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絵画のその先へ

こんにちは!2022年12月7日、山梨県立美術館で開催されている『米倉壽人展 透明ナ歳月 詩情(ポエジイ)のシュルレアリスム画家』の取材に訪れました(本展示会は一部の作品の撮影が可能です)。

今回は私が興味を惹かれた写真を提示して訪れた感想を中心にお話していこうと思います。まずは下記の写真をご覧ください。

米倉壽仁 《核ー天空の祝祭》1958年 山梨県立美術館蔵

この絵画、みなさんはどんな感想を持ちましたか?この作品たちに込められている思いは何だと思いますか?

まず、一枚目の写真は《核-天空の祝祭-》という題名がつけられています。この絵は題名のとおり「核」の断絶を訴えている絵でしょう。米倉自身、次のような文章を寄せています。

「絶対というものはない。核も分裂し、極も合致する。純粋という名の概念さえいつかは変貌する。美術の肉体の野合も、また、めでたきかな」

私はこの絵をパッと見たとき、呑み込まれそうな感性を抱きました。

米倉壽仁 《黒い太陽》1954年 山梨県立美術館蔵

こちらの絵は《黒い太陽》という題名がつけられています。この絵は「第五福竜丸事件」をモチーフに書かれています。

この絵では私は一つ一つ描かれている物すべてに着目しました。右端の上を向き嘆いているような人らしきもの、奥の建物、その建物の中でピアノらしきものの前に座る人の影、上に噴き上げている白い煙、太陽か月らしきあおい丸い物体全てのものに奥深い思いをしみじみと感じています。

「第五福竜丸事件」…静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」がビキニ環礁付近で核実験による死の灰を浴び、乗組員23人が原子病(放射線障害)になった事件のことである。

NHKアーカイブス『第五福竜丸 ビキニで被ばく』http://www2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009030006_00000

米倉壽仁展では、他の有名な画家の絵も飾られていました。写真を撮ることが禁じられているので文章だけで紹介しようと思います。

私が一番印象に残っている作品は、堀田操の《断章》という作品です。この作品は、全体的に青色を基調に描かれており、ひび割れた地面に机が置かれ、その上にはワインやグラス、骨、スプーンなどは乗っている絵が描かれていました。奥には崩れかかった壁や蜘蛛状の建物が描かれており、独創的で不思議ではあるが、しっかりと意味合いが感じ取れる素敵な作品でその作品はどの作品よりも長時間居座ってみていた記憶があります。

その他にも、古沢岩美や下郷羊雄など数多くの著名な作品が飾られていました。たくさん語りたい部分はありますが、それよりも実際に美術館に足を運び、目で見て感じてほしいので、多くは語らないことにしましょう。

今回は私の中でのお気に入りの絵画を3つほど紹介しましたが、それ以外にも多くの興味深い絵画がたくさん飾られているのでぜひ、山梨県立美術館へ足を運んでみてください。素敵な感性が爆発しています!!

『米倉壽人展 透明ナ歳月 詩情(ポエジイ)のシュルレアリスム画家』は山梨県立美術館で2022年11月19日から2023年1月22日まで開催されています。

取材させていただいた山梨県立美術館の関係者のみなさま、ありがとうございました。

文・写真:錦戸真奈(山梨県立大学国際政策学部国際コミュニケーション学科1年)

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