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旅したい人、犬好きな人におすすめ!犬が旅する江戸の紀行文ー🍃風の時代、大人が読んでも面白い✨高学年向け児童書選③

『こんぴら狗』 今井恭子著 くもん出版

キーワード

【犬】【金比羅参り】【江戸時代】【旅行】【冒険】

評価

  • 総合    ⭐️⭐️⭐️⭐️

  • 世界観   ⭐️⭐️⭐️

  • ストーリー ⭐️⭐️⭐️⭐️

  • キャラ   ⭐️⭐️⭐️⭐️

  • 筆力    ⭐️⭐️⭐️⭐️

主な登場人物

ムツキ     弥生の愛犬 こんぴら狗
弥生      線香問屋「郁香堂」の娘
美陶園御隠居  弥生を小さい頃から可愛がってくれた弥生の味方

金毘羅狗とは

江戸時代後期、庶民の間では旅への憧れが募った。だが、徳川幕府は寺社参詣の旅しか許さなかったので、人々は参詣を名目に観光を楽しんだ。特に信仰と人気を集めたのが、伊勢神宮と金比羅宮だった。しかし伊勢や讃岐までの長旅をするのは容易に叶わなかったので、代わりにお参りをしてもらうこともあった。時には、代参させることもあった。それがこんぴら狗である。

犬は、名前や住所を書いた木の札と、銭袋を首に下げ、旅人から旅人へと託されて、立派に参詣を果たし戻ってきたという。

あらすじ

江戸瀬戸物町、線香問屋の娘弥生は、風邪をこじらせ、それ以来床に伏せがちとなった。そんな折、美陶園の御隠居が、ムツキを金比羅狗として旅に出すよう提案する。弥生には、瀕死の状態で拾い上げ、一所懸命介抱して育ててきたムツキという愛犬がいた。その愛犬を、弥生の病状回復の願掛けに、金毘羅宮へ行かせろというのである。「可愛いいムツキを、そんな遠い所へやるなんて!」弥生は到底承諾できかなかった。周囲からも、ムツキには無理だという声があがった。しかし、そんな周囲の言葉を聞くと弥生は、ついむきになって、ムツキを旅に出す決心をしてしまう。

感想

何よりもこのムツキという犬が本当にかわいいです!何が何だか分からないけれども、何かにつき動かされ旅をする姿は、健気で愛おしく、読むものの心をつかんで離しません。旅先でムツキを大事にしてくれる人、利用する人、愛してくれる人、様々な人との出会いがありますが、その度に鋭い嗅覚で察知し、対応していきます。ムツキを通しての人間ドラマも味わいがあります。
果たして参拝を遂げ弥生のもとへと帰って来られるのか、ドキドキハラハラの冒険譚としても、また江戸から丸亀まで行く長い旅の本としても、面白く読めます。

巻頭には、ムツキが歩いた江戸時代の地図も掲載されています。

江戸時代の人が恋焦がれた金比羅参り、これを読んで、私も何だか無性に金毘羅宮に行ってみたくなりました。

それにしても江戸時代にこんな習慣があり、それが可能だったということに驚きです!たとえ縁起の良い金比羅狗だとしても、見ず知らずのよそ様の犬を、赤の他人がリレー方式で、送り届けて行くとは、なんと人情的で心温まることでしょうか! 日本人の原点を見るような思いです。

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