インターネット異性紹介事業の登録番号から事業者を逆引きすることはできるのか(後編)

この記事の続きになります。

詐欺をやっている出会い系(風)サイトが「本当に警察に対して届出を行っているのか」が気になったので、大阪阪府警に情報開示請求をした。
情報開示請求の申請自体はそれほど面倒ではなかったが、結果を受け取るにはコピー代10円+郵便代84円の94円を銀行窓口で支払わなければならず、とても面倒だった。
そして、すぐには結果が来ず、文書が来るのは支払いをしてから3週間ほどかかった。

届いた文書がこれだ。

今回の目的は「インターネット異性紹介事業の登録番号から事業者を逆引きすることはできるのか」であり「インチキ出会い系サイトを吊し上げる」ことではないので、具体的な事業者名は伏せるのでなんだかわからないと思うが、結論から言うと、詐欺出会い系サイトに記載されていた情報は正しいものであった。デタラメな番号をサイトに乗せているのかと思いきや、実際は警察に届け出をして詐欺サイトを運営しているということがわかった。

しかし、詐欺の出会い系サイトであっても警察が受理をしてしまうというのは、これはある意味で詐欺師に警察がお墨付きを与えているようなもので、あまりよろしくないのではないかと思った。そもそも審査とかはないのだろうか。
再度警察に電話をして確かめてみたが、書き起こすのは手間なので箇条書きにする。

  • インターネット異性紹介事業の届出は、書類に不備がなければ受理される。

  • インターネット異性紹介事業の届出が提出された段階では、「運営者に関する調査」「サイトが存在するかどうかの調査」「受理日以前に運営がされていないか」を確認するのがメインである。

  • 運営後に届け出があったサイトをパトロールや巡回するようなことはない。通報や相談があれば見ていくことはする。

  • 届け出をした法人や個人が犯罪を犯した場合は、事業停止基準に基づいて取り消しになることはある。

 というわけで、サイト側が偽の金持ちババアや爆乳欲求不満女を送りこんでくる行為に関しては、特に警察側で積極的に抑止する仕組みはないようだ。

インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律を見ると、どちらかといえば詐欺行為よりも未成年者を保護する意識が強いように思えるので、警察側の取り締まりもそちらに寄ったものになっているのかもしれない。

 ……これは個人的な意見だが、インターネット異性紹介事業やそれに関する法律を見る限り、そもそも「出会い系サイトのアカウントは1人につき1つで、人間が動かしている」という前提があるように感じる。警察官や法律関係者はあまりドロップアウトして出会い系サイトで遊んだりしないだろうから、こうなるのも仕方ないというか、納得感があるといえばあるが。
なので「サクラやbotが数打ちゃ当たる方式で、スパム的に詐欺行為を行う」行為に関してはあまり考えられていないのではないか。

 実際、詐欺出会い系サイトのサクラ(bot)アカウントは運営側が発行したアカウントだろうから、本人確認なんか全くなしで動いているはずなので、出会い系サイトの欠格事由に「児童でないことの確認が行われていないアカウントがメール等、特定のアクションを起こしていると認められた場合」というような条件を付ければ、もう少しマシになる気がする。まあそれでもダミーの身分証をアカウントに紐付けたりされるだろうから、根本的な対策にはなっていないと思うが。

 出会い系サイト規制法では、「弱者」されている未成年を守るような仕組みは確かにあるものの、ネットリテラシーのない「弱者」を守るような仕組みにはなっていないと感じた。その辺りをどうにかして欲しいところである。

以上!オチはなし!


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