20231209_メイクの褒め方の方向性としては180度間違っている

早起きして、前回休講を出した授業の埋め合わせの配信動画を作成する。
この作業、相当大変だろうなと思ったが実際相当大変である。
ただ、スライドを見ながらあれこれ自分の専門のことを話すのは、グルーブしだすと非常に愉快ではある。しかも授業内容を改めて整理して学生に届けることができるので、整理しきれないまま授業で話してしまい、学生に混乱や疑問符を与えてしまった罪を贖うこともできる。

動画撮影がノってきたタイミングで娘は起きてきた。しかし私が動画撮影をしているのに気づき、邪魔にならないようにと気遣いをしながら、部屋の隅のドレッサーで髪を梳いている。4歳にして「オンラインで何かしている人の邪魔をしないようにする」というやり方が身についているのか。ありがたいような、申し訳ないような気持ちになる。

動画撮影は終わり、娘はいつの間にか自分のメイクセットでメイクまで済ませていた。頬のちょうど凹んで影になる部分にパープルのアイシャドウが塗られており、あれだ、ちょうどYMOの頃の坂本龍一みたいだ。
「坂本龍一みたいでいいよ」とほめたつもりだったが、娘は怪訝そうな顔をする。「世界的な音楽家なんだよ」と付け加えたが、メイクの褒め方の方向性としては180度間違っている。娘はわずかに目を剥いて眼球に力を入れ、疑問と軽蔑と「違う、そうじゃない」の全てが混ざった雄弁な表情をした。

急いで朝食を済ませて出かけなければならないが、昨日残っていたドーナツ1つと残っていたピザまん1つを娘と半分ずつに分け合うことにした。
ドーナツは私の手によって明らかに半分でない大きさに分たれ、娘は自ら小さな方を選ぶ。私は結婚するまでこういう場面で圧倒的に自分に有利な選択をしてきた人間なので、4歳にして利他的な選択ができる娘のことを純粋に尊敬する。

わぁわぁと出かけて、土曜日だがスポット的に午前中だけ仕事。楽しく終わる。

夕飯は豚の角煮。ついでに週明け用に参鶏湯も作っておいた。
角煮をメインのおかずにしたとき、副菜を何にするのかいつも途方に暮れる。夫に尋ねると「葉物」という答えが返ってきて、なるほど。おそらく角煮はコッテリとして柔らかい食感だから、さっぱりした味でシャキシャキした食感のものが良いのではないかという提案なのだろう。
コンセプトはわかる。そしてその提案からすると最善なのは青梗菜や空芯菜、豆苗炒めだと思うのだが、あいにく我が家にあるのは白菜、キャベツ、レタス、ほうれん草だ。
レタスのサラダは「葉物」に入るのかなどのやりとりを経て、白菜を中華風に炒めたものが良いのではないかという結論に達する。しかし、あくまで今日のメインは豚の角煮だ。八宝菜レベルの豪華なものを作ってしまうと完全に豚の角煮とかち合うし、かといって白菜だけを炒めても味気ないのが悩みどころだ。

ネットでレシピを検索したが納得できず、結局八宝菜の具を少なめにしたものを作ることで豚の角煮のメンツを立てることにした。

娘は角煮も八宝菜も大して食べず、納豆ご飯をかき込んで、19:30に寝た。


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