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私の好きな短歌

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私が好きな短歌を紹介します。主に大正、昭和の歌です。時々現代のものも。
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2022年2月の記事一覧

私の好きな短歌、その45

いさぎよき口調をつかひ物売と応接なしき銭なき妻が

 宮柊二、『日本挽歌』より。(『宮柊二歌集 p110』岩波文庫)

 かつては、魚売りや果物売り、花売りなど、色々な物売りの人が町にいたと思う。百科事典や英語教材でも訪問販売があり、我が家でも買って(買わせられて?)いた。一首の場面は、買う前提でか、押し売りを撃退しようとしているのかわからないが、いずれにしても時代の勢いがうかがえる。皆が貧しかっ

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私の好きな短歌、その46

秋の日は洩れきて砂に動きをりもう一度だけ会ひたきものを

 宮柊二、歌集『獨石馬』より。(『宮柊二歌集 p220』岩波文庫)
 「米川稔」と題された一連中の一首。1971年(昭和46)の歌。米川稔は宮柊二と共に北原白秋の門人で親交があった。宮が1912年(大正1)生まれ、米川が(おそらく)1897年(明治30)生まれなので、米川が宮より15歳若い。米川は鎌倉在住の産婦人科医だったが、1943年(昭

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私の好きな短歌、その47

一日に五首づつ詠むと決めてきて老人なればもう駄目だ

 宮柊二、歌集『忘瓦亭の歌』より。(『宮柊二歌集 p248』岩波文庫)

 岩波文庫の解説では、当時作者は糖尿病、リウマチ、眼底出血、脳血栓などで入退院を繰り返していたという。そういう苦しみのなかでの歌だが、余分な力が抜けた自在さがある。
 結句の五音が意表を突く。まさに力尽きているという感じがして老練。ユーモラスであるが、「一日に五首」という

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私の好きな短歌、その48

言のはもかはすばかりにふじのねをあるじとむかふ宿のたかどの

 成島峰雄(勝雄)『ふ士の日記』より。(岩波書店 『近世歌文集 上p511(新 日本古典文学大系67)』)

 『ふ士の日記』とは、解説によれば、書物奉行である作者が幕命で天明8年(1788年)11月9日から、駿河までの公務旅行をした折の歌文日記。このとき作者(1748-1815)41歳。
 現静岡県富士市今泉に来ての歌。歌の前に以下の

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