センセイの研修 その2

塾講師だった頃の思い出を細々とつづっています。

私の入社した会社で、研修を終えひとり立ちするには、本社での研修と現場での実習中に3回テストを受け合格する必要があった。

1回目は、指導役の社員の前で模擬授業を行い最低限のルールが守れていたら合格。2回目は実際に生徒の前で1コマ授業をし、最後までトラブルなく終えられたら合格。3回目は実習の最後に行われ、偉い人達が見守る中生徒の前で授業をし、もう1人で現場に出て大丈夫だねと判断されたら合格。晴れて「先生」となる。

1回目のテスト。問題のここからここまでを15分で解説します!と自己申告してから始める。きちんと狙い通りの時間管理で授業を進められるのかも評価対象だからだ。
指導役の教師とテストを見守る同期たちは、精一杯小学生役をやる。ちゃちゃを入れたり、ふざけたり、質問をしてきたり、手遊びをしたり…と邪魔をするのだ。

私は模擬授業の際に声が小さいとよく言われていた。このままでは、やんちゃな生徒がいたら声をかき消されてしまうよと。
ハスキーな声質なので、後ろの方まで響かないのである。
ただ、歌声はかなりでかい。なるほど、歌うように声を出してみたら後ろまで届く声が出せるのでは?と気づきせっかくなので、テストで実践してみることにした。

私が歌うように声を張り上げて、国語の文章題を読み、解説していると、いつもはふざける生徒役達が妙に静かだった。
それにつっこむ余裕もなかったので最後まで、腹式呼吸で、歌うように遠くに響く声を出し続けた。

結果は、合格。ただし、君のそのしゃべり方は怖いから、気をつけて。とのことだった。
だからみんな静かだったのか。ふざける生徒が減るのであれば別に怖がっていただいて結構とその時は思ったものだった。

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