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製造部門と間接部門が密に連携し、現場に即した改善活動とデジタル化を 段階的に推進する企業(中小企業白書2021年度版より)

本日は、「第2部 危機を乗り越える力」「第2章 事業継続力と競争力を高めるデジタル化」の続きです。
「第4節 中小企業におけるデジタル化に向けた組織改革」より、今回は「製造部門と間接部門が密に連携し、現場に即した改善活動とデジタル化を
段階的に推進する企業」の事例について紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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製造部門と間接部門が密に連携し、現場に即した改善活動とデジタル化を
段階的に推進する企業

所在地:愛知県大府市
従業員数:168名
資本金:4,500万円
事業内容:輸送用機械器具製造業
株式会社半谷製作所

生産管理システムでの成功体験を踏まえ、間接部門のデジタル化に着手
株式会社半谷製作所は、自動車ボディー部品をはじめとした金属プレス加工製造を得意とする1次サプライヤーである。

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同社が生産管理のシステム化に着手したのは2005年。当時、同社の半谷眞一郎社長が取り組んでいたのは、生産状況の見える化であった。Excelによるデータの収集・分析からスタートし、ITコーディネータにデータの収集や新たに導入するシステムの相談を重ねたところ、今では時間当たりの出来高や生産ラインごとの1人当たりの生産性なども見える化できるまで進んだ。

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そこで、半谷社長は生産管理システムでの成功体験を踏まえて、業務効率化が課題となっていた間接部門のデジタル化に2020年より新たに乗り出した。

現場に即したITツールの活用により、デジタル化の気運が現場に定着
半谷社長が、間接部門のデジタル化において特に重視したのが、システムの使い勝手と単純作業の合理化。半谷社長は「現場が望んでいないものを導入しても定着しない」として、新システム導入前に、経営企画部が中心となり、現場の問題点や改善事項を徹底的にヒアリング。最終的に現場がどんなアウトプットを望んでいるかを意識しつつ、傾聴した。

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同時に現場業務をフローチャート化し、どの作業に時間が掛かり、どこに無駄があるのかを洗い出し、できるだけ現場に即したシステムを導入した。例えば、これまで給与明細は紙に出力し、封入・のり付けしていたが、廃止して電子化した。2020年1月から従業員のパソコンや携帯端末への給与明細の配信を始めたところ、一か月当たり半日分の作業時間の短縮につながった。年末調整も手書きにより計算ミスが多かったが、同年12月よりクラウド化。人為的なミスが大幅に減ったという。
また、固定資産管理はExcelによる手入力であったが、制度改正に合わせて減価償却の計算方法を変えなくてはいけないため、専用のシステムを導入したところ、決算手続などの手間が大幅に削減された。最初はデジタル化への不安を抱えていた従業員も、現場の負担が減ることが分かると「これもデジタル化により合理化できないか」と、改善提案をする従業員も数多く現れた。

デジタル化への取組の気運が芽生え、部門を超えた改善活動が社内に定着
勤怠管理は現状、タイムカードによって管理しており、集計した社員の勤務状況は、総務部門しか見ることができない。これをデジタル化し、部門ごとに見える化することで、工場長や班長が部下の勤務状況を確認して業務管理に役立てる計画を立てている。2020年6月からは月1回、RPAの導入に際して社内で勉強会を開き、毎月の従業員ごとの交通費と旅費交通の給与反映、部署ごとの勤務時間集計などの自動化が進む。業務プロセスをフローチャート化し、単純、無駄、重複作業を見える化することで、改善意欲が高まっている。デジタル化の重要性を感じ勉強した結果、プログラミングができるようになった従業員もいるという。「トップがどれだけデジタル化を理解しているかで現場への浸透が決まる。私自身、情報収集を重ね、理解して先導していく。」と、半谷社長は語る。
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「現場が望んでいないものを導入しても定着しない」というのは全く同感です。
伍魚福の間接部門でも、同じような流れで勤怠管理や給与明細配信、旅費交通費精算などがシステム化されつつあります。
中小企業の経営者は自らがCIO(最高情報責任者)。デジタル化についての情報収集を行い、現場の後押しをしていかねばなりません。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan