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ウーバーよもやま話 #1惨めな瞬間
お疲れさまです。
ウーバーイーツ芸人山野金融です。
今回はウーバーイーツの配達をしていて惨めに思った瞬間のお話をしたいと思います。
まず惨めな話をする前に、ウーバーイーツの配達がどんな感じなのかを知っていただきたいです。
これは僕の勝手な妄想なのですが、ウーバーイーツのお仕事って
・ラク
・誰でも出来る
・社会的地位が低い
みたいなイメージがあると思います。
実際にYouTubeにウーバーイーツのショートコントを投稿したら、ウーバーイーツのバッグをランドセルと揶揄して"負け犬ランドセル"みたいなコメントが来たことがあります。
まあいいです。
そこはある程度仕方のないことかなとは思います。
ただ、負け犬ランドセルとコメントした方の住所や家族構成くらいまでは調べ上げようかなと思っています。
確かにウーバーイーツの仕事はラクです。
自分が働きたい時に原付を運転して商品をお届けする。
僕はそんなに苦痛に思いません。
ただ、新しくウーバーイーツの配達を始めた人に聞くと、「意外としんどいな」とか「単純作業きついわ」みたいな話も聞きます。
ようは人それぞれってことですかね。
そんな僕にとっては天職なウーバーイーツなのですが、お客さんは十人十色、いや僕は9500件配達しているので九千五百人九千五百色だなと感じます。
超高級タワマンに住んでいるお客さん。
ファミリーでマンションに住んでいるお客さん。
1人暮らし1Kなお客さん。
ゴミの山に君臨しているお客さん。
挙げたらキリがありません。
そんな中、僕が1番惨めに感じた時のお客さんを紹介したいと思います。
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あれは2021年、半袖では少し肌寒く感じる季節でした。
当時、僕は自転車で配達していました。
お届け先は某区タワマン。
タワマンの下に自転車を停め、バッグから商品を取り出し、マンションのエントランスに向かいました。
エントランスで××04とお客さんの部屋番号を入力し、呼び出しボタンを押します。
数秒後、「どうぞ」とマイク越しに聞こえ、自動ドアが開きました。
そのタワマンは過去に何度も配達で来たことがあるので、エレベーターの位置も完全に把握しています。
さすがタマワンです。
階数も高く、部屋数も多いのでエレベーターの数も多い。
僕は7台あるうちの1番右のエレベーターに乗り込み、お客さんの住む階に向かいました。
僕はこのタワマンのエレベーターに乗っている最中、いつも考えることがあります。
『タワマンに住む人ってどんな仕事をしているんだろう。』
確かエントランスで聞こえた「どうぞ」は若い人の声でした。
若いのにこんな良いところに住めるなんて羨ましいなぁ、などと考えていたらお客さんの住む階に到着しました。
えっと、どっち周りに進めば早く着くんだ?
これはタワマンでよく見られる構造なのですが、中央部が吹き抜けになっていて、その周りに部屋が配置されています。
何回も来ているけど流石に部屋の配置までは覚えていない。
僕はなんとなく時計回りに歩き始めました。
僕が届ける部屋は××04号室。
最初に見えた部屋は××18号室でした。
しまった。逆だ。
ここから順に××17、××16、××15と並んでいます。
絶対に反時計回りで向かったほうが早かった。
そう思ったものの、ここで歩く向きを変えてしまうと自分の過ちを認めてしまうことになる。
若干、お客さんが頼んだピザが冷えてしまいますが、背に腹はかえられません。
ということで、そのまま時計回りで××04号室を目指すことにしました。
派手なポスターが貼ってある××12号室や、この季節にしてはあまりにも早いクリスマスリースを飾ってる××07号室を通過し、『やはり反時計回りで歩けばよかったな』という後悔を飲み込んでようやく××04号室に辿り着きました。
ごめんね。ピザが少し冷えちゃって。
そう思いながらインターフォンを鳴らします。
しばらくすると、部屋の中からドタバタと音が聞こえドアが開きました。
え、ドア開いたのに人いない?
そう思ったのも束の間。
目線を下に降ろすと小学校にもまだ入学してないであろう女の子と目が合いました。
「ありがとう!」
そんな純粋な女の子の声にハッとして、ピザを手渡しました。
こんな小さいのにありがとうを言えるなんて偉いなぁ。
配達してよかった。
と満足して帰ろうとしたのですが、ふと大切なことを思い出しました。
「お会計が2700円です。」
申し訳ないがこれは商売だ。
危うく女の子の純粋さに代金を貰うことを忘れかけるところでしたが、なんとか声を絞り出しました。
すると女の子が千円札を3枚渡してきました。
「これでおねがいします!」
すごいな。この子は取引を知ってやがる。
自分が幼稚園生の頃は100万円ちょうだいとか馬鹿なこと言ってたぞ。
やはりタワマン住みは育ちがいいんだな。
そう思いながら、僕はお釣りの入ったポーチを取り出し
「ではお釣りが、」
と言い出した瞬間、女の子が
「おつりはちっぷでもらってください!」
なんて惨めなんだ。
今俺は小学生にもなっていない女の子からチップを貰ったのか?
いや嬉しいよ。300円は芸人にとって大金だ。
でもここで受け取ってしまったら男としての尊厳が。
「ありがとう!」
くっそ。
体は正直だ。
速攻でお釣りをポーチに閉まっていた。
でもまあ、このお金は女の子の両親が稼いだお金だ。
この女の子から貰ったわけではない。
と、世界一情けない言い訳を頭に浮かべながら、再び自転車の元へ戻りました。
そして"絶対BIGな男になってるやる!"という熱い決意と、"またここに配達すればチップ貰えるかなぁ"という情けない想いを胸に次の配達へ向かうのでした。
終わり!!
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