アーリマンと15次元
やたらとHUNTER×HUNTERの記事が流れてくる
どうやらXの冨樫先生のアカウントでファンを喜ばせる動きが見られたようで、ここ数日HUNTER×HUNTER関連の記事が流れて来ます。
数枚の画像投稿でYahooニュースになるなんて、やはり冨樫義博先生の影響力は計り知れませんね。
私は幽遊白書は原作を読破しアニメを全て視聴したのですが、ハンターは殆ど観ていません。
漫画喫茶で少し読んだだけ。
アニメも時々運良く放送時間にエンカウントしただけで、きちんとは観ていないのです。
故に、ゴンさんが静かなトーンで
「ジャーンケーン…」
と言いながらピトーをボコボコにしたシーンでめっちゃ驚きました。
ハンターアニメは幽白と同じ雰囲気で作られているので、絵が美麗ですね。
グロ綺麗に描かれている。
幽白も作画に気合が入っていたようです。
(入っていたんですよ、実は)
何回観ても
「綺麗に仕上げているな…」
と思います。
レベルEは全く観ていないので言及出来ませんが、同じ流れに乗っていると思います。
やはり気合が入っている。
HUNTER×HUNTERは、私が中学生の時には既に同級生が同人誌を読んでキャーキャー言っていました。
連載が長い…。
普通、創作活動を行う時は一気に描き上げないと作品がきちんと”繋がり”ません。
どんなにプロットを練ろうと、一話から続く流れと雰囲気にどっぷり染まっていないと、キャラが全然動いてくれなくなるのです。
ブランクが出来た場合、一話から最新話まで作者自身が読み直しをしなければなりません。
これは、どんな作家でも同じです。
富樫氏の場合、30回以上は作品の振り返りをしたと思います。
そうして、細部から新たな発見を得る度に描き足し描き足しを繰り返し、風呂敷がどんどん広がっていったのではないでしょうか。
よくあることです。
恐らく、キメラアント編は蛇足ですわ。
急に描きたくなった、というか話を引き伸ばす為に無理矢理ねじ込んだ。
そんなに長期連載をするつもりはなかったのだと思われます。
初期プロットでは、ゴンとキルアとレオリオとでギャグテイストで話を進め、40話くらいで暗黒大陸編に相当する展開にしようとしていたのだと思われます。
クラピカの乱入で狂った。
本当によくあることです。
プロット通りに話が進んだ試しなんてないですよ。
そして、キメラアント編の構想は、板垣恵介氏による刃牙に出てくるカマキリとのイマジナリーなバトルシーンからですね。
あの辺りに感銘を受けて、両氏は懇意になったのではないかと…刃牙などを読んで思いました。
富樫氏は、幽遊白書の戸愚呂弟120%状態で発動する妖怪を吸収する能力をもっと活かせないかと考えていたようですね。
戸愚呂兄弟が気に入っていた。
そして魔界編。
妖怪の食物連鎖的な構想を長年温めて、一気に放出させたのがキメラアント編になると推測されます。
そして、キメラアントの存在そのものを、アーリマンとかけています。
本当は、先生はダジャレが好きなので。
🐜マン。
キメラアントの仕組みは、そのままアーリマンの性質の巫覡。
今回はそのことについての記事です。
よろしくどうぞ。
キメラアントとは
創作をしていると、8割くらいは蟻と蜂の生態に興味を持ち、それっぽいお話を描きたくなるものだと思っています。
女王
種馬オス
生殖機能を持たない大勢の働きメイド
この究極の社会生態系を背景に創作をするのは、かなり楽しいです。
私が考えただけで
昆虫大戦争
女王争奪戦
オスが女王を無視して働きメイドと恋仲になる
働きメイドが異例の成り上がりをする
などのストーリー案が生まれました。
(これは中学生くらいの時にアイディアノートに書いたものです)
キメラアントは、壮絶なアリ社会にマイマイカブリがカタツムリを食い荒らす食物連鎖案を取り入れたものと推測が可能です。
マイマイカブリという昆虫がいるんですけど、その名の通りマイマイ(カタツムリ)を捕食します。
マイマイカブリはカタツムリを食べることで生殖を繋ぎますが、彼らが産卵した卵、その時点でカタツムリの寄生虫に脳内を乗っ取られている可能性が実に99%という。
つまり、媒体なのですね。
喰っているようで喰われている。
