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【#一分小説】適音《第十九話》

 誤解なき上で此を書き示すには、小生暫く床に伏せていた。とても粗暴な扱いをする輩たちの妨害に遭い、左脳の血管が煮凝り、後鼻漏をこじらせていたばかりなのだ。
 そして、うなだれながらも開いた誌面の片隅にある「大仰に人格を壊死させんとする者に近づく事なかれ」との一文に急に救われ、今一度、筆を取る決意を固めた次第である。

 人それぞれ、何かしらの「地雷」を持っているとする。
思いがけず踏むことはあれど、自らそれを踏みに行こうとはしないようにと、小生は思う。

 それは、意外な盲点の積み重ねだったりするのだ。
不可逆的な場面、不十分な説明、不適切な指標、半強要な態度、感情の搾取…、枚挙に暇がない。

 だからこそ、取り敢えず、A則ち、ドレミの「ラ」で「すみません」と明るく一言添えるだけでも、意外と収められるものなのだなと。どんなに説き伏せようとしても、それが火柱上がる場面では暖簾に腕押し。その場その場での相応しい態度がそこにはある。と、自らに言い聞かせている。

 後は、然るべき機関に全て委ね、死力を尽くし、肩の荷に手を貸さない事其れマカの実也。

(つづく)

702184


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