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就活まっただ中のダンス部員より

山梨県立大学国際政策学部国際コミュニケーション学科4年の長坂愛です。文章を書くのが好きで、これまで新聞に署名記事を書かせていただいたり、大学の広報誌で記事を執筆したりしていました。大学の公式noteが開設され、広報担当の兼清先生に「何か書いてくれませんか」と言われました。高校生向けのメッセージを書いてみました。

高校生の私はとにかく勉強一筋だった。

高校に入学していきなり迎える新入生テスト。「難しい」と先生に脅され必死に勉強した。そうしたらクラスでトップになった。驚きしかなかった。でも「1」という文字に心が躍ったことは今でも覚えてる。それからというものの順位を落とすのが嫌で「教科書が友達だから」と言い張り、教科書は黄色いマーカーで埋め尽くされ、修学旅行や家族旅行にも教科書同伴。席は自分の希望で3年間、教卓の真ん前だった。

この時の私は周りから「変な人」だと思われていたと思う(それは今も変わらないかもしれないけれど)。でも「頑張っている」ことを馬鹿にする人は誰もいなかった。

大学生の私は勉強をしつつ、ダンスに打ち込んだ。高校3年のとき、大学のオープンキャンパスで見たダンスが忘れられなかった。「英語を学びたい」という志願理由の裏には「ダンス部に入りたい」という希望があった。

気合を入れて、さぁ体験入部だと真っピンクのジャージにピンクの靴、それに合わせた派手なTシャツ・・・「やばいヤツが入ってきた」と先輩たちの中で(もしかしたら同級生の中でも)噂になってたらしい。

そこから始まったダンス生活は辛くて辛くて、実際に何度も逃げ出した。学園祭前になると平日練+土日練+夜中練。12:00には帰る私は「シンデレラ」とか呼ばれてた。慣れない生活に身体的にも精神的にも疲れ果ててた。でも練習のたびに「愛は頑張ってるよ」「あと少し頑張ろう」と声をかけられた。その頑張りがものになる瞬間、舞台から見る風景、仲間の笑顔、家族を含めたお客さんからの感想、全部が今の私の記憶に鮮明に残ってる。

ことしは運動部の高校生も文化部の高校生も自分の実力を発揮できる機会を失ったかもしれない。最後の舞台、最後のレースを経験できないかもしれない。私も同じ。今まで頑張ってきたダンスの集大成・最後の学園祭の中止が先日発表された。発表されたとき「やっぱりか」とは思ったけれど、「これで終わりか。あっけないな」と思った。今まで頑張ってきたのにこんな形で終わりなのかと現状を恨んだ。最後に4年生みんなでステージを作りたかったと今でも強く思う。

ダンス部の中で私は不真面目な部員だったと思う。自分の用事優先で何度も部活を休んだし、練習にも身が入ってないことが多かった。でもダンスが好きで、舞台が出来上がった時の達成感が好きで、その後の「お疲れ様、頑張ったね」って言いあう時間が好きで、その気持ちだけで今まで頑張ってこれた。綺麗ごとを言うように聞こえるかもしれないけれど、頑張ってきた経験は裏切らない。今も私は就活でダンスがどれだけ辛くて苦しかったか、そしてそれをどうやって乗り越えたかをよく話している。

「頑張れること」は特別なことです。自分が本気でやりたいと思うことしか頑張ることはできないと思うから。高校生のみなさんも自分が夢中になって、なにがなんだか分かんなくなっても自分が「頑張れるもの」を探してください。その頑張りがもたらすものは自分にとって、とても大事なものになるはずだから。