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ショートショート

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#毎週ショートショートnote

ショートショート 顔自動販売機

ショートショート 顔自動販売機

「はい、勉強お疲れ様」
「…ん」

大学受験の頃。
部屋に缶詰で勉強をしていると、母はよく夜食を作ってくれた。

夜食といってもおしるこだ、俺の好物だった。

「あんまり無理しないでね」
俺は碌に返事もしなかった。
上がらない成績の事しか頭に無かったのだ。

ガタン

自動販売機から水を取り出す。
ベンチに座り、飲み会での話を思い出した。

タケルは公務員、ミカは銀行員。
皆、内定を受け取り価値の

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ショートショート 感想文部

ショートショート 感想文部

このラーメン屋は親父から継いだ。
親父の旨くはないラーメンも俺はそのまま継いだ。

不味いので客は定着せず、親父の客も来なくなった。

「潮時か…」
そう呟いた時だ。

ガラガラ

「さぁ、感想文部の活動開始です」
あの高校生が来た。

閉店後、スマホを確認した。
『魚介系スープは旨いが、まだ脂っこい 3.5点』
奴だ。前回より高評価…でも腹立つ。
奴は毎回グルメレポを残す。

レポは的確だ。

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ショートショート 株式会社のおと

ショートショート 株式会社のおと

『株式会社〇〇、食品偽装か』
新聞の目立つ位置に記事は載っていた。

株式会社〇〇、親父の会社だ。

「もしもし、親父の様子どう?」
「落ち込んでるわよ、お父さんも知らなかったからね」
いつも険しい顔で仕事の印象しかない親父。
そんな親父が落ち込むなんて。
「また顔見せに来てね、喜ぶと思うから」

昔の事だ。
俺は中学生になり夜更かしを覚えた。
深夜2時頃、親父が帰ってきてかなり驚いた。
それまで

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ショートショート タイムスリップコップ

ショートショート タイムスリップコップ

夏休み最終日に、自由工作の宿題を思い出した。
半泣きの俺は考え、近くの紙コップで貯金箱を作った。

かこん

机に置くと軽い音が響いた。

「先生それ手抜きですよ」
学級委員の武田だ。

「見せてよ」
「やめろよ!」
貯金箱は俺と武田の間を行き交い、床に落ちた。
そして、武田に踏まれた。
「あ、ごめ…」
俺は、泣いてしまった。

1ヶ月後。
工作の展覧会が終わり、貯金箱が返却された。
踏まれたせい

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ショートショート 初めての鬼

ショートショート 初めての鬼

毎年夏になると、従兄弟はウチヘ遊びに来る。
従兄弟はまだ小学生で、俺達兄妹はその遊び相手をしていた。
素直で可愛い従兄弟。

その従兄弟が、今年は違ったのだ。
「アニキ」「アネキ」
俺たちの事をそう呼び始めた。
おそらく友達の影響だろう。

「おに…アニキはさぁー」
「おね…アネキはどうなの」
全然呼び慣れていない従兄弟。
「前みたいにお兄ちゃん、お姉ちゃんって呼んでもいいぞ?」
「うるさい。…お

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ショートショート フシギドライバー

私が部屋で躓くと、息子がドライバーを患部に当てた。
「こら、それで遊ばない」
「でもロボのしゅうりにひつようなの」
おもちゃのロボの事だ。
「パパ人間だし治らないよ」
「これはね、フシギドライバーだからなんでもなおるよ!」
息子はドライバーを捻り続けていた。

ロボ映画のCMを見て昔を思い出した。
「休職を勧めます」
息子の事を医師に相談した所、そう返された。
久々に会った息子には、以前のような快

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ショートショート チャリンチャリン太郎

ショートショート チャリンチャリン太郎

フワフワの茶色い毛。クリクリの黄色い目。
「これからよろしく、太郎」
「にゃーん」
俺が8歳の時、新しい家族を迎えた。

「シャー!」
「ご、ごめん」
うっかり太郎を踏んづけた事があった。

チャリンチャリン

俺は、太郎の首に小さな鈴をつけた。
これで居場所が分かる。
太郎は不思議そうに駆け回っていた。

そんな太郎が去年の夏、亡くなった。
両親曰く寿命だったらしい。
17歳だった。

「うち、

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ショートショート ビール傘

ショートショート ビール傘

幻のサッポロビール遺跡の噂を耳にし、我々探索隊はやってきた。
なんでも秘宝が存在するらしい。

遺跡はビール工場の地下に存在した。
これまでの遺跡とは何処か違う…。
メンバー4人、エレベーターに押し入りB10のボタンを押した。

キツネの襲来。メロンでの砲撃。落し穴に味噌ラーメン。
罠を抜け、最深部に辿り着いた。
そこにはビールサーバーが置かれていた。

サーバーのトリガーを引く。
出てきたビール

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ショートショート ふりかえるとよみがえる

ショートショート ふりかえるとよみがえる

秩父旅行の最終日。
本日来たこのお店、聞いた所隠れた名店らしい。
ただ注意点が一つ。
絶対に食べ物を残してはいけない。

「もう、お客さんったら」
「いえいえ、凄く美味しかったです!」
本当に、文句無しに美味かった。
…帰りのバスの時間が近いな。
「お会計お願いします」
「お客さん、サービスです」
自席を振り返ると、デザートが置かれていた。
「え、いいんですか?」
嬉しい気遣いだ。
「ご馳走様です

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