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より丸く、より躍動感を

山梨県立美術館で開催されていた「フランソワ・ポンポン展」に行ってきました(2022年4月29日。作品は特別に許可を得て撮影しました)。

 〈François Pompon(1855-1933)の簡単な歴史〉

会場に展示されていた情報をもとに、ポンポンの生涯をご紹介します。

ポンポンは1855年5月9日、フランス中部、旧ブルゴーニュ地方(現在ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地方)の町ソーリューに生まれました。父親は木工家具職人でした。10代の頃から父や墓石を彫る大理石職人のもとで見習いとして働いていました。1875年(当時20歳)、パリに出たポンポンは、昼間はモンパルナスの墓石店で大理石職人として働き、夜間はプティット・エコール(国立装飾美術学校)に通っていました。1889年のパリ万博などに自作の人物彫刻を出品しましたが、決定的な評価が得られない状況が長く続いたといいます。

動物彫刻家としての道を見出したのは、1906年、当時51歳でした。

図3
《ポンポンと鳩二コラ》 群馬県立館林美術館蔵

1922年(当時67歳)11月、サロン・ドートンヌに《シロクマ》や《カバ》など多数出品しました。《シロクマ》は大きな評判を呼び、会場ではポンポンの祝賀会が行われたといいます。 

会場には、フランソワ・ポンポンが実際に作った作品の等身大のシロクマが展示されていました。とても大きくて本物のシロクマのようで本当に可愛かったです。

丸い彫刻

この頃、彫刻を丸く作る作家はいなかったそうです。丸く作ることで、彫刻ではないなどと皮肉まじりの批判を受けたそうです。しかし、ポンポンは丸いモノを作り続けました。丸い動物彫刻を作り始めたきっかけは、ポンポン自身は、ある朝の光のもと、10メートルほど離れたところからガチョウの美しい輪郭線を発見したことをひとつの啓示として語っています。そのシルエットを導き出すために、粘土像や石像を時間をかけて削って磨く作業がポンポンの基本的な制作スタイルです。

図6
「ほろほろ鳥」  1910-1912年 ブロンズ   群馬県立館林美術館


図7
「牝豚」   1918年 ブロンズ群馬県立館林美術館

躍動感

ポンポンは動物を動いているかのように見せるために動物をよく観察し、足を交互にしたり、わざと顔を下げたりして作品を作っています。

図8
群馬県立館林美術館  「ラクダ」    
図9
 「立って頭を下げているインドの牝豚」  1906-1930年 ブロンズ         1927-1928年 ブロンズ群馬県立館林美術館

私はこの日に初めて「フランソワ・ポンポン」という方を知りました。

ポンポンの作品は、動くはずがないのに躍動感があり、動物が本当に生きている、動いていると思える作品ばかりでした。全ての作品がとても可愛らしかったです。     

図5

ところで、「フランソワ・ポンポン展」の楽しみは、作品だけではありません。

図10

この飲み物は、山梨県立美術館のレストラン「Art Archives」で提供されている「シロクマクリームソーダ」です。ソーダの海に浮かぶシロクマに見立てたアイスが可愛らしいクリームソーダは本当に美味しかったです!

残念ながら「フランソワ・ポンポン展」は、2022年6月12日で終了してしまいましたが、私は時間を忘れるほど作品の世界に没頭しました。とても充実した時間でした。 

山梨県立美術館の皆様、本当にありがとうございました。

文・写真:藤田ひまり(山梨県立大学国際コミュニケーション学科1年)

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