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3人ミュージカルやったら、めっちゃ勉強になった!


先日、ミュージカル『タリータウン』の日本初上演が無事に千穐楽を迎えました。

応援、ご来場、本当にありがとうございました。

このプロダクションは演出家の中原和樹の声掛けで集まったメンバーが、両国の小さなギャラリースペース「blackA」で、3人ミュージカルを上演するというものでした。

出演者は3人、ピアニストが1人、音響が1人、照明のオペレーターが1人、演出家が1人、そして当日の会場運営が2〜3人という、多くて10人のメンバーで公演を重ねたプロダクションだったのです。

開幕前のチケットの売れ行きはかんばしいものではなく、こりゃ、カンパニーメンバーよりもお客さんが少ない回があるかもなーなんてうっすら思っていたのですが、小屋入りしてから稽古動画を宣伝として発信したところそこから券売が伸び、結果的には数回の売り止め回も出てくる盛況な公演となりました。本当にありがとうございます。

ざっくり計算すると、のべ300人ほどのお客様にご来場いただけたことになります。


今回の公演からはほんとうにたくさんのことを学び、得ることができました。

ふだんの仕事では大型作品のアンサンブルとしてミュージカルに出ることが多い僕なので、そこではコーラスを歌うこと、群舞を踊ること、装置を転換すること、背景芝居をすること、ときにはひと言ふた言あるいは数行のセリフを言うことが僕の主な役割となります。

ですが当然ながら、3人ミュージカルだとそうはいきません。

きっちりセリフの分量もある。ソロの曲も数曲ある、他の人と歌う曲だって3人しかいないのでひとり1パートを担当する感じになる。頭から最後までひとりの人物としてお芝居をしきらなきゃいけない。

「お芝居をする」「ミュージカルをする」と想像するとそんなの当たり前に思うような「ソロを歌う、作品通して芝居をし続ける」みたいなことは、実は、大型作品のアンサンブルワークではほとんど経験できないものなのですね。


そうすると、「登場人物として、その人のドラマが伝わるようにきちんと歌う」とか、「たくさんセリフを喋ったりアクションをしたりして、お芝居の技術をきちんと身につける」ということは、冷静に考えてみると、普段の仕事の現場ではまったく身につかないのです。

なので、大型ミュージカルに出るアンサンブル俳優たちは、稽古場代役の仕事を引き受けたり、スウィングの仕事を引き受けたり、またはお芝居のワークショップや歌のレッスンに通ったり、自分で劇団を持ったりして、通常のアンサンブルワークでは得ることのできない経験や技術を他の場所で積み上げようと頑張るわけです。


今回僕は、自分で初めて3人ミュージカルに出演したのですが、つくづくこれは勉強になるなと感じました。

歌うこと、芝居をすること、台本を読むこと、相手の演技を受け取ること、ピアニストとコミュニケーションをとること、演出の意図を理解しようとすること、自分の考えをきちんと言語化して伝えようと努力し続けることなど。

舞台を作る上で「基礎的」とも言えるような能力や試行錯誤は、アンサンブルワークだけでは経験としてなかなか積み上げていくのが難しいのですが、こういうコンパクトな自主企画だときちんと積み上げることができます。

ちなみに、いちばん大きな収穫は、「あ!自分って、めちゃくちゃお芝居が下手じゃん!!!」ってことにちゃんと気づけたことです。

わかっちゃいたけど、あらためてやってみれば大いなる発見なのでした。


正直、新型コロナを経たことで自主公演的なチャレンジをすることに臆病になっていた自分はたしかにいます。やらない方がいいよねー、というか、なんかあったらそのリスクを背負えるような余裕は僕にはないし、みたいな。

でもその気持ちも今回のことでずいぶん変わりました。

小さくてもいいからなにかを自分たちでやっていくことは、大きな学びをもたらしてくれるんだなと実感できたので。


すでにいただいているお仕事も、これから出会うであろうお仕事も、その役目を誠実にしっかりと果たしながら、それと並行して「自分たち発信でなにかをやる」という姿勢とマインドはずっと持ち続けていきたいなと思います。そしてそれを時折行動にも移す、と。


もしこの記事を読んでくださっている、僕と同世代や僕より若い同業者の方がいましたら、ぜひぜひおススメします。自分たちでなにかをやった方がいいよ!

僕の周りには、西川大貴くんとか藤倉梓さんとか東のボルゾイのみなさんとか、自分たちでゴリゴリと面白いことをやり続けていらっしゃる人がいて、それを横から見て「わー、すごいなー、いいなー」って思ってたんですけど、

見てるだけじゃなくって自分でやらなきゃダメなんですね。そう思いました。

なので、「そういうのやりたいなー」って方がいたらぜひご連絡ください。どうやってやったらいいのかを一緒に悩んだり、タイミングとやりたいことが一致したら一緒になんかやったりしましょう!ぜひに!






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