「ハードルなんて、くぐっちゃえばいいんだよ」
いつ、どこで、誰から聞いたのか、もうぜんぜん覚えてないんだけど、とても心に残っているフレーズがある。
僕の人生の指針になっているといっても過言ではない。
もしかしたら、何かの本で読んだのかもしれない。
人生にはたくさんのハードルがあるが、それを律儀に飛び越えなきゃいけないというルールはない。ハードルが高くて困ったなら、下をくぐったっていい。足で蹴り倒して前へ進んだっていい。
この文言が、はたして正確なのかどうかさえすでにわかんないんだけど、つまりこんなようなことを言っていた、と言う記憶だけは鮮明だ。
ハードルが高くて困ったなら、下をくぐったっていい。足で蹴り倒して前へ進んだっていい。
生来のものぐさで面倒くさがりの僕は、これ幸いと、「高すぎるハードルはくぐる」を秘密の座右の銘として、これまで生きてきた。
その結果として、東京芸術大学に入学でき、商業のミュージカルにも2作品関わることができた。なんと有難いことだろう。神様には感謝してもしきれない。
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そんな風に、率先して「ハードルをくぐって」生きてきた僕がさいきん気がかりに思っているのは、自分自身の「体格」についてだ。
ひょろっと細長く、184cmの身長で体重が60kgしかない。
「スタイルいいー!」と褒められることもあるが、モデルの仕事的には痩せすぎだし、舞台俳優としても貧相すぎる。
なんとか体重は増やしたい。でも体重を増やすだけでなくて、がっしりとした筋肉も欲しい。
ガリガリ貧相から脱却したいのだ。
しかし、そこに大きな問題がある。
僕は、筋トレが大嫌いだ。
というか、「ストイックに毎日なにかをやり続ける」とか「いまは辛くても頑張り続ければ成果が出る」みたいなやつが嫌いなのだ。
声楽を勉強していた大学時代から、幾度となく「筋トレ、習慣にしなきゃ」とチャレンジはしてみたものの、2週間と続いたことがない。
「筋トレを毎日の習慣にする」というのは、僕にとって、エンパイアステートビルディングぐらいに高いハードルなのだ。
これまでの「筋トレ」ハードルのくぐり方はいろいろと思案してきた。美人のインストラクターがいるジムに通うとか、筋トレの器具を買ってみるとか、筋トレが趣味の友だちに指導を仰ぐ、とか。
でも、ぜんぜん続かなかった。
だがしかし、いまになってようやく、有効的な「ハードルのくぐり方」を見つけられたような気がしている。
ズバリ、その方法とは。
1日10回やったら全力で自分を褒める
以上。
これまでは、部位別とか、適切な回数とか、動きも早い方がいいかとか遅い方がいいかとか、そういう専門的な記事を読んだりして、「より正しい筋トレの方法」を習慣化しようとしていた。
キツくなってからの数回が筋肉を大きくするのだ、みたいな、そういうやつ。
でも、僕は基本的に、キツいのが嫌いだ。キツいことは、可能な限りやりたくない。キツさは避けて生きていきたい。だから筋トレも続かなかったのだ。
でも、10回でいい、となると話は別だ。
キツい腕立て伏せを3セットやるとなると、「ああ、めんどくせ」のスイッチが入るが、10回で終わるならまあやってもいいか、って気持ちになる。
なおかつ、10回やれば自分で自分を褒めちぎっていいのだから、こんなに楽チンな自己肯定はない。
1日10回。気が向いた筋トレをやる。
今日は腕立て。次の日はスクワット。その次の日は上腕三頭筋肉鍛える的なやつ。
1日1部位をたった10回。それだけ。
元気な日は「もうちょっとやってもいいな」と思って、別の部位をやったり、あるいは同じ部位をもう1回やったりもする。
でも、その時にきつかったり飽きたりして10回できなくてもいい。なぜなら、その前にすでに10回の筋トレ、やっているんだから。1日のノルマは達成してる。その時点で100点満点だ。
そんなこんなで、1日10回筋トレは1ヶ月弱ぐらい続いてる。
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ガチでトレーニングをやられてる方にしてみたら「そんなのトレーニングじゃねえ!」「本気で言ってんのか?!」ってなものかもしれないけれど、僕はこれでいい。
ガチでトレーニングをしようとして、高すぎるハードルを越えられず立ちすくむよりは、その下をくぐってでも前に進んだ方がいい。これが僕の考え方だから。
人が決めたルールを盲目的に守る美徳より、自分に合わせてルールを作り変え、それを常にブラッシュアップしていくずる賢さの方が、僕にとっては魅力的な能力だ。
ってことで、今日も10回だけ筋トレすることにします。
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