インターネット異性紹介事業の登録番号から事業者を逆引きすることはできるのか

もう令和だというのに、出会い系の迷惑メールがいまだに来る(読むのが好きなのでわざと貰いにいっているからだが)。
出会い系の迷惑メールというのは、基本的に登録後に

  1. ・ババアから遺産を譲渡される

  2. ・なんかの財団から謎の資金が譲渡される

  3. ・金持ちのマダムから逆エンコーを持ちかけられる

などの選択肢を持ち掛けられるパターンがスタンダードだ(そもそも登録してないのにメールが来るのがおかしいとか、作ったばっかりでプロフィールが埋まってないアカウントに資金譲渡するやつはいないとか、そこらへんの話は省く)。

その話に乗っかると「資金の受け取りをするにはポイントを購入する必要があります」というアラートが出て、ビットキャッシュやウェブマネーを使ってポイントを買わない限り話が進まなくなる。
で、ポイントを買っても「手数料が要る」「保証金が要る」などと言われて追加で金をせびられる無限ループに陥る。
まあ普通の人は「そんなバカな手口に引っかかる人おらんやろ」と思うのだろうが、弁護士ドットコムやテレビ報道を見ると、時折数百万単位で騙されている人がいる。これはよくない。

このようにメールアドレスを勝手に会員として登録してくる詐欺出会い系は、一応出会い系サイトという体裁をとっているのでサイトに「インターネット異性紹介事業」の登録番号が掲載されている。
↓これは「ペアーズ」のものだが、こんな感じ

大手マッチングアプリ「ペアーズ」でも掲載されている

これは出会い系サイト規制法により定められているもので、出会い系サイトを始める際は所定の書類を所轄の警察署に提出しないといけないことになっており、この番号はそれが受け付けられたときに交付されるものらしい。
ただ、詐欺出会い系サイトは言うまでもなく詐欺を目的としたものだし、そもそも年齢確認をせずに存在しない金持ちババアとメールができる仕様は出会い系サイト規制法に違反しているものだと思われる
なので、わざわざ詐欺出会い系サイトを警察署に届け出るようなマネはしないのではないか?と思った。

ということは、登録番号から事業者を照会できるような仕組みがあれば「登録番号がデタラメな事業者は、すなわち詐欺である」と断定できるので、ひとつの対策になるのではないかと考えた
ただ、調べてもそうした仕組みは発見できなかったので、警察署に電話して確かめてみた。
出会い系サイトに関する管轄は各警察署の少年課(少年係)のようなので、届出のあった大阪府警察の少年課に電話してみた。
以下がやりとりだが、読みやすいように途中の関係ないやり取りや「えーと」「要するに」のような話し言葉は適宜編集している。

山野「もしもし、私東京に住んでいるものなんですけど」
警察官「はい、どうしました」
山野「インターネット異性紹介事業について聞きたいんですけど」
警察官「はい」
山野「詐欺のようなことをやっていると思わしき出会い系サイト『●●』からメールが来たんです」
警察官「はい」
山野「それで、出会い系サイトって年齢を確認する前に人とメッセージができたらいけないと思うんですよ。でも私がメールを受け取ったサイトは、そもそも勝手に登録されているだけじゃなくて、年齢確認せずにメッセージができたんですよ」
警察官「…はい、はいはい」
山野「ですよね」
警察官「それはどこを見て言ってます?大阪府警のHPですか?」
山野「はい」
警察官「あ~、はいはい」
山野「それで、例えばですけど、『大阪府警届け出済 受理番号123456….』って書いてあるじゃないですか。これが本当に大阪府警に届けられているか確かめる仕組みっていうのはないんですかね」
警察官「調べる仕組みは…調べる仕組みは…調べる仕組みは…ちょっと…それはどうなんですかねぇ…」
山野「ということは、ここにデタラメが書かれていて、『インターネット異性紹介事業届出済 受理番号123456…』って書かれていても、それがデタラメなものか本当のものか、一般人は知る術がないということですかね」
警察官「いや、ちょっとえーとすぐお答えができないんで調べてみなわからんすけど…情報公開とかになるんですかね」
山野「お調べしてお答えしていただけるということですかね」
警察官「そうですね」
~~中略~~
警察官「先ほどの回答なんですけど、情報公開請求になりますねえ」
山野「どちらにすればいいんですか」
警察官「いやそれはわからない、今私もネットで見てるんですけど…」
山野「わからない?どこに請求したらいいかわからないものを請求しろと言われても…」
警察官「そうですねえ。ただあるかないかもわからないんで。あくまでネットで調べた情報ですよ?●●という会社を調べたら、一応警視庁異性紹介事業と出てますね」
山野「でもそれが本当か分からないですよね?」
警察官「うーん…それが本当かどうかは分からないですね」
~中略~
山野「まあいいです。じゃあとにかく、一般市民が届出の番号から事業者を検索できるような仕組みはないということですね」
警察官「どういうことですか」
山野「じゃあ、たとえば変な出会い系からいきなりメールが届くじゃないですか。で、運営者情報を見ると『警視庁届出済』と書いてあるわけじゃないですか。でもそれはデタラメかもしれないじゃないですか。それを一般市民が調べてそれが本当に受理されているか調べる仕組みにはなっていないってことですよね」
警察官「それは情報公開しかないですね」
山野「ですよね。ということは、詐欺のサイトを運営する側からするとデタラメの番号を書かれてもすぐに調べる術はないということですね」
警察官「そうですね。情報公開でやるしかないですね」
山野「詐欺師からすると言ったもの勝ちですね。普通の人は情報公開請求しようなんて思わないわけですから」
警察官「(背後から笑い声)ん-…まあねえ。一番言えることはそういう怪しいサイトを見ないことですけどね」
山野「見ないっていうか…私は正直デジタルネイティブ世代なんでこんなもんには引っかからないですよ」
警察官「はいはい」
山野「でもこういうのに引っかかってお金をだまし取られている人がいるわけですよね。それで電子マネーとかが取られてどっかで換金されて良くない団体の資金源になってるわけですよね。それがよくないと思って問い合わせたんですけど」
警察官「まあ、それに限らずサイバー犯罪対策課とかそういうのがあるんで、インターネットとかそこらへんの規制、私もそこらへんは課じゃないんでちょっと詳しいことはアレですけどやってると…やってると思いますけどね」
山野「いや、まあこの話をしても仕方ないのでアレですけど…そういうことが疑問だったので質問させていただきました。すみませんありがとうございました。お手数をおかけしました」
警察官「はいー、はいー、はいー、はいー」

結論としては、インターネット異性紹介事業の届出番号から事業者を検索する仕組みはないとのことがわかった(そしてこういう質問は警察の方からすると面倒くさがられているということも、応対の感じからわかった)。

ただ、このようにインターネット異性紹介事業の届出番号から事業者を検索する仕組みがあったとしても、そもそも詐欺のサイトは実在する事業者の名前を騙って、その事業者の届出番号を掲載する可能性があるので、根本的な解決策にはならないのではないかという感じもする。

ただ、明らかに詐欺をやっているサイトが「本当に警察に対して届出を行っているのか」は気になるところではあるので、大阪府警に情報公開請求を行ってみた。
結果が出たらまたここに書こうと思う。

以上!オチはなし!


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