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新型コロナウイルス対策資本性劣後ローン(中小企業白書2021年度版より)

本日は、「第2部 危機を乗り越える力」「第1章中小企業の財務基盤と感染症の影響を踏まえた経営戦略」の続きです。
今回は、新型コロナウイルス対策資本性劣後ローンについて紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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【コラム 2-1-2 新型コロナウイルス対策資本性劣後ローン】
「新型コロナ対策資本性劣後ローン」は、(株)日本政策金融公庫等が以前から実施してきた「資本性劣後ローン」を大幅に拡充し、スタートアップ企業や事業再生中の企業に加え、「事業計画書を策定しつつ、民間金融機関などによる協調融資等の支援を受けられる体制が構築されている事業者」という要件を設け、新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」という。)流行の影響を受けた事業者が広く利用できる融資制度である(コラム 2-1-2①図)。

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令和2年度第2次補正予算で措置され、2020 年8月から取扱いを開始。民間金融機関との協調の下、地域経済を支える中小企業・小規模事業者の事業継続や新たな事業展開等に活用されており 2021 年1月末時点で約
1,800 件、約 3,300 億円の融資を決定している。

資本性劣後ローンは、借入金でありながら、民間金融機関等の債務者の評価において、「自己資本」と見なして取り扱うことが可能であり、借り手の企業にとっては、債務超過の解消等で財務の安全性が高まったという評価を民間金融機関等から得られ、民間金融機関から追加融資を受けやすくする効果が期待できる。また、資本性劣後ローンは、出資とは異なり、経営に直接的に関与されることはない。
資本性劣後ローンの融資条件面の特徴としては、①期限一括償還、②業績連動型の金利、③債権の劣後性、の3点が挙げられる。
期限一括償還については、期限到来時まで元本返済負担がなく、キャッシュフローの不足する業績悪化時や事業再生、新規事業の立ち上げ時などにおいて、返済負担を気にせず事業に注力することが可能になる。「新型コロナ対策資本性劣後ローン」では、感染症流行の影響の甚大さを鑑み、償還期間は従来の資本性劣後ローンの最長 15年間から最長 20 年間の期限一括償還に拡充されている。
金利設計については、直近決算の業績に応じて決まり、業績悪化時には金利負担が抑えられ、好業績時には配当に近い考えのもと一定の金利負担が発生する。「新型コロナ対策資本性劣後ローン」では、従来の資本性劣後ローンに比べて、利益が出た際の金利も最大3%程度引下げを行っており、更に融資後3年間は利益の有無によらず、金利を低利に据え置くことで、金利負担の大幅な軽減が図られている。
債権の劣後性については、法的倒産手続において当該債権の劣後性が確保されており、無担保・無保証としている。これにより、担保がなくても資金調達が可能であり、担保がある場合は民間金融機関に担保提供することで、民間金融機関から有利な条件での資金調達ができる可能性もある。
コラム 2-1-2②図及びコラム 2-1-2③図は、当制度を活用し、感染症流行下の事業再生や事業拡大に取り組む企業の事例である。

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今後より一層、民間金融機関と政府系金融機関が連携を図った上で、「新型コロナ対策資本性劣後ローン」がウィズ・コロナ、ポスト・コロナにおける中小企業・小規模事業者の事業継続や事業再生、新分野展開や業種転換等の取組に、これまで以上に積極的に活用されることが期待される。
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昨日のnoteで触れましたが、このコロナ対策資本性劣後ローンの融資限度額が7月1日から10億円に引き上げられます。
それだけニーズが高い、ということなのでしょう。
メインバンクと連携して、日本政策金融公庫の資本性劣後ローンを活用した事例も紹介されています。
2021年1月末の段階で約1800件、約3,300億円の融資が決定しているそうです。コロナ禍を乗り越えるための重要な手段の一つとなっています。

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