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行政による取引条件改善の取組(中小企業白書2021年度版より)

本日は、「第1部 令和2年度(2020 年度)の中小企業の動向」の続きです。
今回は、中小企業庁などが行う取引条件改善の取組について紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します。
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【コラム 1-1-5 「未来志向型の取引慣行に向けて」に基づく取組の更なる浸透に向けて】
中小企業庁などでは、取引条件改善の対策パッケージ「未来志向型の取引慣行に向けて」に基づき、2020 年度も様々な取組を実施してきた。本コラムでは、2020 年度における取組を中心に紹介する。
●下請 G メンによる下請中小企業ヒアリング(2017 年~)
2017 年より、中小企業庁及び地方経済産業局に下請 G メンを配置し、現在 120 名体制で、全国各地で年間 4,000 件超の下請中小企業へのヒアリングを実施している。
下請 G メンが直接、企業を訪問してヒアリングすることにより、書面調査ではうかがうことができない取引上の課題などの把握につながっており、例えば、取引適正化の取組の浸透状況や感染症の流行に起因するしわ寄せなど、下請事業者の取引実態を幅広く聴取している。感染症流行の状況を踏まえて一部電話でのヒアリングも開始し、2021 年1月末までに累計 20,997 件(訪問調査 13,878 件、電話調査 7,119 件)の下請中小企業ヒアリングを実施した。
●自主行動計画のフォローアップ調査(2020 年9月~)
「未来志向型の取引慣行に向けて」では、各業界団体に対して、サプライチェーン全体での取引適正化と付加価値向上に向けた「自主行動計画」の策定と着実な実行などを要請しており、2021 年3月末時点で、16 業種 49 団体において「自主行動計画」が策定・公表されている。この自主行動計画の内容については、各業界団体において毎年フォローアップ調査を行うこととしており、2020 年度は9月から 11 月にかけて、経済産業省所管の 12 業種 44 団体が、自主行動計画の実施状況についてフォローアップ調査を実施した(調査対象:各業界団体に所属する 6,649 社、回答:2,519 社、回答率:38%)。
調査結果からは、「未来志向型の取引慣行に向けて」重点三課題のうち「価格決定方法の適正化」「コスト負担の適正化」については改善傾向である一方、「支払条件の改善」については悪化していることが明らかとなった。
以上の調査結果も踏まえ、より効果的な取組を検討することを目的に、2021 年3月、取引問題小委員会(中小企業庁の審議会)にて、策定業界団体から報告を受けるとともに、課題の更なる改善や発注側と受注側の認識のズレの解消などについて、議論を行った。さらに、議論の結果を踏まえ、業界ごとの課題に対し、取引適正化に向けた更なる対策の検討等を各団体に要請した。このような取組を通じて、取引適正化のPDCA サイクルを回し、成果が出るまで粘り強く取り組んでいくことが重要である。
●型取引の適正化推進協議会(2019 年8月~)
型管理の適正化を阻害する商慣行や課題を把握するため、2018 年 12 月以降、事業者における型管理の実態調査を行ったところ、受注側事業者が無償で不要型の長期保管を余儀なくされるなどの実態が明らかになったことから、2019 年8月から産学官からなる「型取引の適正化推進協議会」を開催し、型取引全般に係る課題の検討を行った。2019 年 12 月には、型取引の適正化に向けた基本的な考え方及び取引の原則、事業者が遵守すべきルールを報告書として取りまとめて公表し、各業界における適正化に向けた取組実施を呼びかけた。
2020 年8月の同協議会では、各業界から適正化に向けた取組状況の報告を受けるなど、報告書のルール遵守状況のフォローアップを行った。また、2020 年 10 月以降、型管理を行う事業者3万社に対して書面調査を実施したところ、型の引渡し時における代金の一括払い、不要型の廃棄については一定の進展がみられたものの、型の保管料の支払については、なお取組の途上にあることが確認された。
こうした実態を 2020 年 12 月に開催した同協議会において公表し、引き続き適正化に向けた取組の継続を各業界団体に呼びかけた。さらに、適正化の取組が前進した具体例を示すため、型管理の取組が難航している中小企業を中心にモデル実証調査を行った。
●知的財産取引検討会(2020 年7月~)
知的財産に係る取引についても大企業と中小企業間における不適正な取引慣行が存在していることを踏まえ、2020 年7月から有識者を交えた検討会(知的財産取引検討会)を開催し、問題事例の確認や整理、今後の対策について議論を行った。検討会は計8回開催し、知的財産取引に係る問題事例の把握や課題の洗い出しを進めるとともに、①ノウハウを含め知的財産権を事前の承諾を得ずに、立入検査の目的に利用してはならないこと、②金型の設計図面等の提供を強制しないことなどを示したガイドラインと契約書のひな形を策定した。加えて、ガイドラインや契約書のひな形の周知・普及や、知財支援の体制強化、中小企業の気づきや知財経営への取組を促すことなどを盛り込んだ報告書を取りまとめ、公表した。
●約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会(2020 年7月~)
下請企業に対する現金払いの割合は全体として増加するなど着実に改善がみられているが、その一方で、手形サイトの短縮化や現金化に係る割引料等のコストの上乗せなどについては十分な改善がなされておらず、なお課題として残されている。
そのため、2020 年7月から有識者を交えた検討会(約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会)を開催し、更なる支払条件の改善や今後の対策について議論を行ってきた。検討会は計6回開催し、手形払いの現金化や、手形サイトの長さや割引料の負担といった約束手形に関する論点について議論を行い、手形等のサイトを60 日以内とすることや、手形等で支払う場合に割引料等のコストを示すことなどについて、手形通達の見直しを行うこととした。加えて、IT 化や新しい決済手段に関する議論を行うとともに、約束手形の利用意向や手形等の支払から現金払いへの改善状況等を踏まえ、今後、産業界・金融業界がそれぞれ「約束手形の利用の廃止等に向けた自主行動計画」を策定すること等を盛り込んだ報告書を取りまとめ、公表した。
●取引適正化推進会議(2018 年~)
全国各地で取引適正化の取組を浸透させるため、2018 年度より、全国各地で「取引適正化推進会議」を開催しており、2020 年度も全国9ブロックにてオンライン開催した。経済産業省及び業所管省庁の幹部などが出席し、各地の中核・中堅企業などから、各社が抱える取引上の課題をヒアリングするとともに、型取引の適正化や下請代金の現金払い化など取引適正化に向けた議論を行った。
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最近「約束手形」の廃止等についてマスコミ報道がありましたが、背景には国が行っている、中小企業支援のための取引慣行改善の動きがあるようです。

支払条件だけでなく、知的財産や、金型等の「型」取引など「未来志向型の取引慣行」を国は目指しています。

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