そうして、カマキリに宿るハリガネムシのように身体を知らぬ間に操られて、再びカタツムリを襲うのです。
カタツムリに寄生虫が宿っている可能性は50%
そんなに高くないんですけどね。
寄生虫がいる個体を狙いますね。
そして、寄生虫同士がマイマイカブリの体内で交配を行う、という地獄みたいなことが起こっています。
ハンターのキメラアントは
摂食交配を行い、次々に兵を産み、最終的に王を産む女王蟻
他の種族の雌と交わり、女王を産ませる王
女王や王に仕える兵隊蟻(護衛軍、師団長、兵隊長、戦闘兵、下級兵)
に、大きく分けられているようですが、この背景をマイマイカブリとカタツムリと寄生虫とに分けてみると…。
女王
寄生虫に乗っ取られたカタツムリを貪るマイマイカブリ
王
マイマイカブリの卵
兵隊蟻
寄生虫に侵されたマイマイカブリ
一般人
カタツムリ(寄生虫なし)
となりますね。
捕食される人は、
「実は女王に喰われる運命を背負っていた」
となります。
生態系は総じてそうです。
全てが運命づけられ、その通りに動いている。
という訳で、キメラアントとなったキャラは運命という名の寄生虫をその身に宿していたとするのが自然で、ゴンやキルアは寄生虫持ちではなかった、と見ることができます。
例によって、ソウルメイト間の問題となるのですが…。
キメラアントのエピソードは、それそのものがソウルメイトの形成の前段階の現れと観たほうが的確かと思われます。
つまり、霊的な絆が出来るまでの経緯、とでも。
アーリマンとは光を意味する存在であり、そこにあるのは光だけ。
闇はありません。
光が大量に集まらないと、闇が生まれないようになっています。
絆=光
光の繋がりが、やがて星と星を繋ぐ星座となり、神話が生まれます。
神話が生まれる前段階の一例として、キメラアントの存在が示唆されるのですね。
地獄みたいな15次元
10次元のグラビティ次元を抜けると、しばらくして15次元の壁にぶち当たります。
15次元とは、リーダーによる支配を現す世界。
宇宙次元の15段階はとうの昔に過ぎ去っていますが、実は地獄みたいな様相が繰り広げられていました。
ミツツボアリのような存在が、宇宙の頂点に立っていました。
その ”琥珀の蜜の王” は、多くのヒトを喰らいました。
正確には、頭からバリバリ行くのではなく、目的の人物に宿るのです。
そうして、対象の能力の全てを根こそぎ奪っていく、ということを何千何億と繰り返していました。
何故って、彼は強くなりたかったから。
強い個体を求めて、その者が持つ「わざ」をどんどん取り入れていったのです。
キメラアントの女王とまるで同じですね。
一日に250個の肉団子を喰わねばならぬ、と。
肉団子の正体は、人間の「能力」ですね。
その「王」は男性でした。
子を産ませる側です。
しかし、女王の性質をバッチリその身に備えていました。
そうして、月の女神に次々と子を産ませていきました。
生まれた子たちは、王の意志を継ぐ者とそうではない者とが混在していました。
ハンターの世界では、働き蟻達は前世の記憶を持つものとそうではない者が混在しているようですね。
(すみません、原作をちゃんと読んでいないので)
喰われる前の個々の霊魂の背負う運命の度合いが、強いか弱いかの違いと思われます。
要は寄生虫の強さですね。
そこは意志力が関係しますね。
前世の記憶を持っている人は、崇拝心・忠誠心が弱め。
自己を保ち続けている。
記憶を完全に失っている者は、忠誠心が非常に強い。
アントに潜む寄生虫の意識に強く乗っ取られています。
とはいえ、記憶が残っていたとしても寄生虫による支配からは逃れられない為、裏切るようなことはないでしょう。
意志というのは基本的に自由であるため、ある程度の団結には「支配力」がどうしても必要になります。
恩義とか愛着とか。
物理的な利での繋がりは、支配力が弱いですね。
弱みを握られればそこそこ力を発揮しますが、金の切れ目は縁の切れ目は真理。
金の縁が切れても続く縁を構築することの難しさ。
大抵のヒトは、これを拒否してきます。
キメラアントの生態は、他者との縁を無理矢理に作ることが最重要視されているようです。
つまり、キメラ化ですね。
遺伝子で無理矢理繋ぎます。
多くのヒトは血縁という絆には打ち勝てません。
強引にmRNAで繋ぎ合って、名も知らぬ誰かに種の保存という使命を架すのですね。
つまり食物連鎖の頂点に立つことが、15次元の真髄となります。
それがキメラアントにして、アーリマンの真の姿。
という、霊的現象が霊界により現世に神降ろしされたのが、HUNTER×HUNTERという漫画です。
ゴンやキルアは、こういった捕食者に対抗する強き者の現れとなります。
ハントは仕方ない。
生きるためにはどうしても狩らねばならない。
富樫氏は幽遊白書の雷禅を描いて考えたみたいですよ。
雷禅は恋をして、人間を喰うことを辞めてしまいました。
そうして数百年かけて餓死していったのですが。
喰われた人間はどうなった?とか考えて。
どう見ても、雷禅はヴィーガンについて本気出して考えていますね。
「あいつはあいつ、人間は人間」
と割り切れれば良いのですが、そうスッパリと気持ちの整理がつくものではないですよ。
雷禅の場合は、半分くらい自殺でしたよね。
彼女に二度と逢えない哀しみから。
遠い16次元
15次元を過ぎて16次元に到達すると、変幻のきっかけとなる象徴が現れます。
満月 空に満月
明日は愛しいあの子に会える
少し欠けて、十六夜の月の世に。
それが、ハンターの世界ではコムギというキャラの生き様に現れています。
コムギは軍儀打ちのプロ。
ボードゲームの天才です。
王であるメルエムは他者を喰うことで力を付けますが、コムギは自らの身一つで戦っています。
目も視えず、大変な臆病者で覚悟も足りません。
作中ではメルエルを驚かす程の覚悟の強さを見せていますが、実は16次元という視点から見ると、コムギの覚悟は中途半端です。
コムギは半端な形質の持ち主ですが、”琥珀の蜜の王”であるアントの総意である王・女王を武力を持ち出すことなく打ち破ります。
この姿勢が、16次元から先には求められているということ。
武力抗争なんぞ低俗である。
スポーツマンシップを以て、戦うならゲームで。
金髪の女の子。
20次元の入口の現れ。
ここで、女王の悲願の甲斐無く後継者であるメルエムは死んでしまいますが、またどこかでキメラアントの意志は生まれます。
その代が終わっただけで、意志そのものは失われてはいないため。
どこかの誰かが同じことを考えて、申し合わせたかのように似たような感じに「進化する」ので消えない。
生き物とはそういうものです。
ただ、頂点に立つものは必ず懐柔という手段を以て敗れます。
これは宇宙の真理です。
光が視えぬ光
アーリマンは光そのものですが、昆虫の蟻は光が見えません。
蟻は光の象徴の生き物と見ることも出来そうですが、地中に巣を作ります。
光が苦手ではないけれど、光から少し遠い生き方をしていますね。
そして、アリの生態系は実は人間の想像を遥かに凌駕する程に複雑で猛々しいです。
世界を跨ぎ、多種多様なアリが日々熾烈な争いを繰り広げています。
光そのものである15次元とは、つまり戦いの次元なのです。
闇と化すると沈静化します。
これは勝負がつくことを意味するため、光の一部は闇を嫌います。
負けたくないという気持ち一心で。
そして、闇と化した世界には次は熱が生まれます。
光と熱を伴ったものが、闇を侵食し再び戦いが始まるのです。
その頃には純粋な悪意は消え、義を持った戦いが始まります。
それまでは、正義も悪もありません。
ただ、生きる。
生存本能のみが、闘争心を突き動かします。
光次元に達して居ない人は、理由もなく闘争心を剥き出しにしてきます。
とにかく負けん気が強く、自分の未熟さを知らずに世界に牙を剥くことしか頭にありません。
その辺りの感覚を見極めるのは、実質不可能です。
気付いた頃には人生が終わっている。
もしくは死ぬまで、それ以降もずっと気付けぬまま。
経由が大事。
光も闇も無自覚も自覚も、全ての状態を体験し識ることが大事。
それこそが、絶対的な強者の為の条件です。
ここに書いたことはあくまでも考察ですので、本気になさらぬよう。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
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