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島木赤彦の歌(「私の好きな短歌」より)

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記事一覧

私の好きな短歌、その11

隣室に書よむ子らの声きけば心に沁みて生きたかりけり  島木赤彦、歌集『柿陰集』より(『日…

山根沖
3年前

私の好きな短歌、その10

あしたより日かげさしいる枕べの福寿草の花皆開きけり  島木赤彦、歌集『柿陰集』より(『日…

山根沖
3年前

私の好きな短歌、その9

あからひく光は満てりわたつみの海をくぼめてわが船とほる  島木赤彦、歌集『太虚集』より(…

山根沖
3年前
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私の好きな短歌、その8

ひと平らに氷とぢたる湖に降り積める雪は山につづけり  島木赤彦、歌集『氷魚』より(『日本…

山根沖
3年前

私の好きな短歌、その7

遠近の烟に空や濁るらし五日を経つつなほ燃ゆるもの  島木赤彦、歌集『太虚集』より(『日本…

山根沖
3年前

私の好きな短歌、その6

枕べの障子一日曇りたり眼をあげてをりをり見るも  島木赤彦、歌集『氷魚』より(『日本の詩…

山根沖
3年前
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私の好きな短歌、その5

夕まぐれ音をひそめて帰り来し子どもは雨に濡(ぬ)れてをるかも 島木赤彦、歌集『切日』より(『日本の詩歌 第6巻』中央公論社 p20』)。  「赤罌粟の花」中の一首。罌粟が咲くのは初夏という。なぜ子どもが音をひそめて帰ってきたのかは分からないが、子どもは濡れている。情景は明白だが、すべてが明らかではないという魅力がある。子供は雨に濡れてしょんぼりしているのか、あるいは何かに夢中で雨に濡れることを気にしていないのか、はっきりしない。写真のように景色をそのまま切り取っていて、受