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2021年漁期イカナゴしんこ漁況予報2・季節風の影響など(大阪府水産技術センター)

先日、兵庫県水産技術センターのイカナゴの漁況予報を記事に書きましたが、本日は2月17日に公表された、大阪府立環境農林水産総合研究所水産技術センターの漁況予報の中に、季節風の影響等の情報がありましたので、本日はこれを紹介します。
以下、特記するものを除き、次のサイトからの引用または、キャプチャーです。

イカナゴしんこ漁況予報(令和3年)
令和 3 年 2 月 17 日
大阪府立環境農林水産総合研究所 水産技術センター

◎水温(図1)
水温の高低は、イカナゴ親魚の産卵時期(水温低下が産卵の引き金となる)や、ふ化した仔魚の成長(水温が高い方が成長が速い)、生き残り率(低水温の方が良い)などに影響を与える。今期は 12 月中旬から 1 月中旬にかけて平年に比べて低め~平年並みで推移し、その後は高めで推移している。気象庁は 2 月の気温を高めと予測しており、2 月の水温は平年より高めで推移すると考えられる。

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◎季節風(図2)
季節風(特に西風成分)は、播磨灘から大阪湾に向かう海流を強め、イカナゴ仔魚の大阪湾への流入量を増大させる。また、仔魚の散らばりを促進することによって、生き残りにプラスに働く。今冬の西風の強さは、12 月上旬から 1 月上旬にかけて平年を大きく上回る時期が続いた。

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◎産卵量および産卵期
兵庫県立農林水産技術総合センター水産技術センターは、大阪湾で漁獲されるイカナゴの主な産卵場である播磨灘鹿ノ瀬海域で産卵親魚の調査を行なっている。その結果によると、今期の鹿ノ瀬海域での産卵量は、平年(過去 10 年間の平均)と比べると約 0.11 倍であり、産卵量のレベルは近年と同様に極めて低い。親魚の成熟状況等から、今期の産卵盛期は 12 月 18 日から 12 月 28 日頃であり、昨シーズン(12 月 26 日~1 月 5 日)よりも早めであったと推定されている。

◎仔魚の出現状況(図3,4)
大阪湾内に設けた 12 の調査点において、プランクトンネット(ボンゴネット、斜め曳き)によるイカナゴ仔魚採集調査を 3 回実施した。
第 1 回調査は 1 月 4、5 日に実施した。仔魚の採集数は 1 点あたり 11.2 尾、平均全長は 3.6mm であった。明石海峡から湾中央部で多く採集された。
第 2 回調査は 1 月 20、21 日に実施した。仔魚の採集数は 1 点あたり 2.5 尾、平均全長は 7.0mm であった。湾のほぼ全域で採集され、10mm を越える個体も採集された。
第 3 回調査は 1 月 31、2 月 1 日に実施した。仔魚の採集数は 1 点あたり 0.8 尾、平均全長は 10.1mm であった。2 回目の調査結果と、今期の産卵時期および昨年の調査結果を比較すると、主群は全長 10mm 以上の個体と考えられる。
1 回目調査で仔魚が採集されたことは、産卵盛期が昨シーズンより早かったことを支持する結果であり、産卵からふ化までの期間を勘案すると、ふ化間もなく湾内に加入した魚群を捉えたものと考えられる。産卵時期が昨年に比べ早かったが、2 回目、3 回目調査において 1 回目調査以降にふ化した仔魚が断続的に加入したため平均全長は昨年同時期とそれほど差はみられなかった。

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◎イカナゴしんこの漁況見通し
今期の鹿ノ瀬における産卵量は、近年と同様に極めて少ないと推測される。環境条件をみると、水温は12月以降平年より低め~平年並みで推移し、西風は12月上旬から1月上旬にかけて平年より強く吹いていたことから、イカナゴ仔魚の大阪湾への流入や、仔魚の生残りに良好な環境であったと考えられる。しかしながら、仔魚の採集数は近年同様少なかった。産卵盛期は昨年に比べて早かったが、2回目、3回目調査では仔魚の平均全長は昨年と比べてそれほど差はみられなかった。また、水温も昨年に比べて低めで推移しており、昨年ほどの高成長は見込めないと推察される。
これらのことから総合的に判断すると、今年の大阪湾のイカナゴ漁開始時におけるしんこの資源量は過去最低の漁獲量であった昨年並みか昨年をやや上回る程度と予測され、近年と同様に極めて少ない状況が続いていると考えられる。一方、2月下旬~3月上旬時点でのしんこの大きさは、昨年と比べてやや小さいであろう。
近年、イカナゴの不漁が続いており、今年も予断を許さない状況が続いている。イカナゴの資源回復のためには親魚となる資源をとり残すことが重要であり、解禁に際してはこの点を考慮して操業を行う必要がある。
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2月24日の試験曳きの結果でも、西風の影響で播磨灘のイカナゴが淡路方面まで流れてきている、という話を聞きました。
風の影響で、大阪湾への流入が変わるんですね。
風が吹いても産卵量は変わらないと思いますが、シンコがかたまらず、散らばることで生き残る確率が高まる、というのもおもしろい現象です。
散らばると、大きい魚に捕食される確率は高まりそうなのですが、プラスマイナスではプラスに働くのでしょうか。

兵庫県水産技術センターの予報とは違う切り口での説明があり、大変勉強になりました。
今後は、大阪府の情報にも注目したいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan