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「自由に、感じる」

2023年7月6日『開館45周年記念 ミレーと4人の現代作家たち』の取材と同時にリリースされた『SPACY』の試用で県立美術館を訪れました。

この特別展は、「これまでとは別の形でミレーと出会ってほしい」という想いのもとに企画されたそうです。

最初に聞いたときは、別の形とはどのようなものだろう?という疑問が浮かびましたが、とても楽しく鑑賞できる展示になっていたので、私が印象に残ったポイントを中心にいくつかご紹介したいと思います。

この特別展は、4章構成となっていました。

まず1章は、ファッションデザイナーである山縣良和さん。

ファッションデザイナーということもあってか、服の制作過程を切り取っているようで見ていて楽しかったです。

ただ、人形の存在感が強く、少し怖さもありました。私も友人も何度か本物と見間違えてしまいました。しかし不思議なのは、その人形たちは藁のようなものであまり人間っぽさがないのです。まわりの道具も相まって人間っぽさが増していたのでしょうか。ぜひ、現地へ行って見てみてください。

また、ここは、唯一BGMがかかっていて、少し不気味な雰囲気がより引き立つようになっている気がしました。

そして、その中にミレーの作品が何点か飾られていました。私が特に感じたのは山縣さんの空間にミレーの作品が入っていても違和感があまりないということです。むしろなじんでいたので驚きました。それと同時に、「別の形で出会う」というのはこのようなことなのかなと感じました。

2章目は、淺井裕介さんの空間で、土地がテーマになっていました。

山梨の土を使って作品を作る淺井さんと、土の上での様子を描写しているイメージの強いミレー。別のタイプの土が共存しているように感じ、個人的に一番ミレーとの繋がりがわかりやすかったです。

ジャン=フランソワ・ミレー《種をまく人》1851 山梨県立美術館蔵
淺井裕介《移動と輸送》2023 山梨県立美術館蔵

ここで楽しかったのは、淺井さんの「命の寝床」という作品です。実際に作品の中の決められた場所を歩くことができました。

淺井裕介『命の寝床』2023年 山梨県立美術館蔵

作品に靴で乗ってしまう形になるので、なんだか悪いことをしている気分になりました。

3章目は、丸山純子さんの展示スペース。

丸山さんは身の回りのものを素材として用いる作家さんとのこと。家でよく見るビニール袋がお花になっているのが可愛らしくて好きでした。

その中でも私のお気に入りは、隠れているこの花です。一輪だけ咲いているところに、強さや繊細さを感じました。

4章目は、志村信裕さんの展示スペースで、人間の生活がテーマになっていました。

ここが一番考えさせられた章でした。失われつつある人間と動植物の結びつき。絵と映像のテーマがリンクするというのが素敵だなと思いました。

特別展をよい意味で気楽に、また自由に作品について考えながら楽しむことができました。

また、同時にアプリ「SPACY」も使用させていただきました。ランダムに3つのスポットが紹介されるそうです。ランダムと聞くと少し運命的なものを感じてワクワクしました。紹介されるスポットは、家と学校の往復だけの私にはなかなか知ることのできない、カフェやレストラン、お店が多く、甲府だけでもこんなに知らない店があるのだなと驚きました。ぜひ使ってみてください。

開館45周年記念『ミレーと4人の現代作家たち -種にはじまる世界のかたち-』は2023年8月27日(日)まで開かれています。

文・写真:福田遥菜(山梨県立大学国際政策学部2年)

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