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生涯学習への取り組み〜歩みとこれから

本学は2020年度、開学から15周年を迎えました。これを機に、本学の生涯学習への取り組みを振り返り、今後を展望します。教育基本法第3条には、生涯学習の理念が以下のように掲げられています。

国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。

この生涯学習の機会と場所を県民の皆様に提供するため、本学では、地域研究交流センターという組織に、生涯学習部門を設けています。生涯学習部門では、開学から2019年度までにあわせて193の事業を実施してきました。その特徴として「教養講座」「人材養成講座」「地域との連携」の三つが挙げられます。

教養講座

「教養講座」は生涯学習部門の柱です。そのひとつが「観光講座」です。2007年度から続いています。2019年度は延べ313名の方が参加され、輿水達司特任教授のご尽力のもと、人気講座に育ちました。また、三つの学部(国際政策学部、人間福祉学部、看護学部)が共同で開催する「総合講座」も2006年度から続いています。専門分野が全く異なる三学部の教員が集まるユニークな講座で、本学の教養講座の顔になっています(2020年度は中止)。講義の開放も行われました(2015年度から2017年度)。ただし参加者が少なく、周知や参加の仕組みに課題を残しました。その反省を踏まえて、参加者の関心に合わせた講座を学部ごとに企画する「学部共催講座」を実施しています。

人材養成講座

人材の養成を冠とする講座として、8種類、あわせて23の事業が実施されました。特に子育て支援に関しては、開学以来、多彩な講座が開催されています。現在も、国が認定する「子育て支援員」の研修会を実施しています。また、成年後見制度に関心がある方を対象にした「やまなし市民後見人養成基礎講座」は、2020年度で6期目を迎えました。2006年度から2009年度には「地域プロデューサー養成講座」も開講されていました。
2020年度は初めての試みとして「日本ワイン歴史マイスター講座」が開催されました。オンライン参加も可能だったため、遠くは海外からもご参加いただきました。

地域との連携

地域との連携の主なものは、自治体からの受託事業です。山梨県や甲府市をはじめ、県内の市町村から委託を受けて実施しています。子育て支援や男女共同参画、市民後見人養成、外国人のための日本語・日本文化講座など、本学の教員の専門性を生かした連携が進められています。他大学との連携事業も進められてきました。2005年度から2016年度までは、県内の大学が合同で『県民コミュニティカレッジ』が実施されました。本学は、文部科学省の「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」と「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」(幹事大学を山梨大学として県内11の大学で実施)に採択され、地域の多様なパートナーと連携してきました。その資産を今後も生かしていきたいと考えています。

今後に向けて

人生100年時代とも言われる今、社会人の再教育が大学の課題になっています。山梨県立大学もその取り組みを強化していきます。
教養講座は、参加していただきやすくすると同時に、社会人の再教育にどうつなげていくかが課題です。人材の養成事業も、本学の教員の専門性を生かして、さらに充実させていく必要があります。地域のパートナーからは、課題解決に貢献できる人材の育成という要望も高まるでしょう。
本学は、文部科学省の「大学による地方創生人材教育プログラム構築事業」に採択され、2021年度から事業を本格的に実施します。

本学の生涯学習を、社会人の再教育の場として再構築する新たなチャレンジです。その成果にご注目ください。

文:兼清慎一(山梨県立大学地域研究交流センター  生涯学習部門長)