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社会的危機と社会保障・海外の取組み③(令和3年版 厚生労働白書より)

本日は、「第1部 新型コロナウイルス感染症と社会保障」の「第2章 社会的危機と社会保障」、「第2節 海外の取組み」より「1 経済への影響」を紹介します。
以下、「令和3年版 厚生労働白書」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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第2節 海外の取組み
3 生活支援に関する諸外国の施策
(多くの国で、低所得世帯や子育て世帯を対象とした生活支援や、住居の喪失を防ぐための施策が実施された)

新型コロナ感染拡大の中で、生活支援のために実施された施策を見てみると、主要国の多くで、低所得世帯や子育て世帯を対象として、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により困窮に陥ることを防ぐための支援が実施された(図表2-2-1-6)。

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また、多くの国において、失業や収入の減少等に伴い住居を喪失することがないよう、住宅支援策も実施されている。日本は休業等により収入が減少し、離職・廃業と同程度の状況にある者等に対し、住居確保給付金の支給が行われたほか、アメリカやイギリスでは、住宅ローンの支払い猶予や、家賃滞納を理由とした家主による立ち退き要請禁止、ドイツやフランスでは、一定要件を満たす低所得者に対する家賃の支給・補助などが行われた。
(国民一般への支援が行われたアメリカと日本。日本では、口座情報の把握が課題となった)
アメリカと日本では、国民一般への支援として、大規模な給付が実施された。アメリカでは、3回にわたって給付が行われたが*13、所得が増えるにつれて徐々に減額される措置が講じられている*14。これに対し、日本では、支給の迅速性を優先して、所得制限なしに1人当たり10万円の特別定額給付金が支給された。
*13 支給額は、1回目:成人1人当たり最大1,200 ドル(約13.2 万円)、非成人500ドル(約5.5 万円)、2回目:1人当たり最大600ドル(約6.6万円)、3回目:1人当たり最大1,400ドル(約15.4万円)。1ドル=110円で計算。
*14 世帯構成によって減額基準が異なり、例えば、単身の場合、1回目の給付では年収7万5千ドル(約825万円)を超えると減額され、年収9万9千ドル(約1,089万円)で支給額がゼロになる。

両国の支給において、大きく異なるのは給付の方法である。アメリカでは、一定の収入がある場合、給与所得者を含む全ての納税者が原則確定申告を行うこととされていることから、これらの給付は、確定申告情報に基づき、税の徴収機関である内国歳入庁により実施された。この場合、受給権者による申請は不要で、受給権者の税の還付金口座に自動的に振込がなされるか、還付金口座の登録がない場合には、小切手の送付が行われた*15。
*15 なお、確定申告を実施していない者は、口座情報等を内国歳入庁へ登録する必要がある。

一方、日本では、市区町村が、申請書等を住民基本台帳に記録された受給権者に送付し、これに対し、すべての受給権者が書類の返送かマイナンバーカードによる申請を求められた。日本の場合、災害や感染症などの緊急時の給付金等の支給に利用できる口座情報を管理している機関が存在しないことから、特別定額給付金の受給権者の口座情報を登録してもらう必要があったためである。
こうした状況も踏まえ、2021(令和3)年の通常国会に、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施を図ることを目的として、公的給付の授受に利用することができる預貯金口座をあらかじめ登録し、個人番号を利用して管理することを可能とする法案*16がデジタル改革関連法案の一部として提出され、成立している。
*16 公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律(令和3年法律第38号)
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各国での生活支援策の比較です。
2021年12月2日現在のレートは次のとおりです。
 1ドル=113円
 1ユーロ=127円
<給付・貸付(特別定額給付金的なもの)>
アメリカ:
●国民一般への支援
対象 全国民(所得制限あり)
支給額: 1回目(2020年3月経済対策)
1人当たり最大1,200ドル(135,600円)(成人)、500ドル(56,500円)(非成人)
2回目(2020年12月経済対策)1人当たり最大600ドル(67,800円)
イギリス:
●低所得世帯への支援
低所得者向けの福祉給付の基礎額及び就労税額控除の基礎的要素について、 週最大20ユーロ(2,540円)増額
ドイツ:
●低所得世帯への支援
失業給付の支給要件緩和
対象:収入が減って生計を維持できなくなった者であって、保有する流動性資産が一定額以下の小規模事業者・単独の自営業者・フリーランサー・労働者
内容:資産要件の一時的停止
●子育て世帯への支援 ・児童手当対象の子ども1人当たり300ユーロ(38,100円)の児童ボーナスを支給
・ひとり親世帯への所得控除額を3,100ユーロ(393,700円)引上げ
フランス:
●低所得世帯への支援
・生活保護に相当する積極的連帯収入や特別連帯手当の受給世帯に150ユーロ(19,050円)支給、扶養する子ども1人につき100ユーロ(12,700円)追加支給
●子育て世帯への支援
新学年手当(6〜18歳までの子どものいる世帯に支給、所得制限あり)を1人当たり100ユーロ(12,700円)追加支給
日本:
●国民一般への支援【特別定額給付金】
対象:全国民・所得制限なし 支給額: 1人10万円 
●低所得世帯への支援【緊急小口資金・総合支援資金】
対象:収入の減少や失業等により生活に困窮している世帯
貸付額:緊急小口資金(最大20万円)、総合支援資金(最大20万円×3か月)●子育て世帯への支援【臨時特別給付金】
・子育て世帯: 1人5万円 児童手当受給者に給付
・低所得ひとり親世帯:1世帯5万円〜、追加給付1世帯5万円(児童扶養手当受給者等に給付)

こちらも給付の仕方に違いがありますので、単純に比較するのは難しいですが、各国の事情に合わせて支援がなされています。
このほか、住宅の確保についての支援策も実施されています。

給付金を配布するにも莫大な経費がかかります。
支援の必要な方に素早く届くシステムができないでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan