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自立した生活の実現と暮らしの安心確保・戦没者の遺骨収集事業、慰霊巡拝等の推進(令和3年版 厚生労働白書より)

本日は、「第2部 現下の政策課題への対応」の「第4章 自立した生活の実現と暮らしの安心確保」、「第5節 戦没者の遺骨収集、戦傷病者・戦没者遺族等への援護など」、「2 戦没者の遺骨収集事業、慰霊巡拝等の推進」を紹介します。
以下、「令和3年版 厚生労働白書」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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第4章 自立した生活の実現と暮らしの安心確保
第5節 戦没者の遺骨収集、戦傷病者・戦没者遺族等への援護など
2 戦没者の遺骨収集事業、慰霊巡拝等の推進
(1)遺骨収集事業

先の大戦では、約310万人の方が亡くなり、そのうち、海外(沖縄及び硫黄島を含む。)における戦没者は約240万人に及んだが、これまでに収容された遺骨は約128万柱であり、現時点においても約112万柱*5が未収容となっている。
*5 このうち、相手国の事情により収容自体が困難となっている地域に眠る遺骨(約23万柱)及び海没した遺骨(約30万柱)を除いてもなお、約59万柱が未収容のままとなっている。

厚生労働省では、1952(昭和27)年度以降、相手国政府の理解が得られた地域などから順次遺骨収容を行い、これまでに約34万柱を収容している。2020(令和2)年度は、105柱の遺骨を収容した。
しかしながら、遺族や戦友が高齢化し、当時の状況を知る方々が少なくなり、遺骨に関する情報が減少してきている。こうした中、2016(平成28)年3月に「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律」(平成28年法律第12号。以下「遺骨収集推進法」という。)が成立し、遺骨収集が国の責務と位置づけられたほか、2024(令和6)年度までの期間を遺骨収集の推進に関する施策の集中実施期間とすることや、関係行政機関の間で連携協力を図ること、厚生労働大臣が指定する法人が、戦没者の遺骨に関する情報収集や遺骨収集を行うこと等が定められた。また、集中実施期間における施策を総合的かつ計画的に行うため、同法に基づき、「戦没者の遺骨収集の推進に関する基本的な計画」(平成28年5月31日閣議決定。以下「基本計画」という。)を策定した。2016年11月からは、同法に基づき指定された一般社団法人日本戦没者遺骨収集推進協会とともに、官民一体となって戦没者の遺骨収集を実施している。
2019(令和元)年12月には、2020年度から集中実施期間の後半5年間を迎えるにあたり、政府一体となって遺骨収集事業の取組みをより一層推進するため、「戦没者の遺骨収集の推進に関する関係省庁連絡会議」を開催し、「戦没者遺骨収集推進戦略」を決定した。
2020年度は、同戦略に基づき策定した実施計画に基づき事業を実施することとしていたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により関係国への入国が制限されたため、海外での遺骨収集の実施を見合わせた。今後、事業の実施が可能な状況になれば速やかに再開することとしている。

①戦没者遺骨収集事業及び事業実施体制の抜本的な見直しについて
これまでに収容した遺骨の一部が日本人の遺骨ではない可能性があることを2005(平成17年)以降に「戦没者遺骨のDNA鑑定人会議」において指摘されながら適切な対応が行われてこなかったとの報道が2019年7月等にあり、同年9月にロシアの9埋葬地の597柱の遺骨について指摘を受けていたことを公表した。
このことに関し、2020年5月に「戦没者の遺骨収集に関する有識者会議」から厚生労働省に対し、今後の遺骨収集事業のあり方及び再発防止策に関する提言(「「日本人でない遺骨が収容された可能性が指摘された埋葬地」事案についての有識者会議の意見」(2020年5月14日公表))がなされた。
当該提言等を踏まえ、同月に厚生労働省から有識者会議に対して、ガバナンスの強化、遺骨収容・鑑定のあり方の見直し、遺骨の鑑定体制の整備等を内容とする今後の遺骨収集事業のあり方及び実施体制の整備についての方針(「戦没者遺骨収集事業及び事業実施体制の抜本的な見直しについて」(2020年5月21日公表))を報告した。
当該方針に基づき、今後の遺骨・収容のあり方について、日本人の遺骨である蓋然性が高い場合に、DNA鑑定に用いる検体(遺骨の一部)を持ち帰り所属集団の判定を行い、他の部位は未焼骨のまま現地で保管することとするなど、遺骨の収容のプロセスを抜本的に見直した。
また、遺骨の科学的な鑑定や、鑑定に関する研究等を行う戦没者遺骨鑑定センターを2020年7月16日に立ち上げ、体制の強化に取り組んでいる。

②硫黄島及び沖縄における遺骨収集事業の実施
硫黄島では、戦没者約2万1,900のうち未だ約1万1,400柱の遺骨が未収容であることから、政府一体となって遺骨収容に取り組んでおり、2013(平成25)年12月に「硫黄島に係る遺骨収集帰還推進に関する関係省庁会議」で決定された「硫黄島の滑走路地区等の遺骨収集帰還に関する基本的方針」に基づき、2020年度は、滑走路地区東側半面において面的なボーリングによる地下壕探査等を実施した。また、滑走路以外の地域においても遺骨や壕等の存在が推測される地点の調査を継続して実施し、46柱の遺骨を収容した。
沖縄県においても、沖縄県や民間団体等と協力して遺骨収集を実施しており、2020年度は57柱の遺骨を収容した。

③旧ソ連・モンゴル地域における遺骨収集事業の実施
約57万5,000人が強制抑留され、劣悪な環境のもと、長期にわたり過酷な強制労働に従事させられ、約5万5,000人(うちモンゴル約2,000人)が死亡した旧ソ連・モンゴル地域については「戦後強制抑留者に係る問題に関する特別措置法」(平成22年法律第45号)に基づき閣議決定された「強制抑留の実態調査等に関する基本的な方針」を踏まえ、関係省庁と連携し、民間団体等の協力も得つつ、遺骨収集を進め て お り、2021( 令 和3) 年3月 末 ま で に
20,251柱の遺骨を収容した。2015(平成27)年4月には、ロシア連邦政府等から提供された抑留者に関する資料の全てについて、資料の概要と主な記載事項などを公表した。

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さらに、同月以降、提供資料のうち、死亡者に関する資料については、2021年3月末までに40,586名(うちモンゴル1,435名)の死亡者を特定し、カナ氏名、死亡年月日などを公表し、日本側資料と照合の結果、身元が特定した者の漢字氏名を厚生労働省ホームページに掲載している。
なお、今後、調査・収容を実施する予定の埋葬地は旧ソ連地域の57か所となっている。

④南方等戦闘地域における遺骨収集事業の実施
近年、残存する遺骨の情報が減少しているため、2006(平成18)年度から、情報が少ないビスマーク・ソロモン諸島、パプアニューギニアなどの海外南方地域を中心に、現地の事情に精通した民間団体に協力を求め、幅広く情報を収集しているほか、2009(平成21)年度から、米国や豪州などの公文書館などに保管されている当時の戦闘記録等資料の調査を行うなど、遺骨収集に必要な情報を収集している。
また、遺骨収集推進法及び基本計画に基づき、海外資料調査が実施され、2017(平成29)年度までに概了しており、埋葬地点を推定できる有効情報は計1,816件となっている。

⑤戦没者遺骨鑑定センターにおける取組
2020年度は、戦没者遺骨鑑定センターにおいて、戦没者遺骨の鑑定方法の見直しや新たな鑑定技術の活用等について議論を行うために、法医学、人類学等の専門的知識を有する者で構成された「戦没者遺骨鑑定センター運営会議」を開催し、当面の検討課題やDNA鑑定の進め方、遺骨の所属集団の判定方法等について議論を行った。また、同会議の下で、日本人の遺骨であるかを判断するための「所属集団判定会議」及び遺族に返還するためにDNA鑑定の結果等を勘案して身元を特定する「身元特定DNA鑑定会議」を定期的に開催し、その結果を公表するとともに、有識者会議への報告等の対応を行っている。

⑥遺留品等の手掛かり情報がない戦没者遺骨の身元特定のためのDNA鑑定の実施
収容した戦没者の遺骨については、遺留品等から身元が判明した場合には遺族に返還している。2003(平成15)年度より、遺留品や埋葬記録等から遺族を推定できる場合などであって遺族が希望する場合は身元特定のためのDNA鑑定を実施し、2021年3月末までに、1,200件の身元が判明した。
また、遺留品や埋葬地記録等の情報がある場合は限られていることから、2017年度より、沖縄県の一部地域において、広報を通じて戦没者の遺族と思われる方からの身元特定のためのDNA鑑定の申請を募り、遺留品や埋葬記録等の手掛かり情報がない場合であっても、身元特定のためのDNA鑑定を試行的に実施してきた。
2020年4月からは、硫黄島及びキリバス共和国ギルバート諸島タラワ環礁の手掛かり情報がない戦没者の遺骨についても、公募により身元特定のためのDNA鑑定を実施し、2020年8月及び9月にキリバス共和国の戦没者遺骨2柱について、同年12月に硫黄島の戦没者遺骨2柱について、それぞれ遺族との間で身元が特定された。
この結果を踏まえ、手掛かり情報がない遺骨について身元特定のためのDNA鑑定を地域を限定せずに、公募により実施することとし、2021年10月を目途に受付を開始することとしている。

(2)慰霊巡拝等
戦没者の遺族の要望に応え、主要戦域や戦没者が眠る海域での慰霊巡拝や、戦没者の遺児と主要戦域などの人々が相互理解のため交流する慰霊友好親善事業を実施している。
2020(令和2)年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により関係国への入国が制限されたため、海外での慰霊巡拝や慰霊友好親善事業の実施を見合わせた。
また、戦没者の慰霊と平和への思いを込めて、1970(昭和45)年度以降、主要戦域に戦没者慰霊碑を建立(硫黄島と海外14か所)したほか、旧ソ連地域には個別に小規模慰霊碑を建立(15か所)している。
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第二次大戦では、約310万人もの方が亡くなりました。
このうち、海外での戦没者が約240万人。
遺骨が収集できた方が約128万人。
神戸市の2022年1月の推計人口が約151万人ですから、その2倍以上の方が亡くなった計算になります。
戦争は起こしてはならない、と改めて強く思います。
そのために何をすべきか。我々に何ができるのか。
ウクライナ情勢が緊迫しています。誰がどうやってロシアを止めるのか。
正しい情報を正しく理解し、政治家を選択するしかなさそうです。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan