチ、年齢より何より強い奴がまず正義という空気の中で、見た目と違って鬼ストイックなプレイのカワノ、不遜な態度が代名詞となったひぐち等、20代前半でウメハラときど等日本の一流のおっさんとタメ張れる=世界一が狙えるレベルが育ってきて、現にカワノはEVOまで獲ったわけで。

これが30過ぎたんでウメハラもときどもsakoも板ザンもマゴもふーども全員給料高いからチームからのオファーがなくて引退でーす、代わりに実績ゼロの高卒安いから使いまーす、なんてケチチームが席確保してるプロライセンスLJL方式だったら、単に日本の競争力が落ちて行くだけだったし後進も育たなかっただろう。格ゲープロライセンスに関してはひと悶着あったが、大会に勝てば手に入るし勝てなきゃ手に入らない、という実力主義に落ち着いたのは良かったのではないだろうか。おかげで「スト4ではプロ名乗れてたのに、スト5ではライセンス取れてない人」も出てきたが、それもまあ実力勝負の結果であって。悔しければ勝てばいい、勝てばプロ名乗れる、というのはシンプルで見ごたえがあるしなによりわかりやすい、ってのがある。apaさんみたいに対面ボコしたのにプロ引退しなきゃいけない、なんてこともない。シンプルイズベスト。

ともあれ、例えばこれでEviが海外でバリバリ活躍し続ければ、改めて「25過ぎてもいけるやん!」「30近くてもいけるやん!」「30超えても行けるやん!」となっていく可能性もあるわけで。いまの妙な偏見を取り除くという意味でも今回の移籍が期待できる。

デメリット①LJLの「顔」「窓口」不在

むかーしむかし、LJLの「顔」と言えば皇帝Cerosだった。Worlds予選ペンタという看板を持つ日本の皇帝は世界大会のたびに名プレイを連発し、世界へ「日本」をアピールした。イケメンかつ(真面目な発言が必要なカメラの前では)好青年、受け答えも「ゲーマー」のイメージよりも相当しっかりしていて、なおかつ筋トレもしていたりとカメラ映えもGOOD。メディアが欲しい「プロゲーマーらしい一面」として「モニタの距離を定規で測る」というメディア受けするアピールルーチンもあり、たびたび取り上げられていた。ファンからしたらその表Cerosとゆたせろの時のtrollcerosの二面性もまた魅力だったりもして、カメラに映るときは100点で隙が無いとまで言われたCerosだからこそ、たった一度隙を見せた、プレーオフで優勝して、それも兵役前のviviDを世界に連れて行けたことへの安堵で涙を流すシーンは印象的でエモーショナルでもあった。自分が勝てて嬉しい、よりチームメイトを兵役リミット前に世界に連れていけて嬉しい、が出るところは彼の素の人間性が出たコメントのように見えた。

そんなCeros引退後、日本、LJLの顔は名実ともにEviに移った感がある。世界大会でのサムズアップは有名になり、マイナーリージョンの選手としていまやナンバーワンの知名度と言っていいかもしれないほどだ。キャラクターも明るく社交的でトークも好感が持てる、スポンサーにも配慮した発言が出来て、社会常識があり、「不謹慎が面白い」みたいな昔のゲーマー的なひねたメンタリティも表に出さないため炎上要素も薄い、イベント等にも積極的に出るほか、一般ユーザー、他ゲープレイヤー、著名海外LOLプレイヤーとの交流も盛ん、Youtubeの登録者も万単位。もう日本でも世界でも人気者、といった感まである。チームボイスチャットでも明るいEviを皆でイジるような形で進行していくことも多く、何ならムードメーカーまで兼ねていた感まである。

そしてその彼が出ていくとなって皆気づいたのではないだろうか、Eviに背負わせ過ぎていた、と。DFMだけでない、8チームどころかプロアマ含めた日本LOL界全体が、だ。ファンサもLOL普及もスポンサー対応もインタビューもイベントもPVもなにもかもEviEviEviと、Youtube動画なんかもあとはせいぜいDFMくらいしかないのが今の状況だ。(※一流ストリーマーが不定期でやってるのを除く。)数字だけ見れば毎年世界大会に出てイベント出ているEviより休み多いはずの他の「プロ」はEviが奔走している間、今まで何をしていたんだ?と総理大臣に言われかねないほどで。フォロワー数を見てみても

Evi:6.7万(海外表明)
Yutapon:3.1万
Paz:1万(引退表明)
Enty:1万

あとは軒並み日本人は3000を切るレベルになっている。

TVのキャプチャでハロワ求職者に対して政治を棚に上げて「今まで何してたんだ?」と高圧的に説教する庶民を知らない年寄り政治家!みたいな感じで「上から目線」的な使われ方でよく見る画像ですが、実は動画で続きを見ると、単にハローワーク相談員体験として「あなたの前職は何ですか?」とべらんめえ口調で若者に対してフランクに経歴を尋ねてるだけ、というオチで。皆も切り取りで受ける印象、インパクトが強い時ほど前後を確認するよう、踊らされないよう気をつけましょう、というのをここに。

こうTwitterの数字を見ていくと次のLJLの顔にはぽんさんが、という話だが、ここで問題になるのが「さすがにそういうキャラじゃないのでは」というのがある。

LOLだけでなく、多数のゲームで日本トッププロに君臨できるであろう、真のゲームの才能を持つ「すべてのゲームに愛された男」ことYutaponには、そんな世俗のインタビュー対応だのファンサだの何だかんだよりも、その体力や時間、頭脳、気力、才能をYutaponが望む限り、好きなようにゲームに使ってほしい、頼むから彼にだけはゲームに集中できる環境を作ってほしい、しょうもないことで彼のゲームを邪魔しないでほしい、下手に露出を増やしてeスポーツの足を引っ張りたい下世話なワイドショー的な奴らのターゲットになるなんてことがないように梅崎は守ってほしい、というのが多くのYutaponファンの願いではないだろうか。「いまからValoプロになりまーす」と一言つぶやくだけで引く手あまたであろうYutaponがまだLOLを選んでくれていることが既に奇跡みたいなもんなのだから、それ以上を望むのは、ってやつだ。自分もそう思う。きっと梅崎オーナーも同じだろう。その一点だけで梅崎オーナーはリスペクトに足ると言ってしまっても良い。

もちろん人の内面は分からない。やりたいならやってもらえばいいが、いまのYutaponはそんなにやりたくなさそうなのでやっぱり背負わせたくないという感がある。彼に伸び伸びプレーしてもらう事こそが「日本のeスポーツ財産」まである。

変に背負わされることによって、人によっては成績が落ちたりすることも珍しくない。というのも、自分の敬愛する、こちらも「天才」と冠されることの多い棋士、谷川”光速の寄せ”浩司も、その圧倒的な成績からくる存在感により押し出される形で将棋連盟会長になった結果、プラスよりマイナスを背負った形、新しい時代、ネットや将棋AIに対応する難しい局面に晒され、ソフト使用事件の一件でケチをつけられてしまった感があるからだ。もちろん連盟に関わる前より成績はリビングレジェンドの魑魅魍魎やデビュー直後の脂乗ってる羽生とガシガシ削りあった全盛期から見たら既に下り坂だったが、やはりあの時期の心労等でガクっときた感がある。谷川先生のことを考えると、名選手には余計な負担はかけたくないというのがある。

リアルな人間で「光速」がキャッチコピーになる人間って、谷川先生かウサインボルトくらいでは

まあ、でも人は変わるもので。例えば、かつて勝利インタビューに一言「ホンダ」と言い残して表彰もそこそこに去っていったりと「クールでミステリアスなすまし顔」だったあのウメハラも年を経て丸くなり、40近くなった頃には「若手も中堅もどんどん配信しろや~」と王の大号令を出し、DaigoTheBeastTVを国内と海外向けに開始、そのパワーで初回には格ゲー5神の召喚まで成功させ、ストリーマーをGamewithにねじ込み、自分の移籍を条件に新興配信サイトに移り、そのかわりに多くの格ゲーマーに配信の給料を出させるようにしたりして、幾人かの強豪格ゲーマーを社会人から格ゲーマーへ戻すことに成功しており、なんなら今も自分が動き自分で企画し、金を出しながら定期的に話題作りをして界隈を引っ張っていっている。「あの頃」のウメハラが自分の配信でノリノリでガチの大食い王者(MAX鈴木)呼んでに「俺のソニック連発と寿司大食い、どっちが早いか勝負だ!」とかやるなんて誰も想像できなかったわけで。

格ゲー界のクールなカリスマ→カリスマ格ゲー激強ニコニコダブルピースおじさん

大食いプロ相手にソニック撃ったりゲーマー集めて味覚格付けチェックしたりしながら大会出ては普通に優勝候補の一角に上がるおじさんことウメハラ

でもじゃあ実際Eviの代わりに色々フロントに立つ役誰がやるよ?となったら人材難なのが現状で。もちろん、LJLプロ側も言い分があるだろう。勝ってないとちょけにくい、というのはあるだろう。ただそれにしたってカメラにアピールしたりするのもEviくらい、DFMの場合EviがアピールするからこそSteal以下がカメラガン無視でも、大リーグのあえて無視するセレブレーション的なネタに見えて面白みがあるが、これでEviが抜けてカメラ来てるのに全員下向いてセッティングしてたら正直DFMのファンも減るだろう。とはいえ、DFMの場合、三人は韓国人、もうひとりはぽんさん。となると彼らにその役を渡すのは負担が重いと言ってもいいかもしれないが。

他チームもそうで、WEBカメラ越しかつインタビューくらいしか今はないが、そういったアピールに気を遣う人材というのはいまのLJLにほぼ不在と言っていいだろう。Eviがそれで人気を博した、という一番の教科書があるのにもかかわらず、DFMだけでなく他チームも多くがそこらへんに無頓着なのは相当に危うい感がある。カメラにアピールしてる選手と、ずっと下向いてる選手、果たして試合終わった後の個人配信があった場合「お疲れさまでした!」って言いに行きたくなる選手はどっちなのか、という話で。そもそもLJLは試合後に個人配信や動画を出してる人間が皆無というのが気になるところで。自分はストリートファイターリーグをよく見ているのだが、彼らのうち何人かは、試合が終わって、まだ番組がエンディングトークしているうちに「個人配信」を始めて、リーグの番組の温まってる視聴者をシームレスに自分の配信に来てくれるような仕組みを作ったりしている。また、勝っても負けてもリーグ戦の後すぐに動画で感想戦をしつつ動画にすることでファンの熱を保たせていたりもする。この最近のスト5の動画周りの「スピード感」というのはいろんな界隈も参考にしてほしいところで。


カワノは11/3に行ったファン交流会の動画を翌日11/4に10分程度の動画としてアップ、この「スピード感」は行った人も行けなかった人、それぞれ「熱」が残っており、実際にコメント欄では相当に好評を博している。

アピールだのファンサだの、ってのをやりたくないという人の気持ちも分からなくはない。でも、やる必要もねえだろ、と思ってるのならどうだろうか。例えば自分が本田翼くらい顔がいいと思ってるなら別にそれでもいい。顔だけで人が集まるし顔が良ければ別にゲームうまくなくてもゲーム中のトークおもんなくてもYoutube220万登録いくし、ダンスうまくなくても歌うまくなくても歌って踊るラインモバイルのCMくるんだから。本田翼ならLJLのワイプカメラでも顔パッキパキで喋んなくてもアピールしなくてもファンもそりゃワイプのご尊顔だけで大満足メロメロンよ。もしくはFakerくらいうまいと思うならいい。大して喋らずに待ち時間に見てても面白くない橋のゲームやってたってFakerならみんな見てくれるんだから。

要はLJL選手は全体的に「自己アピール」「自己プロデュース」的な意識が少し足りていない、なんならEviが逆に一人浮いていた感まである訳で。ここらへんはLJLという構造、Riotから金が出る、という部分も関係しているのかもしれない。自分は格闘ゲーム、スト5もよく見るのだが、上から下まで「個性」というものを出そうと努力してるのか、あるいは周りが出させようとしてるのか、ともかく「自分のキャラ」が立っている人材が多い。究極彼らは「個人事業主」であり、「自分」にスポンサーやチームがつかなければプロが継続できないと良く知っており、それゆえに若いうちからプレイだけでなくキャラも考えている、という部分もあるかもしれない。実際にウメハラは自分がメインのチーム「Mildom Beast」、ときどは自分個人のスポンサー「ロートZ」、ももちは自分がオーナー兼選手の「忍izm」と、既存のチームに依存するのではなく、最上位プレイヤーとなれば個人についたスポンサーや、自分で立ち上げたチームで戦う選手が増えている。もちろん、そちらのほうが「自由な活動」が出来るメリットがあるのだろうが。

あとは格ゲー界隈はPV製作などを手掛ける人たちの一部がプロ格闘技に造詣が深く、「アングル」の作り方、魅せ方、盛り上げ方を熟知している、というのが大きいかもしれない。LJLでもかつて昔一瞬試合前PVで「相手チームを煽るような選手インタビュー」みたいなのがあったのだが、選手に照れがあり、映像の作り方も選手任せすぎたためか「バチバチ感」が出なかった記憶がある。当時は「ムラ社会だからなー」「日本人の気質かなー」と思っていたが、その後の格ゲー界隈のPVを見ているとそうでもないなと。おそらく石井プロが撮っていたらまた違う形だっただろうと。そういった選手のプロデュース力的な部分では相当後れを取っている感があるのではないだろうか。これは選手でなく、興行として見るならゲーム大会をプロデュースする組織側の大きすぎる問題でもあるが。

世界格ゲー界の超ビッグマッチ、「ウメハラvsときど」の10先は両者のインタビューを中心に構成されたPVが65万再生、本編もYoutubeのアーカイブだけで85万再生されている。

個人的に今でも時々見る格ゲービッグマッチ煽りPVの頂点、マッドキャッツ三銃士の写真はグッとくるものがあるし曲もズルいまである。こちら再生数は振るっていないが、当日にアップされたという事情もあったはず。クオリティは100点。

例えば東大卒プロゲーマー「ときど」、それだけでもキャラが立っているが、例えば海外大会で、観客に見えるように大スクリーンに試合を映している会場では、自分の使用キャラの勝ちアピールで背中に「天」と出る際に、ときど自身がスクリーンの前に走っていき、自分の背中に「天」が映るようにするアピールをして海外で大ウケし、以来ときどを代表するポーズの一つとして「背中を向けての仁王立ち」というものが確立した。ちなみにこれに絡んだTシャツも自分で販売している。そのほか現在はYoutubeで、その学歴を担保とした「東大式格ゲーEnglish」という動画まで作っている。




世界最高峰Evoの優勝時に撮られたこの写真も、彼を象徴する背中からの仁王立ちとなっている。


例えば社会人プロ格ゲーマーとして長らく過ごしてついに専業となった「ネモ」、その社会人経験を「仕事論」として著書にするほどであり、クールで高身長、きちんと社会人らしい受け答えも出来、紳士的な態度も相まって非常に「大人」で、メディアに格ゲーマー代表として出ても恥ずかしくない格ゲーマーのイメージがあるが、その一方で「投げキャラ嫌い」を公言しており、「投げキャラ使い」の代表「板橋ザンギエフ」とは犬猿の仲を演出、お決まりになっている対戦時の試合後の握手も一つネタとなっている。自分が運営やスポンサーだったら、ただの対決でなくこんな選手がいてこんな関係があったら試合に花を添えるであろう、ちょっと違った見せ場になるだろうと考えてなのか、「ライバル関係」というものを自己演出し、大会というショーを盛り上げようとしているのもとても「社会人的」で「大人」な考えであり、立ち回りであるともいえる。


アイドルに挟まれて大きく宣伝されるネモ氏の著書


普段は試合後紳士的に握手をしにいくが、板ザンに対してのみこの笑みと高さ
なお板ザンに負けたときのみ最速で席を立ち握手を拒否し画面外に消える模様


この優勝したかの喜びようだが、ただ板ザンに1つ勝っただけ。
他の人に対しては勝っても負けても本当にクールで紳士的なだけにこのギャップが際立つ。

格ゲーマーについてはまだまだ何人も書けるが、この程度の数行エピソードを添えてLJLの選手を紹介できるか、と言われても、LJLを黎明期から見てきた自分ですら難しいと思う。今年のLJLの幕間に流れたCMを思い出してほしい。名シーンの一番おいしいところで使われたのが、もう引退したapaMENの「バフないねんけど」だった。要はそれくらいしかゲームそこそこしか知らない人間向けの人間的な「見せ場」がなかったのだ。もちろんプレイ的な見せ場はたくさんあるだろう。ただ、ああいったCMは素人でも「面白い」と思う部分が必要であって、ただでさえゲームルールがとっつきにくいのに、プレイヤーもとっつきにくければ、もういよいよどこからLJLを流行らせばいいのだ、という話になってくる。

根っから明るくなくてもいい、ネモのように「EviがいなくなるとこういうポジションがLJLに不在になるな」と自己プロデュースして動くことのできる賢さとカンの良さを持った選手が出てこないと、LJLの「顔」が不在となるピンチにいま差し掛かっているといえる。選手の中には引退後ストリーマーになりたい選手くらいいないのだろうか、もしなりたいのだったら、ほっといても注目してくれるプロ時代なんてアピールしやすいポイントだとか、引退してからより引退前に「元プロが教える」よりも「プロが教える」のほうが引きが強いだろう、とか考えて動くポイントでもあるように見える。実際元LOLプロのストリーマーは「成功例」はあまり出ていない感がある。唯一と言ってもい成功例のらいさまに関しては「実力も一流なストリーマーがプロを経験した」といったほうが正しい感があり、Rainさんは元プロの肩書なくてもあれだけの配信時間があれば結局は成功していただろうし、もう視聴者もプロ時代、スティールの鬼時代を知らない人が大半なのではないだろうか。マジで初期LJLでスティールに関しては他の追随を許さないエグ精度で、チームが負けてても単身ドラ裏にそろそろと近寄りブリンクスマイトフラッシュで形勢逆転させて帰ってくるヒーローっぷり。俺も憧れてジャングラー触ったくらいで。


もちろんプロプレイヤーのなかには「プロなんだから腕前だけあればいいでしょ」という考えの人間もいると思う。それに関してはウメハラが格ゲー界を例にとって話している。

「格ゲーうまければいい、強ければそれだけでいいだろ?」っていうのはもっとデカい業界、野球やサッカーみたいに選手様をマネージャーがついて全部お世話してくれて、PRもなにも周りが何でもしてくれる業界ならいいけど格ゲー業界はそうじゃねえ、おめえのいる業界がショボいから盛り上げから何から何でも自分でやらなきゃいけねーの。それが嫌ならプロ野球選手にでもなりゃいいじゃねえか。ショボい業界で「ゲームだけで飯食いたい」とか甘えたこと言ってんじゃねえよ。誰でも入れる小さい会社入って「給料たくさんほしい」って言ってんのと同じと。逆にそうやって業界、状況を俯瞰で考えれば、プロゲーマーでも「ゲーム」だけでなく、コミュニケーションや発信力をつけていかないと間に合わない。と。

「本当に腕前を渇望されている人間」というのは、上で書いたYutaponのように「ファンの方から」頼むからゲームにだけ集中させてやってくれ!という空気になってくるのではないだろうか。Yutaponくらい傑出して「日本の宝」と言わしめるほどに腕を磨くか、そうでなければ、という話だろう。

正直サムネイルはヒキが欲しすぎてかサムネのQとAが違うのだが。

ただここらへんは年齢や社会経験がないと、俯瞰で考えるというその考えにLJLプロが至るのは難しいかもしれない。こんなに語っているウメハラ自身も20代前半は塩も塩、大塩平八郎でスンとしたすまし顔ガイルだったわけで、まさに20代前半が多いLJLプロが上の考えに納得して動けるか、というのはなかなかなところだと思われる。それだけにチームがそういった部分を教育していく必要もあるのではないか、と思うところで。野球選手なんかは1年目の春キャンプでマナー講習や話し方講座を受けさせられたりもするわけで。そういった意味ではプロデュース力にも定評のある新規参入チームFENNELに期待したいところでもあって。

まあ本当は格ゲーのさらに上にFPS勢がいて、彼らこそ参考にすべき、という話かもしれないが、彼らが時流に乗れたのを考えていくと大元は4BR、釈迦さん関さんの配信者不遇時代から積み上げてきたものによるところが大きい。DTN→PUBG→APEXとカジュアルに層を広げてシューターに慣れてきてからのルールが難しいが奥深いヴァロの登場、そしてZETAの躍進、というわけでこれを真似するにはあとRainさんあたりが10年くらい今のペースで配信しないといけないのでいくら配信ロボでも現実的ではないだろう。LOLも一瞬ポケモンユナイト→ルール知ってLOLという道がチラ見えしたんだけど、さすがのポケモンもMOBAの難解さには勝てず、といったところで。それなら王の大号令から鞭入った感のある格ゲースト5界の方がまだ真似しやすいというのがあって。こちらも元をただせば顔とか裏顔とかビジョンとかTRFとか言い出さないといけないのでそこらへんは略って話で。

デメリット②DFMの国際競争力低下

サッカーでいうとドイツなんかがそうなんだけど、バイエルンミュンヘンという超絶一強がニアリーイコールドイツ代表になってたりする。正直リーグとしての面白みは欠いてしまう部分はあるが、その分戦力と金が集まっており、リーグは通過点、チャンピオンズリーグや代表が本番、といった感すらある。LJLも、ランクマッチ人口がこれだけ下位なのに、それでも日本代表がプレイイン地域でも頭一つ抜け出せている要因の一つがこの一極集中化になる。まあ、あとは身も蓋もないがルールに則って日本人2韓国人3のスタイルをアリとして押し通せているから、というのもあるのだが。

サカつくやフットボールマネージャーをプレイしたことのある人なら分かるだろう、黄金時代を作れたとして、それが崩れるタイミングとして気を使わなければならないタイミングはどこか、となると「国内選手のキーパーの世代交代」だったりする。次いで「海外枠使いたくない割に手薄なポジション、サイドバックの世代交代」になる。例えば得点王の海外FWなんかは、言ってしまえば超A級のFWが毎年市場に出てくる。元々そこに外国人枠を使っているなら最悪急遽引き抜かれてもすぐ埋め合わせが出来るが、海外枠がない時のキーパー、これが困る。それが今回のEvi流出になる。

具体的に考えてみるとその苦しみはまさにフットボールマネージャーに似てると分かるだろう、なんせよほどの無理をしない限り「TOP」を国内枠で埋めなければならないので難しい。日本のTOPで飛びぬけていたのがEviなのだから難しいが。一応予想をいくつか書くが、どれも不安要素があると言っていい。なおDFMを日本代表チームとして維持していく上でのTOPは誰か、という思考実験であり、今回契約等は考慮しないものとする。詳しいことは知らんので。

案1 Paz復帰 孤島サイドのTOPとして耐えてもらう

Eviに次いだ実績となるとPazになる。そのプレーオフ参加数からも分かるように「チームを勝たせる」力は目に見えているスタッツ以上、非常に高いといえる。オシムの言う「水を運ぶ選手」の典型だろう。一方近年彼自体が活躍して、という風にはあまり見えない。基本的に「陸の孤島TOP」でなんとか耐える、という役割が多いからだ。味方のジャングルの介入が薄く、相手ジャングルがキャンプしようが耐えてしまえば他レーンはずいぶん有利になる、という寸法でチームを勝たせている。キャリータイプのEviとは真逆の役割を近年担っていたためフィットするかは難しいところだが、ハマるのならば選手の実力とブランク的にはファーストチョイスといってもいいかもしれない。彼も正直EviがLJLから抜けるいまこそ株が一番高い時期だと思うので復帰を検討してもいい気がするのだが……。俺がチーム編成担当者だったら相当高いハムのひとつでも持ってお宅に向かうところ。Eviがいない今まず抑えたいのはDFMに限らず「勝つ気のある」全チームにとってもそうであるはずで。引退撤回くらい名選手はいくらでもやってる。

案2 Kinatu獲得 若手として育てる

LJLの若手ホープといえばKinatuになる。この夏のDPMもEviに次いでTOP2位、レーンも春80%夏60%と強さを見せている。今この瞬間Eviの代わりに、となればこちらも思い浮かぶ。戦術的にはEviの後釜としてチームは扱えそうだが、本人が対応できるか、といったところ。本人の意志とかはここは考えないものとする。

案3 Nap獲得 こちらも耐えるサイドで

今年のパリーグの捕手補強ぐるぐるみたいな話になりつつあるが、個人的にはNap意外といいんじゃない?とも思っている。この夏も負け越した苦しいCGAでレーン勝率は5割を超え、あのCGAで15分段階+115と有利を作れているのは十分だろう。イニシエートタンクでは序盤耐え、集団戦で決定的な仕事をする場面も目立ち、一方で意外や意外プレーオフのオラフのようにオラオラで暴れたりも出来る。かつては2部の救世主として「勝たせるTOP」として名を馳せただけに実力的にはワンチャン。ただ2部が長かったのも目立つのがあまり、という話も噂程度で聞いておりそこがネックかも。

案4 apaCog復帰

ベテラン組で実力は十分、cogcogは最後のシーズン21夏を、チーム勝敗5分程度のV3で15分で+270の有利をつけレーン勝率6割、apaさんも21夏チームが5割程度の中、金銭は微マイナスの-88ながらレーンCS勝率は7割オーバーと、21夏ではEviをも上回るCS勝率になっている。(21夏Eviの対面CS勝率は66.7パー)いずれもブランクがあるが、多少のブランクは埋められるであろうベテランという点でこちらもあり得る話か。ベテランでもあるだけに当面凌ぐという意味ではいいチョイスだろう。お金もDFMならあるやろし。

案5 YutaponTOP、viviDのADCという秘技

2年の兵役を終えてviviDが復帰を目指している模様。日本人枠のはず。本人がサブでADCを挙げており、実力は未知数ながら試してハマるようならば、KR級のADCが手に入ることになる。このWorldsで「覚醒した」と海外Redditで言われるほどのブレイクをしたYutaponADCを失うのは惜しいが、Xiaohu同様天才プレイヤーの宿命として2レーンでのWorlds本戦出場という記録を目指すのも面白いかもしれない。

案6 大穴Ceros復帰KRTOP獲得

YahalongがDFMから離れるというニュースが今飛び込んで来たので急遽追加。こうなるとAria再獲得が基本線で、Ariaもまだ22のため来年くらいワンチャン日本人枠あるのではってところだけど少なくとも今期はまだのはず。となればAriaをそれこそGeangのように獲得のためのサブとして囲い、あのころのKazuのようにCerosを復帰させ今年を何とかしのぐ、凌いで日本人枠AriaとKRTOPのスーパーチームを作る、というのもGeangの例があるだけにワンチャン一応抑えておきたい。となったとき4KRとYutaponとなり「日本とは…」となりかねないがそれはもう今更という話で。あとは一応Aria前提で考えてはいるがDasherとかもそろそろ日本人枠じゃないかな、そことか。

案7 TOP若手起用

俺は詳しくないけどサブとかに有望な人がいれば。いる?


と一応いくつか案を出したが、どれも難しそうだし、半年後のMSIで万全に戦えそうな案がないのが正直なところ。連携面にも当然不安が残る。最悪Ariaが抜けてもKRには若手有望株がたくさんいて、実際にYahalongは十分すぎる活躍を見せたが、Eviの日本人枠となるとなかなかそうもいかない。実質的に日本のKRソロはEviとEntyが高いと少し前に聞いた覚えがあるが、ここにきてEnty獲得もないだろう。あるならもっと前のタイミングがあったと思う。果たしてDFMに策はあるのか、というのが気になるところ。

そしてDFMがコケると、せっかくPOOL2まで上がったLJLの地位がまた下がりかねないわけで。で、LOLも曲がり角に来ているという話もある。あれだけ肝入りのワイルドリフトもさすがに流行らんとプロ規模縮小、LOL本体も視聴数減から土日のゴールデンタイムにやっていたNAのLOLリーグも平日に移して、その土日にヴァロをやる、という話も出てるとかなんとか。

リーグシステムの再編についても現在宙ぶらりんの「ロシア」があるわけで、そこ含めてマイナー地域の整理が行われてもおかしくない。かろうじてDFM一極集中のおかげで国際的競争力を維持してきたわけだが、これが崩壊して世界大会かてなくなると、世界でも勝てない、視聴数伸びない、ソロキューも人増えない、と日本撤退がマジで視野に入ってきてもおかしくないわけで。現に整理が行われた数年前のオセアニアや、台湾香港東南アジア地域の統廃合を考えるに、LMSにDFMだけ加入のオンラインリーグなんてなっても驚けない。

やはりソロキューが少ないというのはきついポイントで。ブラジルなんかはソロキューが多い分チームが群雄割拠過ぎて分散してしまい代表チームがそんなに強くない問題はあるが、その分若手は育ってきているという話もあるわけで。つぎのEviを育てるためにもLOLが流行る必要はあるだろう。

まとめ アフターEvi時代 地殻変動は起こるか

というように、たった一人の選手が抜けるだけだが、これは今までの引退とは格の違うえらいこっちゃ具合であり。不気味なのがDFMの動きが鈍いように見えること。それすなわち「他チームのチャンス」でもある。もしFENNELがガチるつもりなら「加入初年度にして千載一遇のチャンス」であったりもする。やる気あったりなかったりを繰り返しているように見える戦国やソフバンも「ここが勝負」と見るべきだろう。サカつくやフットボールマネージャーの一番のチャンスは、ライバルチームのエースやキャプテン級キーパーが抜けた瞬間になる。大黒柱が抜けたタイミングで相手チームを、市場をぐっちゃぐちゃにかき回し、相手のレギュラーを骨抜きにする、これが鉄則と言える。資金力に劣るならスピードでいい選手を確保してまえばええ。そういうムーブが出るのか出ないのか、今後に期待したい。

LJLに地殻変動が起きるか、それとも盤石DFMが続くのか、はここ数か月にかかってると言っていい。LJL史上一番熱いオフのはずなのだが、ろくに情報が出てこないのであまり盛り上がりもなかったりするのがアレなところ。DFMの倒し方としてここが一番のチャンス、梅崎オーナーもヴァロで手一杯ならなおさら、といったところで他チームの奮起に期待したい。できれば国際大会まで見据えたムーブが見たいところで。

どちらにせよEviの代わりなんているはずのないなか、各チームがどういう回答を出してくるか、そこに期待したい。こんだけDFMが倒せそうなチャンスにやる気出さないチームがいたら、それこそ撤退をご相談してもいいのでは、と思ったり。RIOTも譲渡相談センターでも開いてよさそうな気も。まあそんなにやる気があればこんなことにもなってないんだろうけど。

また戦力以外でも「ムードメーカー」「LJLの顔」としてのEviがいないのもこれまた問題になってくるわけで。そこでの新勢力の台頭、期待したいところで。まあまあ難しいと思う。誰でもできることじゃない。ただ、それでもLJLの顔になれるのはLJLプレイヤーだけ、本田翼はせいぜいイメージキャラクターにしかなれへんわけで、厳しいところかもしれないけど各選手頑張ってもらいたいというのがほんまのところで。

ともあれ、今までとはまた違った景色が良くも悪くも見えそうな2023LJLに期待という話で。オーレー!がんばれニッポン!おーーーにいぽーーー!!!

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