(2) スリー爆撃の不発🏀 (スロベニア戦 W杯 強化試合) : DFにプレッシャーを与えるには?

男子バスケ日本代表(暁Japan, 2023, Thomas Hovasse HC)は
スリーを多用するスタイルとのことですが、

ドンチッチ率いるスロベニア戦(2023/8/19 Japan-Slovenia 68-103)
では、スリーが不調でした(成功率21・7%だったそうな)。

フリーでスリーを打ててる場面が多い印象でしたが
なかなか決まらず、OFが停滞。

ハードなDFしてますし、疲れで
スリーの精度が落ちてるのかもしれません。
( 個人的にはもうちょいミドルシュート
  狙っていいんじゃないかとも思います。)




以下、スリー爆撃と、良いOFとは何なのかについて、
ちょっと考えてみます。




シュートは水物と言われますし、
とくにスリーは、ゴールから遠い分、
フリーであっても成功率は下がりやすいのだと思います。
(富永選手といえども入らない時はある)

フリーでスリーが打ててるのに
入らないよ、という状況では
相手のDFにまったくプレッシャーがかかりません。

 (ゴール下を固めて、外から打たせとけばいい、
  リバウンドだけしっかり取ろうとなります。DFはすごく楽。)

相手にDFで余裕をもたれてしまうと(DFで楽をさせてしまうと)
精神的にも体力的にも余裕ができる分、
相手のOFの精度も上がってくると考えられます。

DFがうまくいってる時(点を取られない時)は、安心感が出ます。
安心感があると、OFでも、のびのびとシュートが打てますし、
OFがうまくいくとチームに勢いがでてきます。(スロベニア?)

DFがうまくいってない時(点を取られてる時)は、不安になります。
OFで点を取れないと、点差がついてしまうので、
シュート1本1本にプレッシャーがかかります(のびのび打てない)。(日本?)

こちらのシュートが入らなくても
相手のシュートも入らなければ、点差はつきません。

ですが、シュートの外し方が、
相手のDFを楽にさせるものであった場合、DFで楽をできた分、
相手のOFの精度が上がるので、

スリーを決め返されてしまう可能性が出てきます。
(日本のスリーが外れてスロベニアに決め返される)

なので、
スリーを多用するスタイルとは言え、
スリーを打つ前の段階で
相手のDFにもっとプレッシャーをかける必要がある
ように感じます。
(相手にDFをがんばらせて、OFの精度をあげさせないことが必要。)



「 精神的なプレッシャー 」を与えるには、
複数の選択肢をDFに突きつけて
「 相手の頭を疲れさせる」「相手の頭を混乱させる」ことが必要です。

ドンチッチのOFが怖いのは、
「どんなプレーを選択してくるのか、DFが読みにくい」からだと思います。

( 人が恐怖や不安を感じやすいのは「先がわからない」ものごとなので、
  複数の選択肢があり、どれを仕掛けてくるのかわからないよと、
  DFに思わせる状況を、OFではつくりあげたい。)
 
 ボールをもらったとき、そこが自分のシュートレンジでなければ、
 シュートという選択肢が一つなくなるわけなので、
 DFはちょっと楽になり、OFはちょっと苦しくなります。
 
 ボールをもらったとき、
 周りの選手が良いカッティングをすれば、
 パスの選択肢も増えますし、
 ドライブするスペースも開くので、DFは守りにくくなります。 

 ドライブについても、全速より、ハーフスピードの方が
 加速と、減速の、二つの選択肢がとれるので
 DFは意外と守りにくくなります。

逆に、「単調な、変化の乏しいOF」は「読みやすい」ので
   「精神的な怖さは少ない」と考えられます。

 ( もっとも、「単調な変化の乏しいOF」で点を取られ続ける場合は、
 「分かっているのに止められない」という意味で「絶望感」になります。)

 ( そして、「単調な変化の乏しいOF」で OF を失敗し続けることも、
  あるい意味で OF側の「絶望感」につながるような気がします。
  負けてる状況で、スリー爆撃が不発つづきのときなどがそうです。)


スリーの早打ちは、しすぎない方が良いと思うのですが、それは
 「もうちょっと相手にDFさせて
  ダメージを与えた方がいいんじゃないだろうか」と思うからです。

( 20秒以上DFさせられて、なおかつOFリバウンドも取られると 
  精神的にも体力的にも結構ダメージがでかいです。)

ゴールへ向かうドライブやカッティング、逆サイドからの飛び込みなどは、
「見逃すと得点に直結しやすい」ので
DFは足を動かして対応せざるを得ません(身体的なプレッシャー)。

ミドルのエリアにボールを入れると、
 ミドルシュート、左右のドライブ、ゴール下へのパス、
 シューター陣への左右のキックアウト、など、得点に直結しやすい
複数の選択肢をDFに突きつけることができます(精神的なプレッシャー)

ゴール下にボールを入れると、
フリーで打たれたらほぼ失点、間違いなしなので、
DFは強度を上げざるを得ません。(身体的にも、精神的にもプレッシャー大)

DFにプレッシャーをかけるという意味では
たとえシュートを打たずとも、
ボールを ゴール下 or ミドル へ一度は運ぶ(近づける)というのが
重要なのではないかと思います。

 (もちろん、ミドルにボールを入れても、ゴールに背を向けたままで、
  外へパスすることしか考えてなかったら意味がありませんし、
  周りの選手がカッティングしなければ
  パスの選択肢も増えません。

  ミドルシュートに自信がなくとも(打つ気がなくとも)、
  シュートフェイクひとつ入れるだけで
  DFへのプレッシャーは格段に変わってくると思いますし、
  選択肢が増えれば、フェイクの効果も増します。
 
 


というわけで、
「 良いOF 」というのは、
「 DFにプレッシャーをかけることのできるOF 」だと個人的には思います。

  もちろん、シュートを決めたOFが、結果論としては一番良いのですが、
  シュートは水物で入らないときもあります。

  シュートが入らなかったとしても
  相手の体力を削ったり、DFに頭を使わせて
  相手のOF時の余裕を奪うようなOFは、いいOFだと思います。

(攻撃の仕方をタイミング良く変えて、その対応策を
 いちいちDFに考えさせるのも、良いOFです。
 DFの連携ミスを誘発して得点できれば、
 相手はチーム同士で何やってんだよというリアクションを普通取るので
 すぐにOFにうつることができません)

(欲を言うと、スリーの場合は、
 背の高い選手がリバウンドポジションを同時に取りに行けるセットが
 望ましいです。ドイツでいうと、
  PFのタイス 10番(スクリーナー兼リバウンダー 203cm)と、
  SGのオプスト 42番(ムービングシューター)のスクリーンプレーとか。

ドイツvsカナダの3rd 8:37 ↓



攻撃がうまくいってる動画など

いったんミドル(川真田選手)に入れた後
富樫選手にハンドオフ→ドライブしたOF    2ndの4:07〜


ドンチッチ、ローポストまでドライブ → ボール保持 → アシスト 3rdの9:49〜

ギディー、ローポストまでドライブ→ ボール保持 → キックアウトパス 3rd 4:37


3rd 6:36  ホーキンソン選手 スリーラインの内側でボール保持
     → 富永選手 カットでDFを引きつける
     → 吉井選手 フリーでスリー


4th 8:54   河村選手     → ドリブル保持
      ホーキンソン選手 → ゴール下へカット DF引きつける
         馬場選手       → フリーでスリー


4th 5:24 河村選手 ドリブル 1on1、ミドルショット
4th 4:33 富永選手 ミドルフローター


ローポストまでいってからのキックアウトパス ギディー 3rdの6:10


個人的に良く無いと思う攻撃 ↓
中に切り込んでからキックアウトしたのに
パスもらった選手がまた中へドライブするプレー(DFが中にいて狭いのに)

オーストラリアの6番だろうか?
ここでスリーを打たずにドライブしたってことは
スリーにそれほど自信はないということだろうか。

ミルズからキックアウトをもらう、ジョシュ・グリーン選手(たぶん)。
スリー打てたと思うのだがドライブを選択。
そしてスティールされる。

オーストラリアはブラジル戦もそうだったけど
フランス戦でも、出だしが良くなくて点差をつけられてる。なんでだろ。
(サイブル選手も、グリーン選手も、身体能力は高いけど、
 判断能力はどうもイマイチな気がする。
 いいプレーもあるけど悪いプレーも結構目立つ。
 イングルス選手や、クックス選手など、判断能力の高いプレーヤーを
 出している時の方が、オーストラリアは安定感がある感じ。)









余談

日本代表もNBAの試合なども、
ピックアンドロールが多い印象を受けますが

逆サイドからのハイポスト等への飛び込み
なんかは少ない気がします ?
(コーナーからのゴール下へのカッティングはたびたび見かけますが)

ウイングからハイポストへボールを入れて
 そのままミドルシュートを狙う、or シュートフェイクをかける
 パサーがバックドアカットを狙う、
 ガードがハンドオフを狙う or 渡すふりしてドライブかシュートを狙う
 1on1 を仕掛けつつシューター陣にキックアウト

などしても、いいんじゃないかなと個人的には思います。
(攻撃の選択肢はたくさんあった方が
 DFを困らせることができますし。)

スリーラインより外側で
ドリブルしたりボール回しても
なかなか得点に直結しないので
(ドンチッチみたいなゴール下へのパスができれば別かもですが)
なんとかミドルやゴール下にボールを一度持って行きたいですし、
その一つとして、逆サイドからの飛び込みは有効なんじゃなかろうかと。


ホーキンソン選手も川真田選手も
パスが捌けるタイプの選手だと思うので、
ポストアップした彼らに、もっとボールを預けていいようにも思います。

フランス戦  2nd 5:20   中にボール入れてキックアウトスリー

攻撃の選択肢はたくさんもっておきたいです。

 ガードがピックで攻める場合や、
 ハイポストにボールを入れて、そこを起点に攻める場合、
 馬場、比江島両選手がドライブで攻める場合や、
 富永選手のシュータープレイ、
 それを囮につかうプレイ、など、いろいろ考えられそうです。

(渡邊選手もポストアップやドライブで攻撃の起点になれる思いますし、
 コーナースリーを狙うセットも当然、選択肢として有力に思います。
 捻挫を考えると、コーナースリーのセットが多いかもですが、
 渡邊選手がコーナーにいるサイドをドライブで攻める作戦も
 有効そうに思います。
(渡邊選手のマークを多分外せないのでDFはヘルプに出られないはず。))
(富永選手をコーナーに立たせても同じ作戦ができる)

スロベニア戦で、富永選手、河村選手、吉井選手?がボールと逆サイドで
スクリーンアクション、DFを引きつけ、ゴール下のヘルプがだれもいない状況
をつくって、馬場選手がノーマークでダンクできたシーンもありました。

スロベニア戦 3rd 8:40(ホーキンソン選手がガード位置で、河村選手が逆サイドのコーナーという珍しい?配置でしたが、DFは見事に混乱したと思います。)



とりあえず、 以上。スロベニア戦の感想でした?
(馬場選手の動きがとても良かった印象です。
 スピード抑え気味のドライブもあって冷静に周りが見えてる感じでした。

 ホーキンソン選手と一緒に出てた動画で、
 自分の武器は「スピード」と答えていたように思いますが、
 早いスピードのプレーだけではなく
 遅いスピードのプレーも混ぜるほうが(選択肢が多い方が)
 DFは守りにくくなるので、
 今回のように、ゆっくり目のスピードで
 いいプレーができていたのは非常に重要なことだと思いました。
 スロベニア戦 3rd 9:27 ポンプフェイク→ドリブル→合わせのパス )
スロベニアも冷静に?ファールで吉井選手を止めてる


(トップスピードで抜こうというときに、DFに体をぶつけられて
 体勢をくずしてパスもシュートも苦しくなるということが
 前回、前々回の試合などで、何度か見られたので、
 どれくらいのスピードだったら、体をぶつけられても
 耐えられるのかを把握しておくことも重要だと思います。)

(ゴール下まで行き切らずにプルアップジャンパーを打つ、
 富永選手がやってるようなステップバックを打つ、
 冨樫、河村選手のようなフローターを打つ、
 河村選手のレッグスルーストップ→ミドルジャンパーを打つなど
 馬場選手ももっとOFの選択肢を増やせば
 もっと、たくさん点が取れるようになるんじゃないかとも思います。)

(馬場選手のレイアップがブロックされがちなのは
 ボール保持からの1歩2歩のステップが単調でゆっくり目だから
 DFがブロックに跳びやすい(タイミングを合わせやすい)
 というのもあると思います。(その分、ダブルクラッチが有効)。
 アンゴラ戦で、
 馬場選手はユーロステップで上手くスピードを落として
 いいフィニッシュをしてたと思いますが、それと反対の、
 パパッとステップを早く踏んで早くボールを手放すタイプのシュートも
 できれば、選択肢も増えて、
 もっとDFを楽に揺さぶれるようになると思います。)

(馬場選手、オフボールのカッティングが良いのですが、
 カッティングでもらえなかった時、サイドに切れるふりして
 パッと逆をつきにいく、
 ゴール下の面取りにパッと切り替える、
 そのまま味方のスクリーンに移行する
 スクリーンと見せかけて再びカッティング
という変則的な動きも、相手のDFがこちらの動きに慣れてきた段階で、
たまに混ぜてみたら良い気がします。味方に、そうゆう変則カットを
混ぜていくことを伝えておく必要ありますが。)
例:ウイング→ゴールに向かってカット
  → そのままコーナーに切れると見せかけて、
    逆サイドのローポあたりまで来たら、パッと逆方向へフラッシュ。

2019年のドイツ戦で
馬場選手が相手にやられたプレーでもある
4th 9:52  
パス→カッティング→逆サイドに切れるふり→ゴール下で一瞬フリーに





富樫選手;たぶんカッティング? から 本命のスクリーンへ移行 2nd 4:39
ホーキンソン、川真田 両選手が上にあがって、
富樫選手が下にいくという面白い攻撃




河村選手はハイスピードを殺す技術(ピタッと止まる技術)が
ずばぬけて凄いと思うのですが、
馬場選手もこの技術を身につけられれば
NBAが近づくと思います。(それプラス、ミドルシュート)

河村選手があんなに綺麗に止まれるのは
足腰の強さもそうですが、
ボディーバランス、重心移動が巧みだからだという気がします。

4th 5:24 河村選手 ドリブル 1on1、ミドルショット


2nd 7:44 河村選手 ドライブストップ ターン → アシストパス

 





余談

途中までゆっくり目のスピードでDFを油断させ
スリーラインから一気に加速するギディーのドライブ  
ボールを手放すタイミングもちょっと早め。
1st 4:45 オーストラリアvsブラジル強化試合


スリーラインから急加速してくるギディーのドライブ  
2nd 4:46 オーストラリアvsブラジル











追記;

富永選手はインサイドプレーの経験が
たぶん無いのだと思いますが、

DF力をあげるためにも
インサイドプレーの練習
(体のぶつけ方、足の出し方、腕の使い方、ターンの仕方など)
をもっとしといた方がいいと思います。

3rdの7:47 すぐに体ごと相手にぶつけて
ポジションを取らせないようにする必要があるのですが、
とっさに体をうまくぶつけれてないは
インサイドプレーの経験が全然足りて無いからだと思います。
(こんな簡単に前を取られてしまってはDFで弱点となってしまう。
 がんばれ 富永選手!カリーは八村選手にもガンガン身体ぶつけてる!)


追記の追記:
富永選手はオフボールでも、
DFをの注意を引きつけられるという、
大きな強みをもっているわけなので、

今回のように、うまくリズムに乗れない時は、
意地になって打ちに行くより、
囮のカッティングで味方のプレーをアシストする回数を
ちょっと増やしてみるのもいいかもしれません。
味方がいい攻撃をすれば相手のDFの注意も
他に向くので、富永選手もマークを外して
スリーを打ちやすくなると思います。

スリー以外の攻撃でも得点できる選手なので
スリーだけ打たせるのはちょっともったいない感じ。
(富永選手に限らず、シューター陣のバックカットプレーがあまりないような印象、特にコーナーウイングあたりから上へあがるふりしてバックカット)


リバウンド シチュエーション:
ここはすぐに取りにいくんじゃなくて、
相手の背後の死角にそっと潜んでおいて、
相手がドリブルついた瞬間にスティール狙った方がいい。
(スローイン時の忍者スティールを、リバウンド時に狙う作戦。
 相手がそれに気づいて奪えずとも、ドンチッチのようなハンドラーを
 後ろから追っかけるのは効果的;
 後ろを気にさせて、前方の状況を確認する時間を奪える)


ルーズボール シチュエーション ドイツvsアメリカ
こんな感じでいったん間をとってから、スティール。リーブス 4th 0:15















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