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人口2000人の地域、相模原市緑区にてミニコミ誌を発行しました

はじめに

こんにちは。藤野やまなみプロジェクトです。
私たちは法政大学多摩キャンパスのボランティアサークル「たまぼら」内の学生プロジェクトで、神奈川県相模原市緑区牧野を中心に地域活性化を目的とした活動をしています。同地区の人口はおよそ2000人。自然と芸術文化の豊かなところです。


ミニコミ誌を作ることになったわけ

地域で活動をしていると、地域の方々から新たな活動やイベントの参加のお誘いが来ることがあります。「ウチの裏に使っていない空き地があるんだけど、そこで畑をやってみないか」とか。そういう話です。この活動を始めることになった理由は少し複雑なのですが、元々の理由はそこにあります。

2019年までこのプロジェクトの活動は、現地にある自然公園や小川の整備がメインでした。目的はもちろん地域振興です。この活動は5年以上継続しているものなのですが、2018年ごろから「ただ整備を手伝い続けるだけではいけないんじゃないか」という意識がメンバー間に芽生え、新たな活動の模索が行われていました。

そうした状況の中で、私たちは現地に引っ越してきた記者の方と知り合います。牧野地区は芸術文化の盛んな地域でもあり、多くの芸術家の方が在住していて、アート体験施設や野外展示作品も存在していました。その方は、牧野の持つ芸術文化や芸術家の方々に興味を持っていて、牧野で開催するアートイベントで企画をしてみないか、と私たちを誘ってくださったんです。(これが2019年の11月ごろの話です)

アートイベントで学生主体の企画ができれば今まで繋がりのなかった芸術家の方々と交流ができます。プロジェクトの新たな活動にもうってつけです。私たちはその提案を快諾し、2020年度に行われるアートイベントで学生主体の企画をさせていただけることになりました。そして、アートイベントの周知とプロジェクトのPRを兼ねて、5月~10月にかけて、藤野やまなみプロジェクトのチラシを作って配るという提案が出ました。

アートイベントと現地での環境整備に、チラシの配布。充実していたはずの2020年度の活動は、新型コロナウイルスによって消え去りました。アートイベントはもちろん中止。現地での環境整備も難しいということになりました。残った活動はチラシの配布のみ。唯一できそうなこの活動も、周知の対象であるイベントが中止になったことで、また一から練り直しです。

そうして出来たのが、今私たちが行っているミニコミ誌の制作活動です。最初は収束までの時間稼ぎとして始まったこの活動ですが、取材を通じた現地の方との交流は、今までになかった新たな繋がりを作るのには向いていました。アートイベントへの参加という新たな活動の可能性は潰えてしまいましたが、結果的に別の新しい活動を得たわけです。


実際に配布したミニコミ誌の紹介

新型コロナウイルスで他の学生プロジェクトが麻痺している中、ほとんど手探りで始まったこの活動ですが、これがやっぱり大変でした。

ネット上に転がっているどこかの小学校の学級通信を参考にしながら、どうにかそれっぽいものを作ることはできましたが、まず発注の方法もわかりませんし、それを現地にどうやって送るのかもわかりません。仮に送ったところで、その後どう配ればいいのかもわかりませんでした。

様々な方からアドバイスをいただき自分でも色々と悩んだ結果、ラクスルというネット印刷ができるサービスを使って発注し、家に来たミニコミ誌をそのまま段ボールに詰め、現地へ郵送することにしました。

また、先輩を通じて地域の方にミニコミ誌を作ることをお伝えしたところ、郵送したものを自治会や温泉、小学校で配布してくれることになりました。

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これが実際に配布した5月号です。発行部数は600部で、うち500部を現地の方に送りました。ミニコミ誌は、取材やプロジェクトの紹介を月替わりで掲載する「テーマ記事」と、メンバーが交代しながら自由に書く「ひとりごと」に、法政大学の雑学を紹介する「法政クイズ」ほか2つのコーナーで構成されています。

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そしてこれが6月号です。5月号と6月号では、私たちの活動について触れています。ミニコミ誌の存在が地域に馴染んでいない段階から住民の方に取材をするわけにもいかないと思い、とりあえず自己紹介もかねて試しに作ってみた、という感じですね。発行までの流れがまだ理解できていなかったので、取材をした場合、遅れたり失敗したときに申し訳ないという理由もありました。

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7月号からは、現地の方に取材を行って書いてみました。取材の内容は、私たちが現地の方と一緒に行っている小川でのホタル再生活動についてです。地元の方がよく知っている情報は何か、そして季節に沿った(夏っぽい)テーマは何かを考えた結果、ホタルに行きついたという流れです。

コロナ禍なので現地に乗り込んで取材するわけにもいかないと思い、取材などのやりとりは全てメールで行いました。現地の方がメールを使うことができたため、このあたりは結構スムーズに事を運べたのが良かったです。完成後の記事確認などもメールを使って行いました。

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8月に配布したものでも、ホタルについて触れました。昨年度は5・6月で活動紹介、7・8月で住民の方に自然に関する取材をし、9・10月は芸術家の方に取材する、というスケジュールを組んで進めていたため、連続で同じテーマを扱っているというわけです。

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9月号からは芸術の秋特集を掲載しました。9月は本来10周年記念イベントを行うはずだったふじのアートヴィレッジへの取材を行い、10月は現地で行われたアートイベントを取材しました。

現地取材は一切行わない予定でしたが、この頃は少し状況が落ち着いてきていた(秋の新歓イベントが学校で行われたりもしていました)ということもあって、マスクや消毒用アルコールの携帯など、適切な対策を行ったうえで単身取材に行きました。

取材に行った際に記者の方と会い、ミニコミ誌のアドバイスを直接いただきました。タイトルやフォント、新しいコーナーのアイデアなど、様々な点で指摘を受け、レイアウトと編集に使うアプリを変更しました。また、これを機にメンバーとも何度か話し合いを行いました。この頃から、全て平仮名表記の子供向けコーナーを新たに追加しています。

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これが指摘を受け改善したものになります。メンバーとの話し合いの内容も反映しているので、全ての指摘を記事に反映させられたわけではありませんが、これから発行を続けていく中でより良いものにしていければと考えています。


ミニコミ誌の今後の課題

一年間配布をして気づいた点は、配布による影響や結果が目に見えないことと、それらが短期間で得られるものではないということの二つです。

こういった情報誌全般に言えることですが、読者とのコミュニケーションの取りづらさは大きな課題だと感じます。情報誌を発行しても、それを読んでいる人から直接意見をもらうのはかなり難しいです。一応メールアドレスは載せているのですが、一年間で来たメールは0通でした。恐らく、打ち込む面倒さと連絡する理由の無さがこれに繋がったのだと思います。

配布場所に行って枚数がどれだけ減っているかを確認することでしか読者との繋がりを感じられない、というのは今後配布を続けていくうえで大きな問題になるでしょう。身内や友人、地域の方から感想をもらうことはありますが、やはり直接手に取っていった人の声を聞きたいところです。

読者からコーナーを募集してみる、クイズへの回答を送ると景品がもらえるようにする、メールアドレスをQRコードにしてみる、など色々思いつきますが、どれが効果的なのかは正直わかりません。今後一つずつ試していきたいと思っています。


二つ目に挙げた、結果が短期間で得られるものではないという点。これも配布を続けていくうえでは意識しなくてはならない部分です。情報誌を配布する目的としては、情報誌をきっかけとした住民の方同士の交流や私たち自身が住民の方と取材を通じたコミュニケーションを行う、など様々なものが存在しています。そして、そのどれもが短期間では確認しづらいものです。

小さなコミュニティであれば変化があったかどうかがすぐにわかりますが、配布を行っているのは数千人が暮らす一つの地域。そのうえ、私たちはそこで暮らしているわけでもありません。

何が変化したか、それがミニコミ誌によるものなのかを判断するのは難しいです。前述したように、読者からの意見や感想も受け取れていない状況なので、配布による影響や結果はかなり読み取りづらくなってしまっています。

そのため、イベントやキャンペーンの開催といった結果がわかりやすいものを配布に紐づける必要があります。これらは参加者や応募数、売上などの数字が出ますから、どのくらい効果があったかが目に見えてわかるというわけです。コロナ禍でどうやってイベントやキャンペーンを開催するのか、どういった形でミニコミ誌とそれを結びつけるかについては検討が必要です。

(代表・木村優吾)

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