自作詩「鯨とネオンライトに浸ちゃって」
銀座の海。海の上。私は、泳ぐ。
京橋から銀座一丁目まで泣きながら歩いた。
街の人々は程よく私を無視し、
程よく驚いた顔を向けた。
銀座の街はきらびやかなオフィスカジュアルの布をひるがえし、
スカスカの街をすりぬけていく。
ここにいるのに、ここにいない。
スカスカのスルスルの。
飲みかけのビールの缶を、ベコベコへこます。
涙が落ちそうになったら、一気にアルコールを喉に注ぐ。
涙が溢れるよ。ビールが零れるよ。
溢れて、溜まって、海になる。
しょっぱくて、苦くて、気持ち良いなあ。
ふわふわ、足は地上から離れ、
銀座の海を私は泳ぐ。
鯨の背中にまたがって、私は遠くまで行く。
大きくて、漠然としていて、どこにでもいて、私の中にある。
大きな鯨。
高くて、切なくならせてきて、どこまでも響く、鳴き声。
大きな鯨。
ぷかぷか、宙ぶらりんになって
銀座の海を私は泳ぐ。
鯨の背中にまたがって、私は遠くまで行く。
あぁ、あの人にまたがったときも、鯨みたいな広くて、肌の生暖かさがあった。
私は、遠くまで行く。
二年以上前に書いたポエムなので許してください(?)
紅嬬涙枯
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?