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関心の高まる多様な資金調達手段「コミットメントライン」(中小企業白書2021年度版より)

本日は、「第2部 危機を乗り越える力」「第1章中小企業の財務基盤と感染症の影響を踏まえた経営戦略」の続きです。
今回は、関心の高まる多様な資金調達手段「コミットメントライン」について紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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4.関心の高まる多様な資金調達手段
感染症流行後、大規模な資金繰り支援策が講じられたが、今後の景況感が見通しづらい中、手形貸付けや証書貸付けといった、中小企業にとって一般的な手法以外の資金調達手段にも関心が集まった。本節では、感染症流行下で注目が集まった資金調達手段の概要と、中小企業が活用する上での利点や課題について、紹介していく。

①コミットメントライン
まず、「コミットメントライン」について見ていく。コミットメントライン(銀行融資枠)とは、銀行と企業があらかじめ設定した期間及び融資枠の範囲内で、企業の請求に基づき、銀行が融資を実行することを約束(コミット)する契約のことである。
当座貸越とは異なり、融資の実行を金融機関側が拒絶することができないのが特徴である。非常時以外に資金の引き出しを行わないことを前提とする「スタンドバイライン」と、いつでも資金引き出しが可能である「リボルビングライン」の2種類がある。
また、契約方法にも、貸手(個別の金融機関)と借り手(企業)が相対で契約を締結する「バイラテラル方式(相対型)」と、アレンジャー(幹事金融機関)を中心に、複数の金融機関と一つの契約書に基づき、同一条件でコミットメントライン契約を締結する「シンジケート方式(協調型)」の2種類がある。
第 2-1-58 図は、「コミットメントライン」の契約先数・利用先数の推移について見たものである。

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2012 年頃から増加傾向にあり、2020 年に入ると契約先数が更に増加した。こうした動きは特に大企業で顕著に見られた(注1)(注2)。
(注1) (株)東京商工リサーチの調査によれば、上場企業のうち、公表資料から銀行借入の実施を確認できた企業は 164 社だったのに対し、コミットメントラインの契約の実施を確認できた企業は148 社だったという(集計期間:2020 年2月~2021 年2月8日)。
(注2) 経済産業省(2006)によれば、従来中小企業で活用が進んでいない背景として、コミットメントフィーは資本金3億円以下の企業等では利息制限法上みなし利息とされ得るため、リスクの高い融資枠の設定であっても高いコミットメントフィーは設定できず、財務基盤が弱いとされてきた中小企業での普及にはハードルがあったためとされている。

コミットメントラインを活用する利点としては、①「安定的な経常運転資金枠の確保」や②「マーケット環境の一時的な変化など、不測の事態への対応手段の確保」などが挙げられる。感染症流行下で需要が増加したのは②であると推察される。
①「安定的な経常運転資金枠の確保」としては、突発的に大口の仕入れ資金需要が発生したりする業態で、活用検討の余地がある。あるいは、複数の金融機関との取引を継続する中で借入れ過多となった財務基盤を改善するために活用するという手法もある(第 2-1-59 図)。

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②「マーケット環境の一時的な変化など、不測の事態への対応手段の確保」としては、自然災害などの事業継続リスクに備える場合に活用の余地がある。例えば、地震発生時にあらかじめ定めた融資限度額や金利条件で貸出しを行う、震災リスク対応型のコミットメントラインなどがある(注)。
(注)中小企業庁(2019b)
一方で、留意点としては、金利とは別に手数料(コミットメントフィー)を支払う必要がある点や、契約締結に際しては所定の審査があり、財務状態が一定水準以上である必要がある点が挙げられる。
感染症を契機に手元現預金の確保への意識が高まっているが、有事に備えてあらかじめ資金を確保するだけでなく、有事の際に資金を確保できる環境を整えることも一つの戦略といえる。
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新聞報道等で「コミットメントライン」という言葉を目にすることがあります。大企業で主に活用されています。

「銀行と企業があらかじめ設定した期間及び融資枠の範囲内で、企業の請求に基づき、銀行が融資を実行することを約束(コミット)する契約のことである。当座貸越とは異なり、融資の実行を金融機関側が拒絶することができないのが特徴である。非常時以外に資金の引き出しを行わないことを前提とする「スタンドバイライン」と、いつでも資金引き出しが可能である「リボルビングライン」の2種類がある」

この定義も初めて知りました・・・。
確かにコミットメントラインがあれば、念のために手元に資金を置いておく、ということをしなくても、必要な時に資金を引き出せるので安心できますね。貸借対照表上の負債を減らすことにもつながります。

ただし、金利とは別に手数料を支払う必要があるので、この低金利下でメリットがあるのかは調べてみないとわかりません。
また、この手数料は中小企業には「みなし利息」となるそうですので、利用が進んでいないそうです。
引き続き情報収集をすすめてみます。

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