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【#一分小説】適音《第二十二話》
旦那が、事無げにココアシガレットを燻らせながら言うには、こういうことだ。
「お前のやったことはエラいぞ。エラいけどな、それが通用するのは弟子っこの今のうちだからな。立場が大きくなるにつれ、目前の安穏に甘んじて、気がついたら尊大な態度をとってるなんて末路もあるんだ。そこに人が集まる。そして、その国だけのルールだけで暮らす。それがどれ程ちっぽけで不幸な人生かさえ知らずに、そこで一生を終えたやつを、私は今まで何人も見てきたよ。」
──今では政治団体「エンジの蹄鉄」幹部のロック・クレイモリソンにも、こんな青いジャーナリストの端くれの時代があった。
旦那は、それだけを語った後、いつものように西側への折衝の為に検査場へと向かっていった。
(つづく)
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