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この場限りの話とせず、これからにつなげていく。

開学15周年の「地域研究交流フォーラム(オンライン)」を本日開催しました。学内外から80名近い方にご参加いただきました。心より御礼申し上げます。山梨県立大学地域研究交流センターは、地域との教育・研究の連携窓口として、開学と同時に発足しました。第一部では、箕浦一哉センター長が、15年間の歩みを振り返りつつ、大学から見た将来の課題を展望しました。

認知症看護の現場から見た大学の役割

第二部では、JCHO山梨病院にお勤めで認知症看護認定看護師の藤原智恵さんのお話で、認知症看護の現場が大きく変わっていることを知りました。こうした状況を踏まえ、藤原さんご自身が「認定看護師の資格取得を目指し、本学の看護実践開発研究センターの教育課程で学ばれたこと」を教えていただき、地域の人材育成という大学の使命を再認識することができました。また、「エビデンスに基づく認知症看護ツールづくりで大学と連携したい」というお話からは、研究機関としての大学に対する期待も感じました。

気軽に相談できる交流の場づくりを

第三部では、これからの大学と地域の連携について、コメンテーターの方からご意見をいただきました。「やまなしの人と暮らしを伝える」をコンセプトとするメディア『BEEK』の編集長、土屋誠さんは「目の前にある地域課題に対して学生が動くのではなく、学生が主体的に地域の課題を見つける仕組みがあれば」と話してくださいました。また「地域のプロジェクトが終わると関係がぷっつり切れてしまう。アフターケアがもっと必要ではないか」という問題点を指摘してくださいました。一方で「地域研究交流センターという地域と交流できる場があること、大学の知識や情報の集積を生かせる場があることは大事であり、気軽に相談できるような場が開けていることがもっと一般的になればよい」とエールを送ってくださいました。

行政職員のための県立大学という視点

もうひとりのコメンテーター、南アルプス市の保坂久さん(総合政策部理事・南アルプスIC新産業拠点整備室室長)は、10年以上前から本学の地域研究交流センターに関わってくださっています。保坂さんは「まちの将来は、そこに住んでいる人たちが思いをまとめ、行政の施策に反映させるべきだ。そういう人の思いをくむことができ、聞くことができるスキルや手法が、行政職員には必要ではないか。その役割を担う行政職員のために県立大学がある。地域研究交流センターの機能として、そのような研修機会があればよい」と話し、大学と行政との連携に新たな視点を提供してくださいました。そのうえで「課題は、県内の自治体に、地域研究交流センターのような窓口があることが知られていないことだ」と指摘してくださいました。

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このほか大学のある地区の自治会のみなさまをはじめ、多くの関係者の方から、たくさんのコメントをいただきました。なかには「大学の研究に協力しても、結局自分たち(教員)のための研究で、本当に地域が良くなるための研究とは思えない」というご意見もいただきました。

みなさまからの声を、この場限りのものとせず、これからどのように生かしていけるのか。本日のフォーラムの意義は、これからの地域研究交流センターの取り組みにかかっていると考えています。

文:兼清慎一(地域研究交流センター運営委員)