2020 稲作まとめ 田植えまで。

昨年、山道を2回軽トラを脱輪させてしまった80代のおじさんが、今年からはもう田んぼを諦めることにしたとのことで、山の美の敷地内の一角に位置しているおじさんの田んぼを今年から借してもらえることになった。
広さはほぼ一反。

山の美では耕作放棄地を開墾して畑を徐々に増やしているものの、ユンボがない手耕作では限界があって、田んぼだった農地を畑ならまだしも、田んぼを復元するには、ユンボがないと無理なほど木が生えて、水路も崩れてしまっているため、田んぼは半ば諦め掛けていた。

念願の田んぼができて、しかも敷地内という絶好の場所。
家から歩いて1分。という理想の場所だ。

問題は水。
おじさんは農業用用水を使用していたそうで、その水はワンシーズンで一反2万円ほどかかってしまう。
無農薬米が農家さんから直に1Kg400円〜500円で売ってもらえる環境にいるため、2人で年間60Kgとして、3万円。その差額を考えると、田植機などがない状況では、経費を最小限に抑えないと、せっかくの労力がお金では換算できないとはいえ、なんだかなぁとなってしまう。

水を取れるため池から、耕作放棄された棚田が下に3段続き、4段目が借りた田んぼ。ポンプと約100mのホースを中古で購入した。
毎年使えるものなので、痛いけれど約2万円の出費。

もう一つ深刻なのが鳥獣被害だ。
農園の畑の作物は、この夏と秋野菜はほぼ全滅。
猪と小動物たちに食べられてしまい、がっかり。残念。

お米もズタズタに食べられてしまう話はよく聞くので、初めての電柵購入。
なんだか攻撃的な電気柵は使いたくないと思っていたものの、購入代金の半額は、自治体から助成金を出してもらえるとのことで、電柵代、約5万円。うち持ち出しは25,000円。

お米を作るだけで、初年度45,000円の出費。
来年からはお金がかからないで済むかな、、(壊れなければ)

5月7日。満月。田んぼにトラクターを入れる。

5月21日。苗代作り。稲がその土に慣れるように、田んぼの片隅に作ることにした。種籾をぬるま湯に浸水させる。
うるち米は絹娘。
古代米は、赤米、黒米、緑米。

5月23日。新月。種下ろし。バーク堆肥(有機肥料)を土に混ぜ、『ずいずいずっころばし』の要領で、指を第一関節くらいまで突き刺して、苗代に穴を開けたところに籾を3〜4粒入れていく。燻炭で薄く蓋をするようにして、草刈り後の乾いた草を薄く敷く。

6月9日。水入れ。

6月10日から3日間続いた雨で、棚田が崩落してしまう。
水を抜いていなかったのが最大の原因。
約1反の田んぼが、1畝分くらいなくなってしまう。
月が欠けたような形の田んぼが、さらに欠けてしまった感じ。
ひとまず水を抜き、田んぼを乾かす。
苗はすくすくと育っているのに、田植えができない状態になってしまった。

6月16日。友人助っ人1名登場。山の美アキちゃんの2人で崩落した田んぼの応急処置で畝づくり。すごい勢いで畝が出来上がった。
さらに崩れないように、ビニールシートで補強。
今年の米作りは諦めることも考えていたので、ほんと感謝。

6月17日〜19日。水入れ、代掻き。山の美2名での手作業。
田んぼの土が平らになるように、じゃぶじゃぶ。

6月21日。新月。この日は金環日食と夏至のトリプルDAY。
朝から友人が4人駆けつけてくれる。計6人での田植えのはじまりはじまり。
苗は約30cmまで伸び、とても元気。生き生きとしている。
株間40cm。ちょっと大きめ。
苗床の土をそのまま使用する泥団子方式。1本植え。

6月22日。友人1名が泊まり込みで田植えを手伝いに来てくれた。
しかも田植え経験者なのでサクサク進む。ありがたい。

6月24日。田植え完了!

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太陽暦と月の満ち引きは、植物にとってとても大事だ。
例えば新月に種まきをすると早生(わせ)のものは、満月に実ったりする。

今回、夏至の田植えを目標にしたのは、近隣の農家さんからすればとても遅い田植えで、だいたい農作物は早めに早めに育てていくのが普通のようで、田植えも4月下旬〜5月上旬にする人が多いようだ。
そこからすると、1ヶ月以上も遅い田植え。

ただ、同じ無農薬栽培の百姓仲間は、夏至付近を田植えの目標としている。

そもそも無農薬栽培自体が、戦前の約80年前までは普通にされていたことで、戦後になって収量をさらにあげたり、作業を効率化することで、暦を重んじなくなったようだ。

太陽暦は農暦なので、暦の通りに作業して自然に任せる。という何万年も続いていた農暦は、いわば古代の人の智慧だ。
無農薬栽培をするにあたっては、その智慧をお借りするのは、必須なのかも知れない。

泥団子方式はとても手間がかかるのだけど、前の年まで化学肥料や防虫剤を使って土が弱っているのではないかという心配もあったので、なるべく稲がその場の土に馴染み、元気に育つように、苗代に養分(有機堆肥と燻炭)を入れたため、その養分をそのまま活かせるようにした。
ちなみに持ち主のおじさんには、田んぼに毎年何を入れていたか聞いていない。

また、種籾は浸水する前に、冷凍庫に一晩入れておいた。
冷凍からいきなり暖かくすると芽が出やすくなる。
しかも冷凍から目覚めた種は、以前の種の記憶がリセットされて、その土地に順応しやすくなるという。

田んぼにはいろんな虫やカエル、蛇までもが暮らしていて、大賑わい。
畝を一歩一歩、歩くたびにカエルがぴょこんぴょこんと水に飛び込む。
蛙飛び込む水の音。

あとはお天気まかせ風まかせ。


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